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2005.03.31

いのちを大切に

これ以上自殺者が出ないよう、そして残された家族や仲間が 辛い思いをすることがないよう、うつ病やうつ状態の治療から 得られた体験をこのパンフレットを通してお伝えします。

健康おきなわ2010 −こころの健康づくり検討委員会で作成したパンフレットの表紙 に書かれている言葉。

パンフレットの中味は県内の精神科クリニックでうつ病やうつ 状態の治療を受けている方へのアンケート調査結果と、自殺を回避 した体験談が記載されている。例えば

自殺を回避できた約8割の方が、孤立せず、家族への 何らかの関わりによって、この世から消えてしまいたいという苦痛に 耐えることができたと答えています。家族はきっとあなたを支えます。
眠れない日が続いても、約8割の方が 睡眠薬で不眠から救われたと感じています。 不眠はいつまでも続くものではありません。 良好な睡眠があなたに時間の余裕を与えるはずです。
気分が沈み、いっそ死んでしまいたいと考えた6割の方が、 抗うつ薬に十分な効果を実感し、自殺の危機を回避しています。 お薬を信じて下さい。
お酒を飲むことで苦しみから逃れることができたのは、 127人中、たったの10人です。お酒は問題を解決しません。これまでの 多くの調査から飲酒によって自殺の危険が増すことがわかっています。 酩酊することで、あなたの命の最後のともしびを消さないで下さい。
この世から消えてしまいたいと考えたとき、約8割の方が 主治医の言葉が役に立ったと答えています。 勇気を出して、あなたの辛い気持ちをまず伝えてください。

上記のことは、自殺を回避された方たちが、自身の切実な体験 をもとに、アンケートに回答して頂いたことをまとめたものです。 ひとつひとつが貴重な体験から得られた事柄です。それらのいくつかの 組み合わせが、あなたの大切な命を守ってくれると私たちは信じています。

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2005.03.29

いらっしゃいませ、老健食堂へ

ヒガエリ。と言っても比嘉エリさんのことではない。 今日は東京へ日帰り出張(寒)。介護予防の研修を受けたが...

その中で出てきた老人保健事業の例えが印象的であった。

老人保健事業でもいろいろ補助金を流した 健診に来る人は毎年来る。いつもの決まった客が来る しかも元気、動機づけあり、健康行動もOK、意識も高い。 しかし来ない人の掘り起こしをするほどの お金や余裕まではなかった
老健やってたというのはただメニューを揃えてただけ 食堂で言えばメニューを揃えるので精一杯 食べ物の味までは検証しなかった。
誰がどれだけ食べたかだけ一生懸命カウントした (この数を報告すれば国からお金がもらえたから) 老健食堂にはこの店の味に合う人だけが来た。 でも食べた人がどうなったかという効果は??

20年も続いた事業をこのように比喩するのもどうかなと思うが、 この視点は一理ある。介護保険は食堂そのものを外注している。介 護予防もこの調子で行くと老健食堂の二の舞だという警告として受 けとめよう。

肝心の老健食堂(しつこい)の行方については現在のところ 何も情報が入ってこない。局と局とのはざまにあって攻めぎあいが 続いているらしい。18年度の予算を決める夏ごろには新しい動きが 見えるだろうとのことだった。だって見直しは必ずするから。

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2005.03.28

あつものに懲りてなますを吹く

あつものに懲りてなますを吹くという故事成語。 意味は

失敗にこりて、用心をしすぎること
あつもの(熱い飲み物)を口に入れてやけどをした経験がある人が これに懲りて次からはなますのような冷たい物も フーフーと冷まして食べるようになるということ(らしい)

どこでこの言葉を見たかと言うと、薬害エイズ事件の控訴審の記事。 薬害エイズ厚生省ルート・松村元課長、二審も有罪

薬害エイズ事件「厚生省ルート」で、業務上過失致死罪に問われた 元厚生省生物製剤課長、松村明仁被告(63)の控訴審判決が25日、 東京高裁であった。元課長はエイズウイルス(HIV)に汚染された 外国由来の非加熱濃縮血液製剤を投与された患者2人の死について 「不作為」による責任を問われた。 河辺義正裁判長は、1人について無罪、1人について禁固1年執行猶予2年 とした一審・東京地裁判決の判断を支持し、検察側、弁護側双方の控訴を棄却した。
という裁判。
日本国内での薬害エイズの問題では、80年代に外国由来の非加熱製剤を 投与された血友病患者を中心にHIV感染が広がった。 500人以上の血友病患者がエイズを発症して死亡した。

行政の不作為によって多くの方々が犠牲になったこの事件に関する 読売の解説記事の中に  

薬害エイズ事件を境に、厚労省職員の意識は変わったといわれる。 特に、医薬品や食品、感染症対策など健康に関する分野については、 時に他省庁から「なますを吹いている」とやゆされるほど、慎重な姿勢を 見せるようになった。  取るべき措置を取らなかった「不作為」による官僚個人の刑事責任を 問われた衝撃は、今も省内に残っているのだ。
厚生省に健康危機管理という概念ができたのもこの事件がきっかけだったと聞く。 例え揶揄されようとも、政策によって人命が奪われた事実を検証して いく姿勢は必要であろう。

関連サイト(櫻井良子の対談記事)より。 プロフェッショナルとスペシャリストの違いについて (加藤=旧大蔵省出身で、政策立案シンクタンク「構想日本」の加藤秀樹氏)

櫻井: 行政官は、自分たちの責任逃れのために審議委員会や諮問委員会などをつくるのです。郡司さんは国会で、自分たちは研究班をつくって専門家の意見を聞き、専門家が非加熱濃縮血液製剤で行くと決めたのでそれに従いました、と言いました。行政官は専門家ではなくて素人です、だから責任がない、と。

加藤: 専門家の意味をちゃんと定義しなければいけなかった。スペシャリストとプロフェッショナルとは違うと思うんです。行政のプロは、特定の病気のスペシャリストであるはずはないし、なくていい。行政のプロというのは、みんなが自分の都合を勝手に言ってくる中で、優先順位をつけながらどう判断するかということです。それに、権限と責任とは常に絶対にセットでなければいけない。官僚が権限を行使するのなら、責任は知りませんとは絶対に言えないんです。裁判官であれば、そんなことは法律以前のルールの問題として心得ておくべきだと思う。


近い将来訪れるであろう

保健所長=行政のプロフェッショナル
保健所医師=公衆衛生のスペシャリスト

という時代(保健所長が医師でなくなる時代)の心得か。

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2005.03.25

体重測るな!ウエスト測れ!

