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2005.10.29

○○予防でまちづくり

秋の投稿シリーズ。もうすぐ別タイトルで業界系雑誌に掲載される予定です。
その原案。ここから大幅に修正されるんだはず(たぶん)。
この視点は前々から感じていたことをまとめたものです。

「一歩前え!」
という副題をつけようかと考えましたがやめました。
(この言葉は旧公衆衛生院の壁の貼紙)

○○予防でまちづくり

災害弱者を守る地域ネットワーク会議
ハリケーン「カトリーナ」で避難できなかった多くの住民が援助を求めて苦しむ姿を映し出したニュース映像が、強烈な印象として記憶にとどまっている人も多いだろう。彼らは災害弱者そのものである。災害弱者とは、身近に災害などの危機が迫っているという情報を得ることができないもの、または情報を得ることができても自らの力ではそれを回避(避難行動など)ができないものと定義されている(防災白書より)。防災活動には、自助・共助・公助の3要素があることが以前より言われてきた(この場合の公助とは消防や役所など公的機関が行う救助活動のことを指す)が、9月1日の防災の日に合わせて各地で訓練が行われているのは、主に公助に関わる関係機関の連携を図るために行われている。しかし、一般的に被災直後には公助は十分には機能しないため、災害発生してから約72時間は、自助あるいは共助により住民は身を守らなければならないと言われている。特に災害弱者を守るためには、地域コミュニティのネットワークを活用した共助機能が重要になってくる。  当福祉保健所では今年度、市町村の協力を得てモデル自治会を選定し、災害弱者を守る地域ネットワーク会議を開いている。台風銀座と呼ばれ対策には慣れていると言われる沖縄だが、まれに避難が必要な暴風雨に遭遇し、数年前には避難しそびれた独居高齢者が死亡するという事例も発生している。この会議では図に示すように、時間の経過に沿ってそれぞれがすべきことを埋めていった。
地域の災害弱者は誰が守る?
公民館でのワークショップでは、まず地域のリーダー的な存在である婦人会や区長らを対象に「この地域で災害弱者と呼ばれる人にはどんな人がいますか?」という質問を投げかけた。「一人暮らし老人」「車椅子の人」「目の見えない人」「共働きで昼間子どもだけが家にいる家庭」「ひきこもりで情報が届かない人」など、次々と地域の災害弱者たちが挙げられた。では災害が起こる前(すなわち平時から)これらの人たちに対してコミュニティは何ができますか?と聞くと、今度は区長や駐在から「区としてそういう立場の人がどこに住んでいるかは普段から把握しているつもり」と意見が出て、他にも「普段から声かけしておく」「地域の弱者マップを区で作っておく」「誰が救助するか決めておけばいいんじゃないの?」「うちの区ではもうやってるよ」など次々と挙げられた。「あとは訓練しないといけないから区長さんと今度相談してみるよ」との声も聞かれた。ワークショップの感想としては「普段何となく不安に思ってるんだけど、こうやって考えるとあらためて大事だと思った」「気づかない点もあった」など、これまでそういう場がなかったことを教えてくれた。
 「共助」が大切だからと、こちら(行政サイド)が計画を作って旗をふっても、なかなか住民は乗ってこないことが多かった。しかし、こうして一緒に考える場を作り、そこから関係者を巻き込む動きを手伝っていけば、地域住民が主体的に取り組んでいくことが期待できる。もちろん「自助」の視点も必要で、弱者自ら(あるいはその支援者)が、災害や健康危機をどのように捉えているかを聞き、それに備えて普段からすべきこと、発生直後にすべきことを確認する作業も行うべきである。
ワークショップは今後、災害弱者と呼ばれる老人や障害者も対象にして行い、それぞれの場面で何をすべきかを整理していく予定である。公助の部分については、北部福祉保健所健康危機管理対策連絡会議ですでに意見聴取を終えていて、これらを地域の災害弱者対策マニュアルとしてまとめる予定である。
ニーズの掘り起こし
今回のワークショップは地域におけるニーズの掘り起こし作業とも言える。災害弱者対策という住民が気づかないニーズについて考える場を提供し、住民自身が地域のアセスメント作業を行う。そして問題に対処する(マネジメントする)際も、地域の資源を活用しつつ自ら主体的に行動することを計画し、官はその支援を行うという形を意識した。
この構図は、他の領域にも適用可能である。例えば介護予防は、地域に住む虚弱老人(失礼な呼び方だと思うが)を掘り起こし、個々の状態をアセスメントしてマネジメントを計画する。受け皿としては、いわゆるエビデンスがある筋トレ教室等だけではなく、住民が主体的になって取り組む地域活動なども広く取り込んで、地域に住む弱い立場の人を地域の住民活動が支える体制を作るべきだろう。それが「介護予防で地域づくり」という理念を現実に近づける。
児童虐待についても、予防の視点で地域の情報を収集分析しハイリスクと判断された人については、地域の「おせっかいおばさん(あるいは保健師)」のようなアプローチを駆使して孤立化を防ぐ手段も有用だろう。また、受け皿として子育てに関する地域活動を盛んにしたり、環境整備を図ることも重要な予防策である。
災害弱者対策でマップ作りなどを検討する際に、公的な機関は個人情報を本人の承諾なしには提供することはできないため作業が頓挫することがよくある。これも公助の限界である。しかし、地域コミュニティでは住民の口コミというインフォーマルな情報伝達手段で助けの必要な人の把握が可能である。また、これらの取り組みを継続的に行うためには、住民や関係機関と目的の共有化を繰り返し図ることが必要になる。
コミュニティエンパワメントに向けて
尾身茂WHO西太平洋事務局長は、閉塞感漂う現代日本の状況を「関係性の喪失」と表現し、それを打破するのは公衆衛生人であるとエールを送った。三位一体改革などで地方自治体を取り巻く情勢が厳しい今だからこそ、守備範囲を住民側に一歩シフトさせて、予防の視点で住民や関係機関をつなぐ役割が重要になる。もともとコミュニティには力が存在していた。今はその力を引き出す時である。家族や住居の形態が変わりはしたものの、日常的に顔を合わせお互いの生活を(良い意味で)監視し、いざという時には頼りになるようなコミュニティが少しづつでも増えていけば、公衆衛生人による「関係性の再構築」もあながち遠い夢の話でもなかろう。

