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2006.08.03

熱は治療の対象ではありません

夜中に熱でたたき起こされる小児科医の苦労は日本全国共通。

熱は治療の対象ではありませんと言ってもなかなか伝わらない。

こういう地道な教育の積み重ねが小児科診療に対する理解の
助けにつながるのであろう。

以下は他「閉鎖コミュニティ日記」に掲載した記事。



熱は治療の対象にはなりません。

体内に侵入した病原体と戦う免疫細胞は熱い環境が好き。
体内に侵入した病原体は普通は寒冷(乾燥)条件が好き。

というわけで、体温中枢が体の熱を上昇させて
・免疫細胞にとっては動きやすく
・病原体にとっては活動しにくい
環境を作り出しているんです(わざわざね)
寒気を催して鳥肌立ったり、体が振えたりするのは
熱を産生させるため。手のひらが冷たくなるのは
血管を収縮させて熱が逃げるのを防いでいるから。

だから熱はからだが病原体と闘っているあかし。
熱をやたら下げると治療の効果が遷延するとも言われる。

でも大人は熱が気になる。熱を下げることが治療の
目的と思っている人がいる(外野からあれこれ言う人たち)。
だから熱が出てて様子を見ることをあからさまに非難
したりする(「病院にも連れて行かないなんて...」とか)

子どもは熱と闘い、親は外野と闘っている。


ご意見歓迎。

(追記)-うさぎさんのコメントに対して-

おっしゃるとおり上の話の例外として熱性けいれんがあります。
また発熱そのものも41度を超えるとダメージが大きいという話を
聞いたこともあります。

熱性けいれんは、短時間であるにしても全身性のけいれんなので
早めに治療するのが一般的なようです。ただ、熱冷ましではなく
けいれん止めを処方することが多いかもしれませんね。


(追記2)-doradoraさんのコメントに対して-

コメントありがとうございます。
心配になったときにヒトに聞くのと、モノから調べるのでは
不安が増す度合いが全然違うと思います。モノ(本やネット)
で調べても自分自身の判断に自信が持てない場合には、
なかなか不安は解消しませんよね。

たとえおせっかいな他人であっても、ヒトと相談して行動し
経験値をあげていくのがベターだと思います。
(ちょっと矛盾入ってるかも)

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Comments

発熱もそうですが、親が一番怖がっているのは熱性けいれんのようです。
とある小児科の先生が「熱性けいれんはほっといてもいい」と言っていましたが、親にそれが伝わるのは「そうなんだ」と経験してみないとわからないんだと思います。
たぶん、看護師の資格をもっている私でも、熱にはオロオロしませんが、熱性けいれんには驚くと思います。

Posted by: うさぎ | 2006.08.03 at 01:34 PM

こんにちわ
熱がでてオロオロするのは、多少はしょうがないのでしょうね。でも一番の問題は、そんな熱は大丈夫だよって言ってくれるおばぁちゃんがいないことだと思います。核家族化が進んで、頼れる人が誰もいない、そんな状況がいけないと思うのですが・・・  赤ちゃんの平熱も知らない親って平気でいますもんね。

Posted by: doradora | 2006.08.03 at 04:24 PM

こんばんは

   「いなか小児科医」のbefuです。

トラックバックありがとうございました。
発熱に対する説明は、いくつかのポイントをしぼって話すようにしています。1.発熱のみでは頭はおかしくなりません。ただ、脳や髄液に病原体が直接入っている場合はこの限りではありませんが、通常、意識がおかしくなったり、けいれんが止まらなくなるなどの症状を伴いますのでわかることが多いです。2.発熱は体の中で病原体と戦う力を増強させています。だから、むやみに熱を下げると、その力を低下して発熱が遷延したりすることもある様です。(そして、実際例として低体温療法をあげ、体温を人工的に下げると重症の感染症で治療に難渋することもあります。)などと説明しています。

うさぎさまが指摘された熱性けいれんですが...
これは確かに「怖い」ですね。親御さんが怖がるのは、見た目がやはり怖いのもありますが....5分間以内に終わればいいのですが、稀に重積することがあります。わたしも今の病院に6年ほどいますが、熱性けいれんで重積した例が、10例近くいると思います。うち数例は、気管内挿管が必要だったと記憶しています。

嘔吐物を気道に詰めないように指導することと、痙攣が5分以上続くならば「救急車で来ていいですよ」と伝えるようにしています。長々とコメントしまして申し訳ありません...

Posted by: befu | 2006.08.03 at 10:31 PM

befuさま。
丁寧で説得力のあるコメントありがとうございます。
やはり「現場」から出る言葉には重みがあります。
大変参考になります。

Posted by: titokazu | 2006.08.04 at 01:21 AM

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