日本男児は膨張している で内臓脂肪の脅威を解説していることはすでに紹介したが Yomiuri on lineにも関連記事があった ウエストサイズが糖尿病の目安…米で3万人調査

米国成人男性のウエストのサイズが糖尿病の危険度の有効な指標になることが、 米ジョンズホプキンス大の約3万人に対する疫学調査でわかった。
米国男性のウエストサイズを身長や体重にかかわらず5段階に分け、 生活習慣に伴う肥満と強く関連する「2型糖尿病」の発症頻度を比較。 最も小さい74~86センチのグループに比べ、より大きいサイズのグループは 糖尿病の人が2倍以上に達し、特に100センチ超のグループは、 最小グループの約12倍にもなった。
BMIよりも有効な指標になり得ると解説している。

現在、日本肥満学会でのフローチャートでは「BMIが25を越える者」のうち 「男性では腹囲が85センチ以上、女性では90センチ以上」のものが内臓脂肪型肥満と 規定されていた(と思う)。

前出の田仲秀明先生は、「男女とも身長の半分以上」あると危険という。 いずれにしても、糖尿病の発症に関しては

身長と体重から肥満度を数値化するBMIでは、同様のグループ分けをしても ここまで明確な差は出ないという。
というので、体重を測るよりも腹囲(ウエスト)の方が優れた目安になりそうだ。

最近では健診機関でも腹囲測定をするところが増えているという。

自宅でも(どこでも)簡単にできる腹囲体重計を引っ張り出して測らなくても良いから、 脱衣所にメジャーを置いてあなたも毎日ウエスト測ってみませんか?

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2005.03.23

生活習慣病対策ノート21

~役場から発信 島の健康づくり~と副題をつけたように 小さな離島では、役場職員に健康への意識づけ行うことが ひいては島全体の健康づくりへ広がっていくのではないか、 という思惑(外れてるかなぁ)を持って職員研修に参加しました。

その成果物がようやく出来上がりました。


はじめに
長寿おきなわ超ピンチ。生活習慣病は、今や、沖縄県全体が抱える健康課題 となっています。その中でも特に、肥満がもたらす各種の合併症が健康長寿達成を 危うくしている原因と言われています。 このことは、I村でも同様です。  このたび平成16年度I村職員研修会が開催されるにあたり、職員の皆様が自分の 生活習慣を振り返ることができるような機会になればとグループワークを実施しました。 その中で出てきた意見をまとめ、「I村生活習慣病対策ノート21」を作成しました。  今後の職員の健康づくりの一助になれば幸いです。村民全体への波及効果も 期待しています。
I村が抱える健康課題
I村では、生活習慣病の合併症である急性心筋梗塞で死亡する人の割合 (標準化死亡比)男女とも全国より高くなっています (全国を100とすると男性215.6女性157.8=平成10‐14年人口動態統計特殊報告)。 またその原因となる糖尿病の有所見率や肥満者の割合も、北部福祉保健所管内では 高い方に入ります。 さらにそのもとになる生活習慣は、食生活(よく噛んで食べない、朝食をとらないなど)や、 飲酒、喫煙などで問題があることが明らかになりました。  今や、村民全体で健康づくりを展開する必要がありますが、 そのためには役場職員の皆さんが自らの健康に感心をもつことが大切です。
本書の利用方法
この「I村生活習慣病対策ノート21」では、生活習慣病を予防するための対策集を紹介しています。 その構成は、
  • 個人でできること(自助)
  • 仲間や家族でできること(互助)
  • 役場全体で取り組むこと(公助)
となっています。

今や生活習慣病対策は、個人の努力だけでは継続が難しい状況で、 環境整備やルール作りなどの視点も必要です。 それぞれの取り組む際の参考にして下さい。 本書に書かれてある対策集はほんの一部で、地域に目を向けると 健康づくり活動を展開しているグループや団体が他にもあるはずです。 彼らの力も活用していきましょう。 また、ひとくちに生活習慣を見直すと言ってもどこをどう見直せばよいか 難しいところがあるため本書では世代別のデータも示しながら対策の提言をしています。

生活習慣アンケート調査の結果は、職員の生活習慣の現状を知るとともに、 今後の取り組みがうまく行っているかどうかの指標としてもご活用ください (1年後に同じ調査をする等)。 今回の「I村生活習慣病対策ノート21」では主に栄養食生活・運動・飲酒に 関する対策を検討していますが、他の生活習慣(ストレス、たばこなど)も 当然重要なので必要な人は改善にむけた取り組みが必要です。

巻末の講演スライド(CD-R)やストレッチ体操の資料は、村内や役場内で 行われる健康教育や運動教室にお役立てください。

生活習慣病対策ノート21の内容
  1. 朝食を毎日とる
  2. 腹八分を守る/よく噛んで食べる
  3. 間食をしない
      栄養・食生活に関する対策集
  4. 運動する(普段から早足で歩く)
      運動に関する対策集
  5. 適量飲酒を守る
      飲酒に関する対策集
    対策の内容までは紹介できないが、「ノーハムデーを設ける」など 職員の意見に忠実に記述した。これならできるはずという確信を尊重しよう。
資料編
  • 講演スライド(別刷、CD-R付き)
  • グループワーク進行スライド
  • 生活習慣アンケート調査票
  • 生活習慣調査の概要(県との比較)
  • 今すぐ実践「手軽にできるストレッチ体操

  • これを持ってI村健康づくり推進協議会で紹介したあと、村内の団体を対象に I村の健康づくりのためにできることは何かというインタビューを行うと良い。 健康増進計画に近づいているかなぁ。


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    2005.03.21

    おきなわ・やんばる・AMI

    長寿で知られる沖縄県北部地域(やんばる)。しかしその実態は...(その1)

    急性心筋梗塞という疾患がある(Acute Myocardial Infarction=AMI) 国立循環器病センターHPによると

    狭心症や心筋梗塞症を引き起こす原因を「冠危険因子」と呼んでいます。 これには、高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満、喫煙、ストレスと遺伝的素因があります。
    これらの原因に加えて
    心筋梗塞が発症する直前の状態を調べますと、多くの方に <過度の疲労><睡眠不足><激務><過度の精神的ストレス> があったことがわかっています。 必ずしも過激な運動中に起こっているわけではありません。 むしろ発症前の不摂生状態の方が強く関係しているのです。
    こういう状態が「引き金」になって起こる。

    この疾患による死亡率は全国的に見れば減少しているが、わが沖縄県は逆。 年齢調整死亡率というデータで昭和50年(1975年)と平成12年(2000年)を比較すると

      全国男:38.7→29.7 全国女:20.9→14.2 沖縄男:21.7→33.3 沖縄女:12.3→15.1(数字はいずれも人口10万対)
    男性はこの25年で全国に追い抜かれてしまった。