課題は予防の視点での施策がなかなか評価されないということ。
役所内での攻防では「経済効果」という御旗で、金額として示すのが主流。
でもなかなか説得力を持たないのが現状だと思う。
それよりも地域コミュニティが実際に力を発揮した姿を、住民や役人たちが
いっしょに確認できるような展開がいいのかもしれない。

悩みつつも前に進みましょう。

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2005.10.26

やんばる母と子の命を守る 7

昨夜7回目の勉強会が行われ、具体的な提言案をまとめる作業が始まりました。


第7回目レポート

10月25日(火)午後6時半より、18名が参加。
テーマ:「これまでの活動の振り返りと今後に向けて」の意見交換

まずこれまでの6回の勉強会の概要が報告された後
この勉強会からの提言という形で、関係機関に情報発信してはどうかとの提案がなされた
提言は必要であるということで意見は一致した。

提言する内容

  • 目標と現状のずれ
  • 目標を達成するために必要な対策の具体的な案
  • これらを3つの柱に沿ってまとめる

提言することのメリット

  • 本庁に現場の声を届ける
  • 関係機関からの情報も得やすくなる
  • 関係機関(市町村など)も具体的に何をすればいいか見えてくる
  • 他地域の住民にも北部の現状を伝えて、問題認識のギャップを埋める   
    • 「南部病院委譲反対」の看板も地元以外の人には違和感あった
  • 県立病院2極化構想の結果生じる北部の現状を訴える   
    • 本当に県立病院がカバーしなければならない領域の問題提起

提言することの波及効果

  • マスコミ対応
  • 言葉は慎重に選んで提言すべき

提言先はどこになるの?

  • それぞれの提言をどこの機関に行うかも検討が必要
  • 本来ならこの問題に特化した検討委員会などがあってもいいはず   
    • そういう提言も必要なのか
  • 医療行政と県立病院管理のはざま
  • 県立病院の10年先のビジョンはどこに描かれているのか
    • 「保健医療計画」と「県立病院あり方委員会報告書」のどちらを重視?
  • これまでの要請はどういう流れで処理されたのかがわからない   
    • でも小池百合子さんまでは届いている
  • 地区保健医療協議会を通じて提言するのも1つのルートかもしれない

(その後具体的に必要な対策について意見交換が行われた

柱1「医師確保」について

  • 新聞報道等ではHPに応募してきた医師がいるという情報
  • 赴任した医師に対して歓迎のメッセージを送ることも大切
  • 給与厚遇?は無理としても保険に対する準備など
  • 今必要なのは中部に通うハイリスク妊婦の通院負担を緩和させるための外来
  • 保健指導も助産師が時間をかけて行うことができる
  • カルテの管理が難しそうだが...
  • 今後再開したとしてもこれまでとは違う体制で運営すべき
  • 開業産科との役割分担、ハイリスク妊婦の管理などを中心に
  • 10年先の県立病院のビジョンを提言することも必要かも

柱3「ハイリスク妊娠を減らす母子保健活動の充実」について

  • 産科で妊娠証明を発行して市町村で母子健康手帳を交付するという流れ
  • 産科でどのような説明を受けたのかがわからない(紹介理由なども)
  • ハイリスク妊婦であることを示すカードがあるといい
  • ハイリスクも肉体的(疾患)とかコンプライアンス悪いとか分類する   
    • 全妊婦の約20%が該当する
  • 市町村が優先的に訪問するとか、母親学級に参加呼びかけることが可能に   
    • 必要な人に濃厚に関わることができる
  • 産科での説明を繰り返して行うことができる
  • 同時に妊婦の持つ不満を受け止める場にもなり得る
  • カードを持つことで妊婦にもメリットがある?
    • 必要なケアを受けることができる(専門職から見たメリット)
    • 通院支援のための高速券発行などもあったらいい(患者にとってメリット)

それぞれ柱1と柱3グループに分かれて作業を続け、次回にはレポート提出
柱ごとのまとめも必要だが、全体を把握するためのシンポジウムも必要では?

