« 虫歯の知らせ(うつのみや競馬の思い出) | Main | おきなわ・やんばる・AMI »

2005.03.19

若年妊娠 A子の物語

以下の話は、保健師のための「若年妊産婦支援の手引き(仮称)」 のために使う題材で、あくまでもフィクションです。その骨の案。


A子は高校2年生。同級生の彼氏Bと付き合っていたが妊娠してしまう。 A子は体調の異変に気づいていたが、誰にも相談できないまま過ごし 人工妊娠中絶ができない時期をむかえてしまう。 彼氏や双方の家族と相談した結果、出産することを決めた。 今日はA子が役所に母子健康手帳をもらいに行く日

場面1「母子健康手帳交付」
いろいろ迷ったけど、やっぱり赤ちゃん産むことになった(でも大丈夫かなぁ) 母子手帳って、もらって何かいいことがあるの? 妊娠したら何か役所のサービスが受けられるのかしら?
設問1:このようなA子の疑問にどのように対応して行ったらよいでしょうか?
ポイント1
○母子健康手帳交付がファーストコンタクト ○手帳交付時の妊娠週数に着目 ○妊婦にとって必要な情報が提供できていますか

役所では保健師が手帳交付の受付に対応していた。 手帳交付に関する説明だけでなく、A子に対していくつかの質問をした。

場面2「初回面接時の聞き取り」
手帳のことだけじゃなくて、いろいろ教えてもらった(でもこれからが大変そう) 保健師って言ってたけど、家庭訪問とかする人たちだよね あれこれ詳しく聞かれたけど、私のところにも来るつもりなのかしら?
設問2:初回面接時にはどんなことを聞き、そしてどのような人たちを訪問する対象にしますか?
ポイント2
○ファーストコンタクト=訊く(ask) ○いわゆる養育力が備わっているかどうかをチェックする場 ○では養育力とは何か?以下に示す項目のうち、該当するものが多いと要注意。
  • 年齢が18歳未満(就学中)
  • 未婚
  • 経産(初産でもリスクが低いとはいえないが)
  • 母子健康手帳の届出週数が12週以降
  • 本人が就労していない
  • 配偶者が就労していない
  • 親の援助が少ない(経済的・精神的)
  • 核家族
  • 妊婦検診を受診していない
  • 連絡がとりにくい
  • その他(生育歴、生活習慣が良くないなど)

A子は保健師による訪問の対象になったと役所から連絡があった。 いよいよ今日はA子の家に保健師がやってくる日。

場面3「家庭訪問」
家まで訪問されるって緊張する。 根掘り葉掘り聞かれるのかなぁ。 保健師さんって厳しそうだから、あれこれ注意されるのかなぁ。
設問3:家庭訪問時にはどんなことに留意すべきことは何でしょうか。
ポイント3
○話を聴く、傾聴する姿勢(active listening) ○本人がこれまでのことを振り返り、自ら語るように ○(例えばパートナーとの出会いについて語ってもらうとか) ○いわゆるナラティブアプローチ ○ただし聞くこと自体が目的ではないはず(その先に目指すものは?)

A子は産院での妊婦検診を受けていた。 はじめは定期的に受診していたが...

場面4「医療機関との連携」
だいぶお腹が大きくなったけど、特にきつくもないし症状もない。 検診行かなくても大丈夫じゃない?あれから保健師さんからも連絡ないし。 みんなと遊びに行く約束もあるから、病院休もうっと。
設問4:産院との連携体制はどうあるべき何でしょう?
ポイント4
○フォローすべき妊婦についての共通認識が必要 ○助産師との連携をどう構築するか(情報の共有、役割分担など)

妊娠も後期に入り、検診や出産についてお金のことが気にかかる時期 A子も経済的な援助を求めています

場面5「経済的支援策」
赤ちゃん産んだり、育てたりするってお金かかるんだよね。 うちあんまりお金ないけど、誰か貸してくれないかなぁ。 彼氏に働いてもらわないとだめなのかなぁ。
設問5:妊婦を経済的に支援する制度を把握していますか
ポイント5
○公的な福祉サービス、経済的支援に関する情報 ○本人をとりまく周囲(家族など)の状況 ○金銭面に関する将来的な見通しを立てさせることも重要(かも)

無事に出産したA子。産院で母児ともに順調に経過。 しかし、退院してからの生活の拠点をどこにするかは未定という。

場面6「連絡がとりにくい人たち」
出産大変だったけど、もはや退院。おうちに帰って育児できるかなぁ。 ママはおばあちゃんのところに引っ越して一緒に見てもらおうかって言ってたし。 どっか遠くにでも行っちゃおうかなぁ。
設問6:連絡がとれなくならないようにするには?
ポイント6
○アクセスしにくいこと自体がハイリスク ○だからこそ数少ない「出会える場」が重要 ○この時期なら新生児訪問でしっかり確認するとか ○地縁、知縁のネットワークを活用するとか

妊娠・出産のために、高校を休学しているA子。 子育てのバタバタも少し落ち着き、復学したいという気持ちも芽生えてきた。

場面7「学校との連携~ワタシフクガクデキマスカ~」
妊娠したから学校も行けなくなったけど、ママも昼間子どもみてくれるっていうし、 やっぱり学校に戻りたいよぉ。 またみんなと勉強したり遊んだりしたいなぁ。
設問7:学校との連携で留意すべきことは何でしょう?
ポイント7
○学校によっても姿勢が違う可能性がある ○本人を受け入れるための環境整備 ○他の生徒に与える影響(事例を踏まえて紹介)

妊娠中の訪問から始まったA子への関わりは出産・育児中も続いている。 心配された問題も起こることなく、子どもも健やかに成長している。 ただ彼氏と入籍をするのかとか、高校卒業後の生活基盤をどうするのかとか いくつかの心配な点は残っている。

場面8「もう私は大丈夫?」
今までいろいろ保健師さんにお世話になったけど 自分でもだいぶできるようになったよ。育児とか家事とか。 時々話を聞きにきてくれるのは助かってるんだけど、 もう私は大丈夫なのかなぁって思ってる。 今度保健師さんに聞いてみよう。
設問8:支援を終結させる目安は何ですか?
ポイント8
○転居・転出が支援の切れ目ではない ○子どもの状態だけで決められるものでもない ○かと言っていつまでも対象にしておくわけにも行かない ○養育力がある程度獲得できれば終結してもいいのでは ○継続的にフォローが必要な場合は関係機関との調整も必要

このような題材(+事例紹介)を用いて、保健師に問題提起を行う 自分たちの「方針」を書き入れて、マニュアルを膨らませてもらう それがマニュアルの評価にもつながる。

A子物語も、大雑把で盛り上がりに欠ける内容になってしまった。 こっちももっと膨らませて「リアリティ」や「生活感」が感じられるような 内容に修正していきましょう(でも連休中は休みましょうね)

|

« 虫歯の知らせ(うつのみや競馬の思い出) | Main | おきなわ・やんばる・AMI »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/10513/3350542

Listed below are links to weblogs that reference 若年妊娠 A子の物語:

« 虫歯の知らせ(うつのみや競馬の思い出) | Main | おきなわ・やんばる・AMI »