    これをさらに細かく地域別、市町村別に見るとどうなるか。 人口動態統計特殊報告では5年分をまとめて計算し、市町村比較をしている。 平成10~14年分の北部福祉保健所管内、沖縄県の標準化死亡比を示す。

    • 沖縄男111.7
    • 沖縄女100.9
    • 北部男130.0
    • 北部女99.9
    この指標は全国平均を100として、それより数が多ければ余計に死亡している (150なら50%多いという計算になる)。市町村で高い順にみると...
    男性
    1. 伊江村215.6
    2. 国頭村206.3
    3. 大宜味村182.0
    4. 東村158.3
    5. 伊平屋村149.4
    6. 伊是名村134.4
    7. 本部町129.4
    8. 名護市106.7
    9. 今帰仁村103.3
    女性
    1. 伊江村157.8
    2. 東村142.4
    3. 大宜味村141.1
    4. 今帰仁村106.6
    5. 名護市101.5
    6. 伊是名村100.0
    7. 本部町76.0
    8. 国頭村73.7
    9. 伊平屋58.9
    となっております。伊江村の研修報告をまとめていて気づいた。 しかし、その前の5年間を見ると、伊江村は
    • 男32.4
    • 女47.1
    と著しく低いため、やはりばらつきもあるのかなぁと思ったり。 いずれにしても、こういうデータをきちんと頭に入れておかないと、 会議で突っ込まれる(もう突っ込まれたが)

    急性心筋梗塞もやんばるにとって大きな課題のひとつである。たばこやめようね。

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    2005.03.19

    若年妊娠 A子の物語

    以下の話は、保健師のための「若年妊産婦支援の手引き(仮称)」 のために使う題材で、あくまでもフィクションです。その骨の案。


    A子は高校2年生。同級生の彼氏Bと付き合っていたが妊娠してしまう。 A子は体調の異変に気づいていたが、誰にも相談できないまま過ごし 人工妊娠中絶ができない時期をむかえてしまう。 彼氏や双方の家族と相談した結果、出産することを決めた。 今日はA子が役所に母子健康手帳をもらいに行く日

    場面1「母子健康手帳交付」
    いろいろ迷ったけど、やっぱり赤ちゃん産むことになった(でも大丈夫かなぁ) 母子手帳って、もらって何かいいことがあるの? 妊娠したら何か役所のサービスが受けられるのかしら?
    設問1:このようなA子の疑問にどのように対応して行ったらよいでしょうか?
    ポイント1
    ○母子健康手帳交付がファーストコンタクト ○手帳交付時の妊娠週数に着目 ○妊婦にとって必要な情報が提供できていますか

    役所では保健師が手帳交付の受付に対応していた。 手帳交付に関する説明だけでなく、A子に対していくつかの質問をした。

    場面2「初回面接時の聞き取り」
    手帳のことだけじゃなくて、いろいろ教えてもらった(でもこれからが大変そう) 保健師って言ってたけど、家庭訪問とかする人たちだよね あれこれ詳しく聞かれたけど、私のところにも来るつもりなのかしら?
    設問2:初回面接時にはどんなことを聞き、そしてどのような人たちを訪問する対象にしますか?
    ポイント2
    ○ファーストコンタクト=訊く(ask) ○いわゆる養育力が備わっているかどうかをチェックする場 ○では養育力とは何か?以下に示す項目のうち、該当するものが多いと要注意。
    • 年齢が18歳未満(就学中)
    • 未婚
    • 経産(初産でもリスクが低いとはいえないが)
    • 母子健康手帳の届出週数が12週以降
    • 本人が就労していない
    • 配偶者が就労していない
    • 親の援助が少ない(経済的・精神的)
    • 核家族
    • 妊婦検診を受診していない
    • 連絡がとりにくい
    • その他(生育歴、生活習慣が良くないなど)

    A子は保健師による訪問の対象になったと役所から連絡があった。 いよいよ今日はA子の家に保健師がやってくる日。

    場面3「家庭訪問」
    家まで訪問されるって緊張する。 根掘り葉掘り聞かれるのかなぁ。 保健師さんって厳しそうだから、あれこれ注意されるのかなぁ。
    設問3:家庭訪問時にはどんなことに留意すべきことは何でしょうか。
    ポイント3
    ○話を聴く、傾聴する姿勢(active listening) ○本人がこれまでのことを振り返り、自ら語るように ○(例えばパートナーとの出会いについて語ってもらうとか) ○いわゆるナラティブアプローチ ○ただし聞くこと自体が目的ではないはず(その先に目指すものは?)

    A子は産院での妊婦検診を受けていた。 はじめは定期的に受診していたが...

    場面4「医療機関との連携」
    だいぶお腹が大きくなったけど、特にきつくもないし症状もない。 検診行かなくても大丈夫じゃない?あれから保健師さんからも連絡ないし。 みんなと遊びに行く約束もあるから、病院休もうっと。
    設問4:産院との連携体制はどうあるべき何でしょう?
    ポイント4
    ○フォローすべき妊婦についての共通認識が必要 ○助産師との連携をどう構築するか(情報の共有、役割分担など)

    妊娠も後期に入り、検診や出産についてお金のことが気にかかる時期 A子も経済的な援助を求めています

    場面5「経済的支援策」
    赤ちゃん産んだり、育てたりするってお金かかるんだよね。 うちあんまりお金ないけど、誰か貸してくれないかなぁ。 彼氏に働いてもらわないとだめなのかなぁ。
    設問5:妊婦を経済的に支援する制度を把握していますか
    ポイント5
    ○公的な福祉サービス、経済的支援に関する情報 ○本人をとりまく周囲(家族など)の状況 ○金銭面に関する将来的な見通しを立てさせることも重要(かも)

    無事に出産したA子。産院で母児ともに順調に経過。 しかし、退院してからの生活の拠点をどこにするかは未定という。

    場面6「連絡がとりにくい人たち」
    出産大変だったけど、もはや退院。おうちに帰って育児できるかなぁ。 ママはおばあちゃんのところに引っ越して一緒に見てもらおうかって言ってたし。 どっか遠くにでも行っちゃおうかなぁ。
    設問6:連絡がとれなくならないようにするには?
    ポイント6
    ○アクセスしにくいこと自体がハイリスク ○だからこそ数少ない「出会える場」が重要 ○この時期なら新生児訪問でしっかり確認するとか ○地縁、知縁のネットワークを活用するとか