  • それもメーリングリストで検討しましょう

次回は11月29日(火)です。

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2005.10.22

校長先生のための敷地内禁煙化マニュアル

週明け月曜日には教育事務所主催に学校校長会があります。
そこで1時間も時間をもらって、お話することを許されました。
テーマはずばり「学校敷地内禁煙について」
これを推進するためには校長先生の理解と協力が必須です。

というわけで以前もお知らせした学校敷地内禁煙化マニュアルを
校長会で配布することになりました。

manual2005
A5サイズ。合計12ページ(うち4ページは校長先生自身のメモ欄)
表紙(表裏)のみカラー刷り。あとは白黒。
学校数(約80冊)印刷製本(ホッチギスですけど)して配布する。

これを虎の巻として敷地内禁煙化を進めてくれる校長先生が
一人でも増えることを願って講義してきます。

内容は6ステージから構成。その概要は以下の通り。

  1. 校長の決断ステージ
    • 学校敷地内禁煙は時代の流れ
    • 日本学校保健学会
      • 「タバコのない学校」プロジェクト
    • 健康おきなわ2010(県民運動)たばこ部会
      • 敷地内禁煙の学校数を増やすことを目標に
    • 積極的に取り組む姿勢が評価される
    • 「喫煙は病」との認識で医療機関に相談を
  2. 下調べのステージ
    • 職員や来客者にどれくらい喫煙者がいるのか
      • 抵抗勢力?協力者?
      • これをきっかけに禁煙する人もいる
    • 月曜朝に仕事が「吸がら拾い」してませんか
      • 地域の大人が捨てた吸がらを子どもが拾う現状
    • 地域に禁煙を支援してくれる医療機関名は?
      • 保健所に聞いてみる
      • 学校医や学校薬剤師に聞いてみる
  3. 所信表明ステージ
    • 職員会議や学校保健委員会の場で方針決定
      • 教育委員会にも伝えましょう
    • 同時に禁煙を支援する体制について伝える
      • 喫煙する職員や関係者向けに
    • 学校医や学校薬剤師に禁煙支援にも関わってもらいましょう
      • →たばこ問題検討委員会を
    • 治療代が高い?
      • たばこ代よりは安いと思いますけど…
  4. PTAへの説明ステージ
    • 職員以外の喫煙者(PTAなど)の協力が必須
      • 喫煙率の高い世代(20~30代)
    • ここがネック?
      • 子どもの健康を守ることには反対しない(はず)
    • PTA集会や勉強会などで説明
      • 「学校ではたばこを吸わないで」
      • もちろん禁煙に導けたら、もっといい
  5. コーチ陣への依頼ステージ
    • クラブ活動の指導者として、学校に協力してくれる地域の方々へもお願いします。
      • 学校で、いや、子どもの前でたばこを吸わないで
      • あなたたちは子どもの「見本」です
      • 影響力がとても大きい
    • 健全育成の観点から敷地内禁煙への協力を依頼
      • たばこの害を伝える役割も担えるはず
  6. 禁煙区域表示ステージ
    • ここまで進んではじめて敷地内禁煙化達成!
    • 校門や建物入り口のわかりやすい位置に表示
      • 示しないと喫煙者も協力できない
      • 表示していると「学校の中では吸わない」
    • ポスターやロゴマークを活用
      • 子どもたちの手づくり作品であれば効果大
    • 保健所などの分煙認証制度にも申請を

マニュアルの効果をはかる指標は?まだ決めていません。
モニター調査が必要かも。

使ってみたいなぁ(見てみたいなぁ)という方には、こんなもんでよろしければ
差し上げますので、メールでご連絡を。

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2005.10.21

長寿の邦おきなわの回復をめざして

「月刊自治研」10月号に掲載された原稿の原稿。
全体のテーマは「市民の健康・自治体の関わり方」ということで
沖縄らしい取り組みの紹介を!ということでした。
あまり自信ないけど、過去の先輩たちの実績を見ると、横のつながりを生かした

官民一体化した取り組み
というのも1つの切り口だろうと思って。
ただ、現在最も先進的な取り組みをしている市町村(佐敷町)については
間接的な情報をもとに紹介させていただきました。
今日の新聞でも、
「ちゃーシュガー健康づくりキャンペーン」の一環として
道行くドライバーに健康づくりのチラシとステッカーを配布し、
さらに交通ルール遵守を呼びかけた
という記事が載っています。さしゅが。

