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2007.01.18

小児結核の特徴

結核研究所にて研修中。毎日濃厚講義(昼は)。
今日の講義の予習メモです。東京は寒いよぉ~。
明日帰ります。

小児結核の特徴
  1. 乳幼児結核が多い
  2. 発病率が高い
  3. 早期に発病する
  4. リンパ行性、血行性に、全身に進展しやすい(髄膜炎、粟粒結核など)
  5. 発病しても初期は症状がほとんどない。症状が出現すれば重症であることが多い(検診発見が大切)
  6. 家族内感染が多い(家族検診の徹底が重要)
  7. 乳幼児ではBCG接種がきわめて低いので、乳児期早期のBCG接種が重要
  8. ほとんど発病予防可能である(本来は公衆衛生上“0”を目標にすべき)
  9. 小児結核患者は保健問題の見張り役である(成人感染源に有効な対策がとられていない現実に対する問題提起)

では小児結核は、いつ、どのように診断するのか

発症の機序が大人(二次結核)とは違うので、

  • レントゲンで肺野に影があるとか
  • 呼吸器症状が長く続いて、痰から菌が見つかるとか
  • 接触してから半年~1年後に発症するとか
などという考えは通用しないこともある。

まずは感染源となる大人(親や祖父母)が周囲に必ずいる。
父、母、祖父母、親族、母のサークル仲間、保育士などなど...
いっしょにご飯を食べたりお風呂に入ったりするのが濃厚感染。

同居する家族内に塗抹陽性患者(ヒトにうつる結核患者)がいると
5~6割は感染するというデータがある(0~4歳)。麻しんはほぼ100%
塗抹陰性培養陽性では10%、塗抹陰性培養陰性では5%(0ではない)

感染した人が結核を発病する確率は一般成人については10%だが
11-15歳では15%、幼児では25%、乳児では50%というデータがある。
だから乳児の結核感染を見逃すと高率に発病する恐れがある。

肺に定着した結核菌は胸膜直下約5mmのところに初発原発巣をつくり
すぐに増殖して一部は所属リンパ節に運ばれリンパ節は腫大する。
これが初期変化群であるが、肺野の所見が軽く肺門リンパ節のみ
腫れている場合は胸部の単純X線写真で見つけるのは容易ではない。
胸腺や心陰影と重なることが多いからである。場合によっては
胸部CTスキャンも必要になる。

その後結核菌は早期にリンパ行性や血行性に全身に広がると
結核性髄膜炎や粟粒結核という重症に進展することがある(1~3%)
しかも、髄膜炎等は結核感染からツ反が陽転するまでにかかる
期間(2~3ヶ月)よりも早く発病することもある。
その場合は呼吸器症状以外の症状(不機嫌、けいれんなど)
が前面に出ることもある。

喀痰や胸水、胃液などで菌が証明されるのは
初期肺結核で32.5%、慢性肺結核で49.3%、胸膜炎で22.2%
ということだから、大人ほどは見つからない。胸膜炎では
胸膜生検で組織学的に診断することが勧められている。

だから小児結核の診断は

接触歴、ツ反、菌の証明、画像、臨床症状、炎症所見、BCG接種歴、年齢、免疫力などから総合的に判断する

しかない。
話題のQFTは、発病診断には有用だが、感染診断では
特に0~5歳で偽陰性が出る可能性があるので、
ツ反と併用して判断した方がいいとのことだった。

感染が疑われたら、INHによる化学予防を行う。
化学予防の効果は服薬を親が管理するためか
成人よりも高い。

小児肺結核が診断されたら、6ヶ月の短期療法を行う。
標準的には最初の2ヶ月は

  • INH 8~10mg/kg/day
  • RFP 10mg/kg/day
  • PZA 30mg/kg/day
を分1で投与し、残りの4ヶ月はINHとRFPを投与する。
(髄膜炎の場合は12ヶ月)

成人の結核患者が発生し、小児が濃厚に接触している場合には
たとえその患者が排菌していなくても観察を続け、早期に発見して
治療する姿勢をとるべきであろう(反省)。

成人患者の接触者健診がうまく管理できないことが小児結核の
患者発生につながっているということ。しかもこれからの時代は
非正規雇用者などの社会経済的弱者から結核が発生し、
その子どもたちが感染を受けてしまう可能性も残っている。

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Tracked on 2007.02.06 at 08:15 PM

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