    妊娠・出産のために、高校を休学しているA子。 子育てのバタバタも少し落ち着き、復学したいという気持ちも芽生えてきた。

    場面7「学校との連携~ワタシフクガクデキマスカ~」
    妊娠したから学校も行けなくなったけど、ママも昼間子どもみてくれるっていうし、 やっぱり学校に戻りたいよぉ。 またみんなと勉強したり遊んだりしたいなぁ。
    設問7:学校との連携で留意すべきことは何でしょう?
    ポイント7
    ○学校によっても姿勢が違う可能性がある ○本人を受け入れるための環境整備 ○他の生徒に与える影響(事例を踏まえて紹介)

    妊娠中の訪問から始まったA子への関わりは出産・育児中も続いている。 心配された問題も起こることなく、子どもも健やかに成長している。 ただ彼氏と入籍をするのかとか、高校卒業後の生活基盤をどうするのかとか いくつかの心配な点は残っている。

    場面8「もう私は大丈夫?」
    今までいろいろ保健師さんにお世話になったけど 自分でもだいぶできるようになったよ。育児とか家事とか。 時々話を聞きにきてくれるのは助かってるんだけど、 もう私は大丈夫なのかなぁって思ってる。 今度保健師さんに聞いてみよう。
    設問8:支援を終結させる目安は何ですか?
    ポイント8
    ○転居・転出が支援の切れ目ではない ○子どもの状態だけで決められるものでもない ○かと言っていつまでも対象にしておくわけにも行かない ○養育力がある程度獲得できれば終結してもいいのでは ○継続的にフォローが必要な場合は関係機関との調整も必要

    このような題材(+事例紹介)を用いて、保健師に問題提起を行う 自分たちの「方針」を書き入れて、マニュアルを膨らませてもらう それがマニュアルの評価にもつながる。

    A子物語も、大雑把で盛り上がりに欠ける内容になってしまった。 こっちももっと膨らませて「リアリティ」や「生活感」が感じられるような 内容に修正していきましょう(でも連休中は休みましょうね)

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    2005.03.16

    虫歯の知らせ(うつのみや競馬の思い出)

    昨夜の今ごろ、虫歯が疼いて目が覚めた。

    見ていた夢は、学生時代に足しげく通っていたうつのみや競馬
    いわゆる草競馬の雰囲気が漂っていた競馬場

    100円の入場券を払い、100円の焼きおにぎりと400円の新聞を買って、 パドック近くに腰を下ろして馬たちを眺める

    目の前を大きな馬達がのそのそと過ぎ去って行く光景

    発走が近くなると、北関東なまりの予想屋のおじちゃんの声が大きくなり、
    みんながその予想を買いに(これも100円)集まってくる
    ウマと人の距離が近い、いや、ヒトとヒトの距離も近い競馬場だった

    学生の分際で競馬場に通うきっかけになったのは
    当時虫歯の治療で通っていた歯医者がそこの馬主だったから
    シャインローラというかわいい牝馬(ひんば)を持っていて
    1987年北関東オークスというレースで穴(単勝20倍近く)をあけて
    応援に行った友達や馬主といっしょに喜んだ覚えがある
    馬主との距離も近かった

    その時に痛かった歯が約20年ぶりに疼いて
    競馬のこともいっしょに思い出していたら、今日はこんなニュースを発見

    宇都宮競馬に幕…6000人が別れ

    やっぱり虫歯の知らせだったのね

    地方競馬界は運営が厳しいとは聞いていたが、うつのみや競馬も 例にもれず廃止を余儀なくされた。もはや官にそのゆとりはない。 馬だけでなく公営ギャンブル全体が今後は厳しい対応を迫られそう

    あの雰囲気を子どもたちにも味わってほしかったなぁと思ったり あの頃の馬たちは、騎手や予想屋さんたちもどうしているかなぁとか 寒風吹くなか食べるおでんはおいしかったとか、あれこれ思い出す 山口瞳の草競馬流浪記という名著に出会えたのもここのおかげだったなぁ

    さようなら、うつのみや競馬。さようなら。

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    2005.03.15

    健康歳時記

    3月15日琉球新報夕刊に掲載された健康歳時記の原稿 (顔写真つきだわ)


    「各世代へのメッセージ」

    長寿おきなわ超ピンチ。沖縄県は今や「健康長寿県」としての 地位が危うい状態になっています。その原因の一つとして、生活習 慣病による合併症があげられ、特に肥満者の占める割合が全国でト ップクラスであるため「肥満先進県」と呼ばれたりもしています。

    県では生活習慣病対策として「健康おきなわ2010」を策定し、 「脂肪エネルギー比率の減少」「1日あと10分以上歩く」などの行 動計画を示しています。しかし、ひとくちに生活習慣を見直すと言 っても、どこをどう見直せばいいのかは難しいところがあるので、 世代ごとにどのように対応していったら良いか、この場で提案させ て頂きます。

    10代は朝食をとるなどの規則正しい生活のリズムを身体で覚え るべき時期です。コンビニやファーストフードを利用するのもいい けれど、偏らないように賢く選択できる目を養いましょう。

    20代になると、生活習慣は乱れがちになります。男性では飲 酒・喫煙者が増え、早くもこの時期から肥満者が増え始めます。女 性では運動する習慣が極端に減少します。普段何気なく利用してい る買い弁当も、バランスや量を考えて慎重に選びましょう。酒席も たまには断ってみてはどうでしょうか。また車があるからといって 簡単に足がわりには使わないようにして、少しの距離は歩くように しましょう。この年代は生活習慣病予防において重要な時期で「30 歳になるまでに不健康な生活習慣とサヨナラする」という自覚が必 要です。

    30代では、男性が運動しない割合が増えて肥満者が増加します。 20歳の頃からの体重増加は8.6㎏に達しますが、これは20代からの 生活習慣のツケが表れたものです。逆に女性は家庭で過ごす時間が 比較的長くなるためか、食生活は健康的になりますが、ストレスを 感じる人が増加するなどの問題もはらんでいます。何かと忙しく過 ごすことが多いこの時期ですが、なるべく夕ごはんを家族一緒に食 べるなど、規則正しい生活を心がけましょう。

    40を過ぎる頃から、健康意識が向上し、その結果、飲酒・喫煙 をやめる人が増加し、運動を行う人も増えますが、肥満の状況はそ れほど改善されません。生活習慣の見直しをするだけでなく、即行 動にうつして健康的なライフスタイルを身につけましょう。

    50代からは、生活習慣だけでなくそれ以降のライフプランを立 てて、生きがいを重視した生活を心がけましょう。特に女性では、 より健康への関心が高まる時期なので、家族や地域の健康リーダー としての働きが期待されます。

    健康づくりは日々の生活習慣を見直すところから出発します。 一気に改善するというよりはひとつひとつ小さな目標をクリアし続 けるつもりで取り組んでみましょう。個人のがんばりだけではなく、 家庭や職場でルールを作ったり、地域の仲間といっしょに取り組む ことも必要になります。あなたも早速今日から取り組んでみません か。