はじめに
観光客数が年間500万人を超え、琉球料理店などの沖縄関連店舗の「本土」進出が盛んになった現在でも、沖縄に対して抱くイメージはステレオタイプであることが多い。すなわち、「ヘルシーな食生活と少ないストレスで皆が健康長寿」などである。さすがに最近は英語ペラペラ?と言われることは少なくなったが。
その理由としては、1972年に本土復帰するまでは米国占領下に置かれ(その影響は今でも強く残っているが)、本土にとっては「遠い存在」であったことと、独自の文化と制度のもとに歩んできた沖縄の特殊性が挙げられる。
沖縄の衛生行政は、第2次世界大戦直後、極端な保健医療人材不足という状況からリスタートした。人材を有効に活用し、感染症対策では官民が一体化した島ぐるみの取り組みを展開して種々の問題を解決してきた。また、保健所は診断・治療機能をも有した公衆衛生の第一線機関として活動を続けてきた。
しかし現在の沖縄は、中高年層の生活習慣病の合併症による早世、障害を抱えた長寿者の増加、脂肪分が多い食事で肥満者の増加などの新たな問題を抱えている。
本稿では沖縄における昨今の衛生行政の一端を紹介するとともに、今後の課題について報告する。
沖縄衛生行政の変遷
占領下の体制について
沖縄における戦後の衛生行政は、昭和20年8月20日に米軍政府の諮問機関である諮詢委員会(住民代表会議選出15人で構成された初の公的機関)が設置されたところから始まる。当時戦禍にあってすべて破壊され、かつ住民の集団移動、戦時中の過労、栄養状態の悪さ、環境衛生の悪化等により住民の間にマラリア、日本脳炎、赤痢などが流行した。翌年4月に沖縄民政府が設立され公衆衛生部が発足し、米軍を主体とした環境衛生業務に重点が置かれた。昭和27年に琉球政府が創立すると保健所法が制定され、県内5ヶ所に保健所が公衆衛生の第一線機関として始動した。当時、米兵の間に性病が蔓延していたためその予防のために、米軍が保健所設置に力を入れた。そして、保健所の性病クリニックには毎日のように診断と治療が行われ、始業時間前から接客婦の患者さんが保健所に押しかけ収容しきれない人は所外の庭まではみ出して待っていたというエピソードもあった。
特徴的な疾患
保健所の業務も、本土復帰までは感染症対策が中心であった。性病以外の疾患としては、結核、マラリア、寄生虫等が公衆衛生上の課題として立ちはだかった。いずれも、医療資源が不足しているなかにあって、官民一体となって課題に対処してきた構図が伺える。
結核対策は昭和29年に結核予防対策暫定要綱が制定された。結核の健康診断や在宅患者の治療並びに療養指導が実施され、特に在宅患者の治療においては公衆衛生看護婦による訪問服薬支援が行われた。治療に関する費用は琉球政府が負担した。また、昭和37年からは患者やその関係者らの行動によって、県外療養所への患者送り出しも行われるようになった。
感染症対策の歴史は、地域の特色がさらに色濃くあらわれている。
八重山地方では戦中・終戦直後にかけてマラリアが流行したため、その根絶を目指して米軍406総合医学研究所の昆虫学博士ウィーラー博士を招いて、米国民政府(USCAR)のバックアップのもとでDDT屋内残留散布方式を用いた「ウィーラープラン」を実践し、流行を根絶した。
宮古地方では昭和36年の風土病総合調査にて、フィラリアの浸淫状況が平均25%以上となり、早急に防遏対策を講じる必要があるという状況であった。保健所内にフィラリア防圧課が設置され、島ぐるみで防圧事業が行われた。住民への周知を徹底し、夜間に行われた採血検査の受検率は、宮古地区全体で99.2%(65018人が受検)と非常に高率であった。
公看(公衆衛生看護婦)の存在
このような感染症対策において重要な役割を担ったのが、公衆衛生看護婦(公看)であった。公看は昭和26年より業務を開始し、その多くは市町村駐在公看として地域の保健医療の担い手として活躍した。結核対策では在宅治療患者の訪問をして服薬管理を行った。感染症対策では、衛生教育は普及啓発にも力を入れた。公看は、昭和47年本土復帰が実現し衛生行政にも本土法が適用され、名称が保健婦となって後も市町村に駐在し保健活動を続けた(平成9年まで)。
官民一体となった公衆衛生活動
八重山地方でのマラリア根絶計画と宮古地方でのフィラリア対策は琉球政府とUSCAR(米国民政府)が中心となって行われた風土病対策であったのに対して、その後行われた腸内寄生虫に対する「寄生虫ゼロ作戦」は民間団体が主軸となって展開されたマスキャンペーンとして知られている。沖縄県寄生虫予防協会がマスコミと連携して短期集中的にゼロ作戦を展開し、その成果も公表した。同協会の活動には、医師や技術者などがボランティアで関わり、関係機関、学校、市町村、婦人会なども協力して寄生虫撲滅の運動を拡大していった。もともと、横のつながりが強い沖縄の社会風土が運動を発展させたと言われている。
そして現在の沖縄の現状
26ショック
平成7年沖縄県は世界長寿地域宣言を発表して、長寿の邦「おきなわ」を広く世界にアピールした。これにより県内の健康関連産業も活性化し、観光や食品産業においても健康長寿をブランド化する動きが加速した。しかし、それから5年後の平成12年都道府県別生命表において、沖縄県男性の平均寿命順位が4位から26位へと大幅に下降してしまう。女性は1位をキープしているが、直近5年間の寿命の延びに関しては46位(男性は最下位)となり、このペースが続くと女性の順位も下がることが予想された。このニュースはマスコミ等で「26ショック」として報じられ、県民に大きな衝撃を与えた。また、高齢者に関しても、65歳時の平均余命は全国トップクラスで長いものの、そのうち障害期間(障害などのため介護を必要とする期間)も長いという結果で、健康長寿県とは言い難い実態が判明した。
