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2004.08.09

健康危機管理と防災計画

今日は長い割には説得力のない話かもしれない。

保健所と健康危機管理」や「災害弱者とは」の記事とも関連する会議が本日あった。

市町村における健康危機管理対策の話を伺うと決まって出てくるセリフが
健康担当課からは「うちには防災計画がありますから、その体制で...」
防災担当課からは「健康危機管理というのは防災とは違いますから...」
まあ、このセリフは県の防災担当にもよく言われるんですけどね。

市町村の地域防災計画では、普通は想定されるとして地震、津波、台風と言った自然災害。
(これに沖縄県内の市町村では、「基地に関連する災害」という定義が入るところもある)
項立てと言えば、道路復旧に始まり、電気、水道、消防、医療、防疫、教育などという切り口。
各課に役割を分担している形で、総務課はその取りまとめ役。伝統的にこうだったらしい。

一方「歴史が浅い」健康危機管理対策は、その定義に

「健康危機管理」とは、医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務であって、厚生労働省の所管に属するものをいう。
(所属省庁を書くところが官僚的ね)、とあるように、住民の健康被害の視点から危機対応を書いてある。
特に保健所のような出先(現場に近いという意味で)での対応は、その原因がわかる前に患者がどんどん発生することも十分考えられ、初動に重きを置いているところが多い。前にいた職場で作った健康危機管理の初動マニュアルでは、危機の規模に応じて、グリーン、イエロー、レッドとレベルを分けて体制を整理した。

でも、この両者(防災計画と健康危機管理計画)はつながっていないと困るのである。

  • 災害発生(例えば台風)→避難が必要な災害弱者への対応
  • 災害発生→被災した死傷者に対する医療の確保(医療救護や患者情報収集、病院との調整)
  • 災害発生→避難所における防疫対策(検病調査等)、食品衛生、環境衛生対策
  • 災害発生→被災者や避難所生活者への心のケア
  • 災害発生→ライフラインの途絶→災害弱者対応、在宅呼吸器管理患者、病院の発電状況等

ほら、台風が原因でも、対応は「厚生労働省の所管に属する」でしょ。

防災計画で想定している台風はそれこそ30年に1度来るか来ないかという超大型のやつで、
通常遭遇する台風だと災害対策本部は立ち上がらない。

健康危機管理では、災害の種類に関係なく、被害を受けた住民の規模により対応が規定される。
その方が現実的な対応(きめ細かな対応)が可能だ。同じ台風が原因の危機でも、レベルはグリーン、
イエロー、レッドの3通り考えられる。健康危機の規模が大きい場合(レッド)は防災対応と同じになる。

上のように災害→健康危機対策という流れだと考えやすい。
じゃあ、この逆のパターンはないのか?

  • 感染症の発生→患者の数が徐々に増加→全庁的対応が必要→市の対策本部立ち上げ

これなら十分ありえる。もちろん、防災計画に登場するような部局すべては必要ないかもしれないが、
たいていの市町村には、ある特定の疾患についてのマニュアルはないことが多いから、防災計画を
モデルにして対策がとられるだろう。

いみじくも、今日の防災担当者が発表していたことが、「この防災計画書だけでは動きがとれない」と。
これは他にも「行動計画」や「訓練・演習」が必要という意味で用いたかもしれないが、災害の規模が
それほど大きくない場合に、きめ細かい対応ができないともとれる。大は小を兼ねないのだ。

肝心なのは住民に被害が及ぶのを防ぐこと。自治体(保健サイド)は、防災計画をも含めた健康危機
管理対策を作成し、発生の予防、発生時の避難誘導、医療の確保、そして拡大防止、こころのケア等
想定される危機に対して、対応の準備をすすめるべきであろう。

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