    これで1200字。

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    2005.03.14

    エイズ即日検査実施しています

    琉球新報に小さく載ったニュース。 HIV即日検査を来月から実施 県内各保健所

    県内の各保健所は4月から、エイズウイルス(HIV)即日検査を導入する。  これまで血液検査の結果が判明するまで1、2週間かかったが、 即日検査では1、2時間で結果が分かる。中部保健所は2日から、 毎週水曜日に試行実施する(要予約)。  中部以外の保健所は予約の必要はない。4月から、北部が毎週木曜日 中央が毎週水曜日、南部は毎週月曜日、宮古が月―金曜日 八重山は毎週火曜日に検査を行う。
    (各保健所の連絡先・電話番号はこちらをご参照ください) 見出しでは来月から実施となっていますが、3月からすでに試行中。 目的は検査を受けやすい環境整備→早期発見治療へ。当然無料・匿名可。

    これまでは、ただでさえ訪れるのが大変な保健所に検査、結果返しの 2度行かなければならなかったのが、即日検査では約1時間弱の 待ち時間で結果が返せるようになり、この待ち時間を所内の部屋で 過ごせば、ワンストップ外来が可能になる。

    即日検査の有用性と課題については、先行して行った保健所で 検査数が5.3倍、擬陽性が9倍にもというmedical tribuneの記事を見つけた。 (「擬」ではなく「偽」だと思うんだけど) 検査数も増えるけれど、偽陽性も増加したという内容である。 また神奈川では受検者の8割がインターネットでの情報を参考に 検査施設を訪れたらしい。 (「HIV検査・相談マップ」by神奈川県衛生環境研究所長今井班)

    今回も保健所での検査はスクリーニング検査なので、確認検査は従来通り 沖縄県衛生環境研究所で行う。 (これはやはり1~2週間かかる)。即日検査ガイドラインの中の「留意点」にもあるように

    • 受検者の立って配慮した対応が必要
    • 受検者は感染不安の要因(性的指向に関すること等)を話すことを躊躇している (待ち時間を利用してあれこれ事情聴取するなどもってのほかということ?)
    • スクリーニング検査で陽性となった場合の告知には、次のことを説明する
      • 結果の意味に関する十分な説明
      • 確認検査の結果を聞くことの大切さ
      • 確認検査の結果が出るまでに利用できる相談機関の紹介
      • 確認検査で陽性となった場合の医療機関への紹介
    • これらを怠ると結果的に早期治療の機会を失うことになる
    という心構えが必要だ。

    ちなみに、このガイドラインの執筆者である中瀬先生の岡山市保健所では クラミジア等の検査も保健所で実施している。 保健所における性感染症検査の導入による効果-岡山市(IDSRより)

    HIV検査に併せた性感染症検査の導入により、 若年女性の利用者が増え、感染リスクの高い利用者も増加したと考えられる。 また、 これら利用者の性感染症早期発見と、 今後の感染予防に役立つ 技術/知識を得る機会を提供できた。
    先進保健所。

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    2005.03.13

    ニート(NEET)

    知らなかった用語集。テレビの「新聞よく読む小学生チャンピオン大会」で はじめて聞いた。Are you neat?のneat(小ぎれいな、こざっぱりした)とも違う。

    ニートとは、NEET(Not in Employment,Education or Training)のことで

    直訳すれば「雇用も教育も職業訓練もされていない(人)」ということになろう。 これでは長いということか、わが国では当初「仕事につかない若者」とか 「働かない若者」などと意訳されていたようだ。 しかし、最近では「仕事につけない若者」あるいは「働けない若者」とか いうことが多くなっているという。「つかない」「働かない」だと、 「働けるのに働かない怠け者」というニュアンスが強いが、 現実のニートをみると、「働きたい」という気持ちは強くある (しかし、なんらかの理由で働けない)人も多いようなので、 一律に「怠け者」扱いすることは望ましくない、ということだろうか。 (以上、労務屋net「キャリア辞典」より)

    現在日本では、その数は急増中とのこと。労働力調査によると

    2000年では失業者146万人に対して、非労働力化したNEET層は76万人に達する。 特に19歳と23歳で多いが、30代はじめまでの世代で1995年に比べて その比率は2倍近い水準で推移している(非在学/非家事の非労働力人口)。

    分類もいろいろされているがそれぞれ「穴」の形が違うそうだ。 特定非営利活動法人「青少年自立援助センターYSC」工藤定次理事長より

    • 第Ⅰステージ ⇒ 基礎中の基礎の訓練が必要とされる者(社会的ひきこもり)
    • 第Ⅱステージ ⇒ 基礎訓練を必要とする者(無業者及びフリーターの一部)
    • 第Ⅲステージ ⇒ スキルアップ及び集団行動訓練のみを必要とする者 (フリーター)
    フリーターも含むのかしら?と思うけど、フリーターと無業者を行ったり来たり する群もあるらしい。とにかく、ステージによって、あるいは個人によって 対応策が違うということらしい。

    で、国としても対策が必要ではあるけれども、それを考えるにあたって すでに民間、NPOなどで活動している団体を参考にしようとしようという論文が これ。 学校から職業への移行を支援する諸機関へのヒアリング調査結果-日本におけるNEET問題の所在と対応- 日本労働研究機構(JIL)は厚生労働省所管の特殊法人で そこの小杉礼子主任研究員が書いたもの。 さまざまな団体にヒアリングを行ってこれからの施策の方向性をまとめている。

    その団体の一部を紹介

    その他にも企業や地方公共団体の就業支援策を紹介している。 こうやって政策提言するのは保健も労働もおんなじなんだなぁと妙に関心。 やっぱり先に現場で活動しているノウハウを制度に盛り込むというスタイル。 「事件は現場で!制度は後追い」の典型かも。

    その他にも

    がおススメ。

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    2005.03.11

    報告書の季節

    3月といえば、年度末。いろいろ取り組んできた仕事をまとめて 報告書を出す季節とも言えます(実際は年度をまたぐこともありますが)。 報告書を残さないと、成果を形として人に示すことが出来ません。

    その仕事に関わっている間は、担当や関係者で盛り上がるものですが、 いったん幕を引いてしまうと「あの資料はどこにあるんだっけ?」とか 「結局どの数字を最終的に使ったんだっけ?」などを山のような資料の 中から探すハメになります。で、担当が異動でもしようものなら、 資料さえ開かれることも少なくなるという運命が待っている。 だから報告書は大事なんです。

    本当は報告書を作る作業に専念して、合宿でもしたい気分ですが あれこれ仕事に追われる時期でもあるので、そうもイカない。週末は あれこれファミリーイベントもあるし...