肥満先進県沖縄とその背景
このような状態をきたした原因の一つとして、糖尿病や急性心筋梗塞、脳血管疾患などの生活習慣病とその合併症により、中高年層の死亡が増えていることが挙げられており、その基には肥満者の割合が全国に比して高いというデータが存在する。特にBMI(=Body Mass Index、体重kg÷(身長mの二乗))が30以上の高度肥満者が多いことが明らかになり、「肥満先進県」と呼ばれることもある。栄養食生活に関する各種調査では、摂取カロリーは他県なみだが脂肪の摂りすぎであること、魚より肉を好むこと、缶詰類など加工食品が多いこと、外食や飲酒の機会も多いなどの実態が浮き彫りになった。これらの県民の生活習慣は社会背景と密接に関わっていることも確かだ。戦後、食糧物資が極端に不足していた時代には、米軍基地内から缶詰類などの加工食品が一般の家庭に流入し、間もなく定着していった。また、飲食店が多くいわゆる夜型社会が定着していること、鉄軌道がないため車社会(ドアからドアへ)が浸透している社会環境が、肥満につながる生活習慣を招いていると言われる。
死亡広告に見る沖縄の健康状況
地縁血縁の横のつながりを重視する沖縄では、毎朝新聞を読むときに死亡広告欄には目を通す人が多い。その日に執り行われる告別式に関する情報を得ることができるからだ。友引の日以外は毎日見ることができる。その構成は、故人に関する情報(年齢、屋号、死亡の原因等)と告別式に関する情報、そして遺族に関する情報からなっている。死亡の原因については、「病気療養中」「急逝」「不慮の事故」「天寿を全うし・・・」などの表現がある。最近では急性心筋梗塞もよく見る死亡原因だ。遺族に関する情報では、喪主を筆頭に家族構成がわかるような形で列記されている。特に急性心筋梗塞などで壮年期に死亡した例などは、「妻」が喪主となり一家の大黒柱を失った家族の名前がその後に続く。また、青壮年期の死亡では両親が喪主のケースもあり、長寿を支えてきた高齢者たちを残して、若い世代が他界するという現在の沖縄の健康状況の縮図のような気がしてならない。
健康づくり運動の展開
疾病構造が感染症中心から生活習慣病へとシフトしてきた現在、再び官民一体となった公衆衛生活動が求められている。沖縄県南部の佐敷町では、高騰する医療費対策として役場を中心とした健康づくり運動が開始された。肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症などで観察や指導が必要と判断された町民ひとりひとりをバックアップするための教室で約3ヶ月間の取り組みにより、血糖値やコレステロール値が下がるなどの効果が現われた。また、教室に参加せずに自宅で食事内容や体重をチェックするモニターについても同様に成果が見られた。町では健康づくり推進大会を開き、参加者が自らの体験を発表したり寸劇などを披露することで町民全体への運動の浸透を図るとともに、住民が主体的になって取り組む雰囲気を醸成している。沖縄県内ではこの佐敷町をモデルにして健康づくり運動を展開する自治体が増えてきている。
今後の課題
保健政策の推進
健康づくりを推進し、健康長寿の座へ復活を目指すため、当地でも健康増進計画に基づいて取り組む自治体が増えてきた。今後、いっそうこの動きを進めるためにはそれぞれの自治体で全庁的に健康問題を考える必要がある。沖縄県の健康ブランドの凋落が、観光をはじめ関連産業に影響を与えると言っても、今のところは保健分野のみの取り組みが中心である。関連する部局を巻き込んで全庁的に保健政策を推進する状況を作りだすことが望ましい。特に離島をはじめとする小規模町村においては自治体の基盤(足腰)が強くない状況にあるが、他町村とも足並みを揃えて保健所圏域を単位として調整していく必要がある。保健所と市町村との関係がまだ希薄ではないと言われている本県では、両者が連携して取り組むことが期待できるのではないか。
再び官民一体化した取り組みを
横の人間関係を重視する社会風土が根強く残っている沖縄においては、「イチャリバチョーデー(集えばみな兄弟の意)」という言葉があるように、それぞれが「郷土のため」という旗印のもとで連携して取り組める素地があると思われる。先人たちの功績を知ることで、今、目の前にある問題に対しても官民一体となった取り組みの重要性を認識できる(実際平成13年度からの麻疹ゼロプロジェクトも同様に推進されている)。  保健所は地域の公衆衛生の拠点として、50年以上にわたって活動を続けてきた。古くは寄生虫や結核などの感染症から、現代の生活習慣病対策や環境衛生対策、そして健康危機管理などその課題は時代により変化してきている。しかし一貫して変わらないのは、住民の生活や健康に密着しているという姿勢であり、対策の実際は人と人とのつながりの中に実現することをこれまでの多くの事例は示している(平成14年『保健所の過去・現在・未来』沖縄県北部保健所より)。これからの保健所には地域の専門機関として企画調整機能が期待されているが、たとえ直接的なサービスからは遠ざかってもこの人と人とをつなぐ姿勢を貫くべきであろう。

