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2007.10.20

学校保健が守るもの

それは学校。

宮古島市が小中学生へのインフルエンザ予防接種の場として
学校での集団接種を持ちかけたところ、以下の理由で拒絶された。

  1. 学校教育は法令に基づき適正に運営されなければならない
  2. 予防接種は「医療行為」であり、専門家および専門機関において責任を持って行うべき
  3. 一九九四年に「集団接種」から「個別接種」に法改正された経緯を踏まえ慎重に対応すべき
  4. 予防接種は教育業務外であり、勤務時に教職員を従事させることはできない
  5. 現在の児童・生徒の体力低下やアレルギー体質などを考えると、副作用についての危険性を十分考慮して対処すべき
  6. 予防接種の実施は旧市町村の施設を利用してほしい。どうしても学校施設を利用するときは土・日曜日を利用し、学校職員以外で対応してほしい
  7. 「無料化」という市の方針を踏まえ、保護者へのチラシ、アンケート、問診票などの配布協力は可能
  8. 予防接種を受ける際は保護者同伴とすること
校長会が出した意見書にはインフルエンザワクチンの効果に疑問を投げかけた 「前橋レポート」を紹介しているという。できない理由だけではなく、効果にまで 学校から意見されてしまった。

何も養護教諭の先生を困らせたくて集団を持ちかけたわけでは
ないだろうに、予想をはるかに超えた拒絶反応で、結局学校での
接種は見合わされることになりそう。

来年からのMRキャッチアップキャンペーンでも学校での接種は
期待されていた(これも結局個別になりそうな雲行き)が、
やはり学校の壁は厚いということだろう。

宮古毎日新聞(2007年10月13日より)

「ワクチン無効論は危険」

 インフルエンザ公費予防接種で、宮古地区小・中学校長会が「ワクチンはインフルエンザの予防にならない」などと保護者へ通知した文書で、宮古病院感染症委員会の森博威医師は十二日、「ワクチンが効かないと結論付けるのは大変危険」と反論した。

 校長会の文書では、米国の疾病予防センターが一九八〇年に行った日本の学童集団接種調査の「集団接種がインフルエンザ予防に有効だという証拠は見つからない」との報告や、群馬県前橋市の医師会の調査報告(「前橋レポート」)に基づき「ワクチンは予防にならない」などと記述されている。
 
これを受け森医師は、二〇〇一年に「ニューイングランドジャーナルオブメディスン」誌で発表された日米共同研究を「国際的に最も信用度が高い」と前置きした上で「日本のインフルエンザおよび肺炎による死亡者は一九八七年から増え始めた。七〇、八〇年代の超過死亡は九〇年代に比べて低く、学童集団接種の有効性が示されている」と指摘した。
 ワクチンの有効性については、ウイルスの型とワクチンの一致率によって変動があるとし「前橋レポートのデータだけを見て有効性が低いとは言えない」と話した。
 副作用については「接種後の局所反応が見られる場合があるが健康上の問題はない。発熱や頭痛などの全身反応は極めて少ない」と説明。アレルギー体質へのワクチン接種に関しては「卵アレルギーの人にはワクチンを打たないことになっている。それ以外は心配ない」と話した。最も懸念すべき副作用としては神経疾患の「ギランバレー症候群」を挙げ「百万人に一人から十人の発症率がある。ただし、インフルエンザに起因した死亡者の方がはるかに多いことを忘れてはならない」と述べた。
 インフルエンザの発生については「ウイルスは常に小異変を繰り返しており、根絶は不可能。ワクチンは重症化、死亡を防ごうということ」と説明した。
 宮古における流行の状況については、今年の宮古福祉保健所のデータで罹患者の七割を児童生徒が占めたことを挙げ「子どもたちは教室で互いに近い距離にいる上、マスクを嫌がるので飛沫感染が広がりやすい」と指摘。「新型インフルエンザ発生時に、子どもたちの罹患率がせめて現在の半分までに減っていなければ惨状につながるだろう」と予測した。

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Comments

学校現場に居る者として耳の痛い話です。
学校保健が守るもの・・・学校でなくて学校で過ごす児童生徒達であって欲しいです。
「明日は我が身」として、管理職には考えて欲しい課題ですね。