    前置き(愚痴?)が長くなりましたが、15年度から取り組んでいる 沖縄県小児保健協会の乳児健診モデル事業も報告書を出す時期と なりました。この間、協力してくれた市町村、関係者に感謝します。 まだ形にもなっていませんが、乳健委員会という場で商品説明を することになりました(今夜)。そのレジメ。


    乳幼児モデル健診について ~報告書の概要紹介~

    1.背景(モデル健診に取り組んだきっかけ)

    1. 20世紀のシステム(乳健等)を最大限に使って21世紀の課題を対処
    2. 育児支援に重点を置いた乳幼児健診の実現(健やか親子おきなわ2010) ※具体的な案はどこにもなかった(保育士との連携?)
    3. 満足度を上げる、ニーズに対応できる健診 ※その材料として出口調査を行う ※検討するための話し合いを持つ
    4. 集団方式のメリットを確認してPR

    2.モデル健診の実施内容

    1. 市部(浦添市・豊見城市) ※待ち時間を短く感じさせる工夫として番号表示を行った ※父親参加型乳児健診(各コーナーに父親席を配置しただけ) ※保健師を多く配置して、問診を充実させたり、振り分け保健師を置いた ※栄養士を多く配置して、個別相談やフードモデルの説明を充実 ※保育士との連携(相談というよりは情報提供)
    2. 郡部(大里村・国頭村) ※健診の流れがわかるように壁をなくしたり、表示をわかりやすくした ※保健師を多く配置して、会場全体を眺める役割を果たした ※保育士との連携(個別の相談にも対応した) ※母子歯科保健指導マニュアルを活用し、スタッフ間で役割分担 ※一斉健診型では流れや連携が重要

    3.モデル健診の成果と課題(検討中)

    1. スタッフ全体で健診事業の目的を確認することができた ※事後ミーティングを定着したり、市町村間で情報交換するためには ※「計画」の中にきちんと位置づけることができるか
    2. 他の機関と連携するスタイルで健診を実施 ※他の機関や地域の人材にスタッフとして健診に参加してもらうためには
    3. 問診重視型や栄養指導重視型等、市町村との契約パターンが可能になった ※市町村による格差が生じるのではないか ※特に小規模自治体では「業務に追われる」日々

    4.健診でなすべきこと(検討中)

    1. 受診者全体のニーズを把握して健診を実施する ※出口調査の実施、集計、分析(毎回でなくても良い) ※検討→実施→評価→見直しというサイクルを ※モデルチェンジ(オプション契約を含む)を行うことでこれらのニーズに対応
    2. 個別のニーズに対応する ※問診でのヒアリングで拾う/専門職としての視点から ※指導内容をある程度標準化させる ※マニュアルを作るにしても、内容は「主訴別」が良い(随時更新も) ※健診で問題が解決(または低減)したかどうか確認する
    3. ①・②を実現するためにどのような健診運営をすればよいか ※その健診モデルを提言する

    5.資料編

    1. 出口調査に使った質問票とその結果
    2. モデル健診の内容(写真)など

    なかなかそれを見ただけで内容がわかるレジメというのは作るのが 難しいですね。今日の意見や報告書の検討が進んだ時点でまたここで 紹介します。ではそろそろ、名護に向けて出発準備開始(今日は雨かよ~)。

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    2005.03.09

    離島の診療所から

    夕刊を見ていると、テレビ欄のNHK「きょうの健康」に

    危険!複合生活習慣病
    という特集が組まれていることを知った。 先日の瀬上講演でもメタボリックシンドローム及びその周辺病態に関して 適切なネーミングがないとの話があったが、「複合生活習慣病」 という呼び方ははじめて聞いた。 的を得ているような、そうでないような...

    NHKの「きょうの健康」に12年前に投稿した記事があるので、ここで紹介します。 今読むと、こっぱずかしいところもあるが、20代のころの足跡ということでご勘弁を。


    離島の診療所から
    (きょうの健康1993年12号愛読者コーナーに掲載)

    医師になって3年目に、沖縄県のある離島(人口約500人)の診療所を 1人で任されることになりました。赴任してから1年と4ヶ月が過ぎようと しています。

    1日に診る患者さんの数は少ないのですが、お年寄りの慢性疾患から、 観光客の耳や皮膚のトラブルまで、まさに「何でも屋」として働くことが 求められています。

    研修病院で、ある程度のトレーニングを受けたとは言うものの、やはり、 経験不足は明らかです。医学書で調べたり本誌を利用するなどして、 患者さんと共に勉強しながら診療をしている感じです。

    また、このような小さな島では、診療所に来る患者さんを診るだけでなく、 診療所に来ない人たちに何らかの働きかけをして、地域全体の健康に 対する意識を高めることも重要だと感じています。

    これからも、島民の健康維持のために、全力を尽くしていきたいと思います。


    「ある離島」というのは、小浜島のこと。3年目というのは、当時は 卒業して臨床研修2年修了後にすぐに離島勤務という体制でした。 (その後沖縄県では、臨床研修を3年に延長して、ある程度経験を 積んでから島に赴任するようになりました)。 「患者さんと共に勉強」というのは生活習慣の改善をどうしたらよいかを 一緒に話し合ったことだと思われます(^ ^;)

    離島診療所時代の記録としては、ここのサイドメニューに掲示している 「離島診療所における患者紹介の現状」もご参照下さい。これは座間味診療所時代。 要旨は以下の通り。


    座間味診療所における日常診療の守備範囲と病診連携の現状を把握するために、 他の医療機関への紹介患者について調査を行った。 調査期間は筆者が座間味診療所に赴任した平成7年5月から平成8年7月までの 15ヶ月間で、紹介患者数は延106例で全受診患者数に占める割合 (以下、紹介率)は2.04%、 診療科目別紹介患者数では、外科(脳外科を含む)、整形外科、内科、耳鼻科が 上位を占めたほか、産婦人科や泌尿器科でも紹介される率が比較的高かった。

    ヘリコプターによる救急搬送患者は全紹介患者の21%にあたり、整形外科と内科
    の患者が多くみられた。紹介の目的別分類をみると、
    患者の管理を紹介先に依頼する形の紹介(Referal)が82%で、
    専門医の意見を求めるための紹介(Consultation)の18%を大きく上回った。
    観光目的などで島を訪れた患者が外傷のため受診し、地元へ帰る際に
    治療の継続を依頼するための紹介パターンが特徴的と思われた。
    紹介状に対する返信率は63.6%と他の報告に比べて低い値を示した。
    このような調査結果をもとに、離島に赴任する医師に必要な研修の内容や
    診療所と後方病院の連携の重要性について、今後も検討が続けられることが望まれる。