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2005.10.20

イルカと胎教

ホテルで見ていた6チャンネル(通称米軍放送)での映像。abc051018_t
10月18日ABCのオリジナルニュース

専門家は、さらに詳細な分析が必要なものの、

イルカの声が子宮内の赤ちゃんの脳の発達に刺激を与えている
と訴えている。
イルカは仲間が妊娠したことがわかるように、人間が妊娠したこともわかる?
"They (dolphins) can tell when another dolphin is pregnant and they can certainly tell when a human is pregnant,"
写真のように、胎児に向かって話しかけているような映像が見られた。

子宮内にいる赤ちゃんに音楽を聞かせるという早期幼児教育にはいくらかの 影響がある(長期的な効果についてはノーエビ=エビデンスなし)といわれているが その最新の方法がこのDolphin therapyらしい。

そうか、こういうのを胎教と言うのか...

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2005.10.18

ガフキー陽性でも慌てないために

今夜は地区医師会の学術講演会で勉強してきました。
テーマは画像による結核と非定型抗酸菌症の鑑別方法。
講師は琉球大学第1内科医の藤田次郎教授。大変勉強になりました。

非定型抗酸菌症のうちmycobactrium avium conplex(MAC)に
焦点をあてて解説していただいた。両者の違いを簡単にまとめる。
MACに特徴的な所見( )内は結核の所見。

  • 基礎疾患のない中年女性
  • 中葉及び舌区が好発部位(上葉)
  • CTでは気管支拡張像あり(なし)
  • 胸膜石灰化少ない(よくある)
  • 空洞壁の厚みでは結核との鑑別は困難


ガフキー陽性でも慌てないためのポイント

  1. まず非結核性抗酸菌症を念頭におくこと
  2. ガフキー陽性でも直ちに療養所に送るのではなくPCRの結果を待てる状況かを判断すること
  3. 患者の性別、基礎疾患の有無を考慮すること(女性で、かつ糖尿病などの基礎疾患がないときにはMAC症を考慮)
  4. 病変の場所は上肺野優位か、中葉・舌区主体かを判断すること(中葉・舌区主体であればMAC症を考慮)
  5. 気管支拡張症所見を認めるか、否かを判断すること(小粒状影が中葉・舌区主体であればMAC症を考慮)


気管支拡張所見については、

もともと気管支拡張症があったところにMACがcolonizationしたのはなく、
MAC感染をきっかけに気管支拡張症をきたす(画像上のスコアが悪化)

肺機能検査をすると閉塞性パターン(air trappingなど)を示すのは
細気管支から肺胞のレベルで類上皮細胞浸潤が広がって細気管支は
さまざまなレベルで内腔が狭小化しているため(病理で証明)

講義内容もそうだが、香川という地方にいても、仲間を増やして
臨床研究を実践してきた姿勢とその実績のすごさに感服しました。

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2005.10.16

保険免責制度

これから冬にかけて国民的議論になると思われる医療制度改革
その用語解説より(日経の記事です)

加入者が病気やケガにあい保険から給付するときに、一定額までは
保険の対象から外し、本人負担とすること


保険の支払い額が急増すると保険財政が悪化するため、保険運営者
が支払い額を抑える狙いで設ける。民間の自動車保険では軽度の事
故などは保険の対象外とすることが多い。医療保険でも短期の入院
を保険対象外とするものもある。


フランスでは公的な医療保険でも外来診療の度に必ず1ユーロ(約
135円)を負担する免責制度がある。保険免責を導入すると、患
者の窓口負担が増えるため、日本医師会などは

「症状が重くなるまで通院を避ける人が増え、かえっ
て医療費が増える」
と主張し、導入に反対している。


医療費に5000円かかった時の患者の窓口負担
  • 現在は5000円の3割1500円負担
  • 1000円免責になると、1000円プラス残りの4000円の3割1200円
    で合計2200円負担となる

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2005.10.13

HIV/AIDS関連アンケート

案ですが、基本属性は年代と性別だけ聞いて

行動レベル
  1. 過去3ヶ月以内にコンドームを使わないセックスをしましたか?
    (はい、いいえ、わからない)
  2. セックスをする時にはコンドームを使いますか?
    (必ず使う、時々使う、使わないこともある)
  3. 性風俗の店を使用したことがありますか?
    (ある=ホンバン系、ある=非ホンバン系、ない、わからない)
知識や態度レベル
  1. エイズの感染者や患者が増えていることを知っていますか
    (はい、いいえ)
  2. エイズは自分にも関係あると思いますか
    (強く思う、まあまあ思う、あまり思わない、全然関係ないと思う)
  3. 私はHIVに感染していないと自信を持って言える
    (言える、言えない)
  4. あなたは中学生がセックスをすることをどう思いますか
    (すべきでない、当人同士が同意していればかまわない、わからない)
  5. では高校生がセックスをすることをどう思いますか
    (すべきでない、当人同士が同意していればかまわない、わからない)
  6. あなたは複数のパートナーとセックスをすることをどう思いますか
    (すべきでない、当人同士が同意していればかまわない、わからない)
  7. 口を使ったセックスで性感染症がうつることがある
    (正しい、正しくない)
  8. クラミジアや淋病などの性感染症があるとHIVに感染しやすくなる
    (正しい、正しくない)
  9. 体外(膣外)射精なら、HIVには感染しない
    (正しい、正しくない)
  10. HIVに感染したらすぐ発症する
    (正しい、正しくない)
  11. HIVに感染したかどうかは抗体検査を受けなければわからない
    (正しい、正しくない)
  12. 保健所ではエイズ抗体検査が無料、匿名で受けられることを知っている
    (はい、いいえ)
  13. セックス以外の日常生活ではHIVは感染しない
    (正しい、正しくない)
  14. 蚊やノミを介してもHIVは感染する
    (正しい、正しくない)
  15. 自分自身のことを大切にしている
    (とても、まあまあ、あまり、全然)

この中からいくつかのモニター項目を抽出して(中学生用、高校生用、大人用)調査実施。 今後も協議会メンバーの協力を得て、地域で継続的に追いかけて行く方針です。
質問の解答編についての解説は別便でしましょうね。