Posted by: うさぎ | 2007.10.22 at 11:02 PM

意地悪く書いてしまいましたが、こういう話は
学校だけではなく、県庁にいても、国(厚労省)の
姿勢を見てもそう思うことがあります。

組織が大きければ組織を動かす(守る?)ことを
最優先に考えるのかなぁと総務を見ているとそう思います。

問題は現場に転がってるので、それを問題として
普通に取り上げる現場感覚が大事だと思います。

学校保健部門の体制強化が進むことを願っています。
コメントありがとうございました。

Posted by: titokazu | 2007.10.22 at 11:18 PM

MRはなんとか学校で行って欲しいですね。これが他県ならともかく、風疹について苦い記憶のある沖縄の事なのですから。

Posted by: sionoiri | 2007.10.24 at 02:40 PM

コメントありがとうございます。
国レベルの議論でも「集団接種」の
四文字はNGワードになりつつあるとの
お話です。本気度アップさせて欲しい
ところです。

沖縄は過去の経験を生かして、と言っても
CRS(先天風疹症候群)のことを知らない
先生方も多いのではないでしょうか。
遥かなる甲子園。

Posted by: titokazu | 2007.10.24 at 11:23 PM

沖縄はインフルエンザが流行しているらしいですね。公立校では集団接種はNGワードなんですか? 一度廃止されてしまうと予防接種を実施するのは難しいようですね…

勤務校は中高一貫の私立女子校で、一部生徒は寮生という事情もあり毎年集団接種を実施しています。法改正で強制接種でなくなったときに何年間か中止したようですが、私が赴任してすぐの年に校内の半数が学級閉鎖になる大流行が発生、受験に影響して問題になりました。翌年から任意でインフルエンザ予防接種を復活させた経緯があり、その後は全学年で2回接種させています。特に問題もなく、今は受験対策として定着、進学校では当然必要と思っています。

最近は小学校でも予防注射がほとんどないためか、中1入学時には親の理解がいまいちだったり、注射を嫌がる生徒や注射で泣いてしまう子も多いです。学校行事で実施しなければ敬遠する生徒がほとんどかもしれません。
でも3年前に学校長が変わってから教職員も全員接種の方針になり、生徒にも接種希望を取る前に感染予防の講習会を開いて周囲が予防接種を受けるような流れを作りました。保護者の承諾書を事前に取ったりの作業は強制接種の頃と比べて大変になったという話ですが慣れれば問題なく、公立校でもできないことはありません。みんな受けるという雰囲気ができると希望者がぐっと増え、最近は全校の接種率で8割以上、受験生の高3生については、受験指導によりほぼ全員に受けさせています。
アレルギーの生徒は春の内科検診でゆっくり診察して、あらかじめ親と学校医の判断を個別に聞いておくようにしています。卵アレルギーの生徒数はごくわずかで、学校医の判断で接種できない生徒は学年に1,2名というところで、保健室でしっかり把握しています。1週間前には接種承諾書の提出、当日の問診票と接種前の検温で2重にチェックして実施しています。

集団接種再開の年は3割ぐらいの接種率でしたが、現在は無料にしたこともあって8割を超え、学級閉鎖もまったく起きていないので効果も出てきたようです。何より学校としての感染対策により安心してもらえることが大事なようですよ。
もうすぐ注射の日、こちらでは生徒たちにインフルエンザ予防接種を受けさせる準備をしています。注射嫌いの生徒にとってはイヤな季節ですが、我慢して全員に受けてほしいものです。

Posted by: 養護教員 | 2007.11.03 at 05:05 AM

コメントありがとうございました^^/

集団の場を活用しつつ、個別対応が必要な生徒は
専門職としてしっかり把握する。しかも費用負担も
かからない。こういう理想的な環境が作れるのも
ワクチンの効果を先生方自身が実感できているから
だと思います。大変参考になります。

学習面への影響という視点も必要なのかもしれませんね。

宮古集団接種論争の経過については宮古毎日新聞
http://www.miyakomainichi.co.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=1315
等地元メディアが関心を持ってフォローしています。

Posted by: titokazu | 2007.11.03 at 03:02 PM

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