    離島・へき地医療を志す医師たちの参考になれば幸甚です。

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    2005.03.08

    主役はB型

    血液型の話ではありません。今年流行しているインフルエンザのタイプです。 今年前半はノロ騒ぎがあってか、インフルエンザ流行の立ち上がりもスロー。 しかし、現在流行拡大28都道県で警報 インフルエンザ遅いピーク(共同3/4)

    インフルエンザの流行が拡大し、患者数は2月14-20日(第7週)に 28都道県で警報レベルを超えたことが、厚生労働省と国立感染症研究所が 4日発行した感染症週報で分かった。  厚労省は「収まる兆しはなく、例年より流行のピークは遅いとみられる」 と引き続き注意を呼び掛けている。
    という状況です。

    今年の特徴として挙げられるのが、

    今シーズンは発症者の6割以上が9歳以下で、 ウイルスはB型が半数以上と多いのが特徴。
    例年、A型の流行が終わった頃に「控えめに」登場するB型が今年は主役です。 したがって、 
    国立感染症研究所(東京)のまとめでは、 2月末までに全国から集まった1200余りのウイルスの約6割がB型。 「これほど多くのB型が現れるシーズンは初めてだろう」と同研究所 感染症情報センターの安井良則主任研究官。 「B型は春先までだらだら流行する傾向がある」と指摘する。 (3月2日asahi.com医療・健康欄記事より)
    まだまだ流行が衰える兆しはありません。やがて沖縄でも警報が出るはず。

    ではA型とB型の違いはなんでしょう。前出のasahi.com記事によると

    • 症状の違いはほとんどなし(重症化はA香港型に多い)
    • 薬はアマンタジンはAにしか効かない。タミフルにBは反応良くないという声も。
    • ワクチンについては「今のワクチンはB型にも対応している」 A型に比べて抗体ができにくいとも言われるが、一概には言えない
    おかあさん方の関心事は、このワクチンと流行の関係でしょう。実際、 私たちの保健所にあがってきた報告の中にも「接種したのにかかった」という例も 見られます。

    保健行政感染症ネットワークin北海道によれば

    近年世界的に流行しているインフルエンザB型ウイルスは2系統に分かれる。 すなわち、山形系統株とビクトリア系統株である。
    今シーズン流行のB型が米国と同じように山形系統株であるならば、ある程度 ワクチンは効果を持つと考えられるが、ビクトリア系統株が流行の主流となると ワクチンは効果を持たず、さらに一般的に抗体保有価が低いと考えられるから、 流行は拡大する可能性がある。ただしB型ワクチンとして、2年連続ビクトリア 系統株のワクチンを用いているからある程度は抗体の上昇は期待されている。
    というコメントを発表しています。

    では、実際に今年流行しているのはどっちなんでしょうか。 札幌市衛生研究所によると、今年分離したB型60株のうち54株が山形系。 東京都健康安全研究センターインフルエンザ情報によると 今季流行のB型株は昨年流行した株とは系統樹上は別のクラスターに属するとのこと。 系統樹によると(よく見方がわかりませんが)、victoria よりは yamagata に近そうな... 今年のワクチン株(B/Shanghai(上海)/361/2002(山形系統株)にも近いことがわかります。

    いずれにしても、

    東京周辺で幾分患者減少の兆しがみられる(第8週)ものの、
    全国的にはまだ流行が続きそうです。ご注意を。

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    2005.03.06

    乗り物酔いがひどいんですが...

    と質問を受けましたので、調べてみました。 「乗り物酔い」とか「motion sickness」で。 たくさんたくさんヒットしたということは、これに悩まされる人の多さを 示しているんでしょう。

    乗り物酔いを経験したことのある人は、みな「つらい思い出」として 心に刻まれていることでしょう(私もそう)。で、またそうなったらどうしよう という恐怖心をどこかに抱え続けることになります。これも誘因になるらしい。

    メルクマニュアル家庭版によると

    乗り物酔いは、脳が運動センサーから矛盾した情報を受け取ると起こります。 運動センサーとは眼、内耳の半規管(バランス調節機能を補助している)、 体の位置情報を脳に伝えている筋肉センサーを指します。 乗り物酔いの多くは、船旅で船が揺れているときに起こります。 また、車や遊園地の乗り物などに乗っているときにも起こります。 もともと乗り物酔いしやすい人もいますが、恐怖心や不安感があったり換気が悪いときには、 乗り物酔いしやすくなります。

    数ある予防・対処法を見ていると大きく分けて次の3つに分類されそうだ。 (太字はooyake推奨)

    バランス系
    • 遠くの景色を眺める(視野を広げる)
    • 頭と体を動かさないようにする(次の揺れを予測する)
    • 船の中なら「動きの少ないエリア」を見る
    • 本は読まない
    • 車では前の座席、バスならタイヤの上は避けるなど
    お食事系
    • ジンジャーエールを飲む
    • 空腹、食事直後は避ける
    • みかんなどの柑橘類は避ける
    • 酒は飲みすぎない(ホントに)
    • 脂肪分の多い食事をとらないなど
    メンタル系
    • 睡眠を十分にとること
    • 気分をゆったり、リラックス
    • 不安や恐怖を取り除く(内服薬などで)

    次の揺れを予測するとは、例えば車を運転する人は左カーブの時は 無意識のうちに体重を左側にシフトしています(左足を踏ん張る感じかなぁ)。 そうすると頭は固定され、酔わない。運転手が酔わないのはこのせいです。 後部座席に座っている人は突然左に曲がったときは、頭も体も右側に揺られます。 流されるままに流される。だから酔うんだはず。

    「運転手と同じように体重移動すれば良い」
    学生のときにいろは坂で試してみたら酔わなかったので、それ以来この方法で納得しています。

    じゃあ、船はどうなの?と言われるかもしれませんが、上下の揺れが 来るとわかったら、膝を使って揺れを少なくするようにします。 「ちょうど、スキーのこぶ斜面を膝で吸収するような感じ」という表現を する人もいましたが、私にはピンときません。 とにかく、予測して頭を動かさないようにするというのが原則みたいですよ。

    それとジンジャーginger rootは試してみる価値がありそうですね。 medical link (college of wisconsin "motion sickness"より)

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    2005.03.04

    これからの地域保健のキーワードは?