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2005.10.11

生物テロvs鳥インフルエンザ

感染症法の改正についての資料(厚生科学審議会感染症部会)と
その新聞記事(朝日)。情報源はいつもお世話になっているICD日記
(いつもありがとうございます)

今回の法改正の背景は

大規模・無差別テロの脅威がわが国の周辺地域にまで及んできているといった国際テロ情勢を踏まえ(中略)人為的発生を含めた感染症の発生、まん延防止に対処しうる感染症対策の総合的な法体系整備
であると説明し、
エボラウイルスや炭疽(たんそ)菌など48種類のウイルスや細菌を危険度に応じてA~Dの4段階に分類。所持する研究機関の制限や、研究目的以外の輸入、譲渡などの原則禁止を明記する。違反者は刑事罰の対象となる。
資料によると、これまでの1類から5類といった分類方法も生き残るみたいで
例えば
  • 一類感染症に追加→南米出血熱
  • 一類感染症→二類感染症:SARS
  • 二類感染症に追加→結核
  • 二類感染症→三類感染症:コレラ、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフス
  • 四類感染症→鼻疽、類鼻疽

これとは別に取り扱い基準(保持基準?)A~Dが設定されるようだ(資料の表)。
たとえば話題の多剤耐性結核菌は、所持の届出が義務付けられるランクCに分類。
刑事罰の対象となったり、症候群発生動向調査(潜行テロの把握)が盛り込まれたり、
緊急時の厚生労働大臣による直接執行が明記されたりと、
いかにも取り締まり中心の内容になっている。保健所が保健署になるかも。
これでテロから国民を、というより国家を守るための改正といった印象。

でも本当にわが国周辺地域まで危機が及んでいるのは「鳥インフルエンザ」ですから。
その対策も、法改正の中にしっかりと盛り込まれるべきでしょう。

連日のようにアメリカブッシュ政権が迫り来る鳥インフル対策への対策の様子が報じられている。

鳥インフルエンザの人での大流行防止に向けてワシントンで開かれていた米政府主催の高官協議は7日、閉幕した。会議出席者によると、感染発生時の迅速な通報や公表が早期封じ込めには重要との認識で各国が一致。今後の優先課題として、抗ウイルス剤の備蓄やワクチン製造などの国際的な態勢づくりについて検討することになった。 米国務省の発表では、参加国は最終的に80カ国を超えた。(ブッシュ米大統領が9月に提唱した「国際パートナーシップ」の初会合)
新型インフルエンザが米国で流行したら、最悪の場合、人口の3%近い約850万人が入院、死者は190万人を超える恐れがあるとする、深刻な被害想定を米政府がまとめていることが8日分かった。
アジアで発生する新型インフルエンザの小さな流行が、人の動きを通じて数週間から2、3カ月で米国に達すると推定。最悪の死者、入院患者が出た場合の費用は4500億ドル(約52兆円)と見積もった。

アメリカはカトリーナで危機管理体制の甘さを暴露し、それを感染症対策で
取り返そうと躍起になっているという話もあるが、今や鳥インフルエンザは 全世界的な脅威になっている。と言うことは厚労省も認識しているはず。
研究機関と行政機関が情報交換を密にして政策立案するを願います。

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2005.10.10

運動会と灰皿2

約2ヶ月ぶりのたばこの記事。
と言ってもこの間たばこ関連業務が止まっていたわけではなく

  1. 高校生への薬物乱用防止講座の組立てを学校側と企画したり
  2. 禁煙を希望する中学生(とその親)に対して個別禁煙支援を行ったものの
    そのフォローの難しさに頭を悩まされていたり
していました。ちなみに
薬物乱用防止講座については、2時間確保し
  • 1時間目で総論(たばこ、アルコール、薬物)を医師が講義形式で行う
  • 2時間目は各論で1年はたばこ講義、2年は断酒会の体験談、3年は元麻薬取締官のお話
というように分割しておこなった。これだけの時間が確保されているとやりやすい。

また、個別禁煙支援についてはやはり学校や専門機関が連携して行う必要あり。
禁煙ステージのアセスメント、基礎講義、禁煙意志の確認、禁煙実施とそのフォロー
という順番で進むと思うが、役割を明確にしてフォロー(見守り?見届け?)まで
する体制を次年度からでも構築したい。

さて、昨日は運動会だった。昨年の今頃「運動会と灰皿」を書きました。
でも今年の案内文にも学校内は禁煙ですよという記載はなく、
ノースモーキングスクール宣言という表示も人垣に埋もれてしまった。
(この時点で敗退=喫煙者に協力を求めていない)

あとは喫煙者の自覚に期待したいところだが、やはり数は少ないが
ところどころ家族と観覧席に座ってたばこを吸う人を見かけた。
やはり自覚だけではニコチン依存には勝てない。

運動会は敷地内全面禁煙の試金石と言われるが、まだまだ徹底するには
準備が必要だなぁと感じながら過ごした。
(もちろん、ちゃんと場所取りや応援や撮影や運搬にも頑張りました)

l今度、10月の地区校長会で「敷地内禁煙化マニュアル2005」(原案はココ)の
講話をする時間を頂きました。
運動会でもちゃんと意思表示しましょうとつけ加えよう。

関連Q&A(教えてgoo「小学校の運動会でたばこを...