    平成16年度地域保健総合推進事業発表会@品川コクヨホール。 厚生労働省の瀬上参事官のあいさつより。

    健康危機管理対策
    地域で起こっている健康危機事例に適切に対処する
    メタボリックシンドロームへの対応
    生活習慣病対策の中でも、特にメタボリックシンドロームと呼 ばれる病態、あるいはそれに近づきつつある人たちへの対応を強化 する必要がある。17年度からはじまる健康フロンティア戦略の中の 働き盛りの健康づくりの中心課題となる。
    健康弱者への対応
    自治体で行われる保健事業の優先順位づけをして頂く。 単に死亡が多いという理由で優先順位をつけるというのではなく、 さまざまなデータを用いて浮き彫りにする。そしてそれを地域保健 計画に記載すること。

    他にも、都道府県レベルでの保険者の連携の必要性なども説い ていた。さすがにはっきりと「医療費適正化」とは言わなかった。

    地域保健計画制度については、少し慌てて取り組まないといけ ないかもしれない。これまでのヒモつき補助金から、交付金化・統 合補助金化へ変わることにより、より計画に基づいた施策展開が求 められてくるだろうから(都道府県の裁量性の発揮)。

    とにかく17年、18年は保健医療福祉の制度改革目白押し。

    • 医療計画制度の見直し
    • 健康増進計画制度の見直し
    • 地域保健計画(仮称)制度の位置づけの明確化

    健康局だけでもこんなにあるのに、老健局の地域支援事業計画、 老人保健事業の見直し、介護保険制度改定も含めると、市町村の保 健事業も大転換の年となりそう。要支援というか一緒にこの荒波に 流されないようにしなければ。

    来年度もやんばるでがんばる!

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    2005.03.02

    介護予防のエビデンス

    東京都老人総合研究所(都老研=都立じゃなかったのね)が開 発して特許出願中のおたっしゃ21(全国に有償配布中)

    身体衰弱、転倒、軽度の痴呆、尿失禁、低栄養の危険 性を判定するものです
    とあり今が旬の、65歳以上の 介護予防の判定におけるわが国唯一のエビデンスかも。

    今のところ、18年度からはじまる地域支援事業の全貌がまだつ かめないでいるが、きっとこのエビデンスが最後に物を言いそう。

    1. 普段、ご自分で健康だと思いますか(あまり、違う)
    2. 現在、3種類以上のくすりを飲んでいますか(はい)
    3. この1年間に入院したことがありますか(はい)
    4. この1年間に転んだことがありますか(はい)
    5. 現在、転ぶのが怖いと感じますか(はい)
    6. 一人で外出(遠出)できますか(いいえ)
    7. 一人で1キロの距離を続けて歩くことができますか(いいえ)
    8. 一人で階段の上り下りができますか(いいえ)
    9. 物につかまらないでつま先立ちができますか(いいえ)
    10. トイレが間に合わなくて失敗することがありますか(ある)
    11. 尿がもれる回数は1週間に1回以上ですか(はい)
    12. あなたは趣味やお稽古ごとをしますか(いいえ)
    13. 肉、卵、魚介類、牛乳のいずれかを毎日食べますか(いいえ)
    14. 食事づくりを週4〜5回以上していますか(いいえ)
    15. これまでやってきたことを最近やめてしまいましたか(はい)
    16. 貯金の出し入れや公共料金の支払い等ができますか(いいえ)
    17. 自分で番号を調べて、電話をかける事ができますか(いいえ)
    18. 薬を決まった量・時間に飲むことができますか(いいえ)
    19. 握力は29㎏以上(男)、19kg以上(女)ですか?(いいえ)
    20. 目を開いて片足で20秒(男)、10秒(女)立てますか(いいえ)
    21. 5mを歩くとき、4.4秒(男)、5秒(女)未満ですか(いいえ)

    それぞれに質問項目について( )のように答えると得点があ り、虚弱とか尿失禁とか低栄養などのリスクを算定できる。 何でも国内5000人(50000人?)だかの高齢者の通過率などのデー タから編み出したというアセスメントモデルのようです。

    これらによってハイリスクと「認定」された高齢者に対しては、 これまた都老研が開発した「エビデンスに基づいた介護予防事業」 が準備されている。わが国で行われている各種介護予防事業のうち、 効果が科学的に証明されているものは少ないという状況の中で、こ の筋トレをはじめとするメニューが普及するというサンミンだ。

    ただ、これらメニューの効果は教室に通っている期間にのみ認 められているのか、最近発刊されたテキストには、行動を継続する ための解説や健康行動モデルなどにページを割いている。長期的な 効果が確認されればさらに強力なエビデンスとなるだろう。

    しかし、項目が高齢者の地域での生活に根付いているかと言え ば、そうとも言えない部分もある。たとえば、片足立ちで20秒以上 立つとか、5mを4.4秒で歩くとかいうことを目標にしているお年 寄りは稀だろう。これは専門家のニーズかもしれない。

    住民のニーズを反映してこそ、アクセプトされるのだから、項 目はもう少し生活感があっても良かったのではないかしら、という 気もする。

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    2005.03.01

    Can I smoke here?

    と英語で聞かれたら、誰だってドキドキするはず(しないか)。 そんなときわかりやすい表示ポスターがあれば、相手も協力してくれるはず。

    というわけで、今年の世界禁煙デーにはポスターを募りますという案。 名づけて「敷地内全面禁煙区域表示ポスターコンテスト」 ちなみに昨年は「禁煙・分煙推進標語募集」でグランプリには 「お父さんはこっち来て。お父さんのたばこのけむりはあっち行け」という作品が 選ばれて、ポスターを作って管内に配布しました。

    今年ポスター表示を募集することを考えたのは、今年度学校を対象に行った 実態調査の結果も影響している。北部地区の小中高校79校へ調査したところ

    • 禁煙区域の表示をしていると答えたのは3.8%のみ
    • 敷地内全面禁煙実施予定1.4%、検討中が62.2%
    • 敷地内禁煙を実施するために必要なものは、父母の理解(77.3%)、地域の理解(64.0%)、職員の理解(60.0%)が上位であった (ちなみに再三指摘を受ける県教育庁の方針決定は34.7%)
    という結果であった。

    校門に「敷地内では喫煙をご遠慮ください」という旨のポスターを貼るためには それなりの手続きが要る(はず)。

    • 職員・校長が趣旨を理解する
    • 父母やPTAが趣旨を理解する
    • そして地域の住民が趣旨を理解する

    これらをクリアしてはじめて生徒手作りの表示ポスターを掲げることを 皆で喜ぶことができるのであろう。 先は険しそうだが、形だけの敷地内禁煙では意味なし法一... 次は地域で説明するための教材を作りましょう。

    ポスター募集についての詳細は決まり次第、お知らせしますね。 kinen_heart031禁煙掲示ポスターを提供しているサイトもありました (学校の禁煙化を支援するホームページ)

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