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2005.10.07

カナダからのニュース

来週は看護学校や老人施設、企業で感染症関係の講義が集中している。
4日間で4回。うち最終日は管内大手企業のオリオンビール

火曜日に老人施設での感染症対策のネタを探していたらひっかかったのが

一番下のカナダのサイトでは「レジオネラ」が疑わしいとの記事もある。
いずれも死亡者は16人。入院は38人で、介護者や訪問者も感染とのこと。
患者は50-95歳と報道されているように、高齢者が多い。
今のところ新型肺炎とかSARSの可能性は低いとのこと
患者も新たに発生していないというが、今後も動向が必要


レジオネラについてはこちらで勉強(東京都衛生研究所)

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2005.10.04

口から始まる健康づくり

医療費分析でも軽視されがちな口腔内の健康状況
ここでも歯科口腔のカテゴリー
を設けたほか(と言っても記事は4つだけだが)
糖尿病と歯周病では 双方に悪影響を及ぼしあう関係についてレポートした。

すなわち、口腔に気をかけている人は(少なくともその間は)健康的な行動をとる らしいということに気づいた。そこでこのニュース(読売オンライン)

「歯の多い高齢者は健康」医療費が月9000円少なく 」

残存歯数が4本以下の人は、歯科以外の医療費が平均2万6500円だったのに対し、20本以上の人は1万7800円で、歯が多いほど医療費が少ない傾向が見られた。
という非常に興味深い記事です。
「適切な口腔(こうくう)ケアを進めれば、医療費の削減につながる可能性がある」
とまで言っている。でも本当かもしれない。
ところが実際は成人から高齢者にかけての歯科サービス提供業務(検診など)を 行っている市町村や企業、保険者はきわめてまれです。
こういうエビデンスを蓄積して、予防歯科重視の流れができてくれればいいと思います。

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2005.10.02

産婦人科休止関連記事に関して

9月29日、名護市民会館で北部病院産婦人科再開を求める住民決起大会が開かれた。
県内両紙とも大きく紙面を割いてこの様子を報じている
沖縄タイムスには当事者インタビューも掲載)。

実行委員会会長の岸本建男名護市長は「北部住民は緊急時の搬送体制など
大きな不安と危機感を持っている。
産婦人科の早期再開、子育て環境の確保、医療体制の充実の三つの大会スローガンを実現させよう」と呼び掛けた。

会の雰囲気からは「県の責任で医師確保を!」ということがメインテーマになってる風だが
ちゃんと3つのスローガンを立てているので、その中でおのおの果たすべき役割を考えるべき。

もちろん考えるのは、今後の作業になるでしょう(この決起大会からスタートですよね)
特に2番目の子育て環境の確保は市町村で今年から進められている次世代育成支援行動計画の範疇に入る部分です。

また、大会会場でも伝えられた地元産婦人科医師からのメッセージは

きちんと妊婦検診を受けてください

です。妊婦がある程度の緊張感を持って、ハイリスク妊娠にならないような予防行動を
(と言っても難しいことではなく、たばこを吸わないとか酒を飲まないとか検診受けるとか)
当たり前にとることが大切です。

気になるのは翌日の要請団の行動を伝えた琉球新報の記事。
「不安解消に努力」北部病院の産婦人科休止
副知事に要請文を手渡した実行委員長が

「搬送中の救急車の中で赤ちゃんが生まれる事態が起きている」
と書かれているが、こういう事態は初めて聞きました。
現在確認をとっているところです(こういう記事こそ署名入りにして欲しいね)。

翌日の琉球新報社説では

産婦人科休止・不安の除去は行政の使命

と行政(県だろうね)の責任を追及する内容となっている。
なんか既存記事のつぎはぎという感じもするが(社説ってみんなそうなのかしら)
医療に恵まれない地域ほど体制の充実を優先すべきだ。それが医療行政のあるべき姿だ。
という部分は的を射ていると思う。
不採算部門の最後の砦は行政がやるべき領域だが、それができないのは県立病院の経営健全化思想のおかげ。
この二つは両立し得ないのは明らか。じゃあどうするの?
最近母子保健の研究班での議論で
公(public)の領域の中で、民ではまかなえない領域が、官の仕事

という考え方がよく用いられるが、これにあわせると
広く住民に行われる医療のうち、民間病院ではまかなえない部門を県立(公立)病院が担う
ことになる。
産婦人科領域でも、周囲の民間病院でまかなえる機能は、県立病院からそぎ落とすべきでは?

これって人事課的思考なのかしらなどと考えながら週末送っていたら
さらに発見したこの記事(10月1日沖縄タイムス)。
パートの産婦人科医募集・那覇病院

全国的に産婦人科医が不足する中、県立那覇病院は六月から、結婚や出産を機に退職した女医が職場復帰しやすいよう、時間制を導入した医師募集を行っている。「最低で週に二回、午前または午後のみ」など、それぞれの事情にあわせて条件を選べるよう、複数の勤務体制を整備。県では初の試み...

女性医師の活用については、ここでも書いたように国の既成方針。
これを沖縄県の県立病院全体で取り組んだというのならまだしも、医療資源に恵まれた
都市地区の病院が積極的に活用するというものである。
(医師偏在の解消にはつながらないだろう)。

以前にE先生がおっしゃっていた

①やりたい医療、②できる医療、③やるべき医療

県立が優先的にやらなければならない医療はどれ?という問いかけを皆で受け止めたい。

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