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2008.01.15

H5N1で死亡する人、しない人

そのうちヒト-ヒト感染を獲得して、新型インフルエンザに生まれ変わる
であろうと考えられている高病原性鳥インフルエンザH5N1は、相変らず
かなり高い死亡率を維持している。2008年1月11日現在349名感染して
216名が死亡(約61%)(WHOの情報

最強ウイルス第2夜の調査報告編でもインドネシアのある血の繋がった
親族内で感染が拡がっていく様子がレポートされていたが、死亡者の
多くは主婦や青年、そして子どもであった。

H5N1に罹っても死亡しない群の特徴が新型インフルエンザ治療のカギ
なのかもしれない
とのご指摘を頂いた。
一昨年の朝日に「若者の発症・死亡率高く 鳥インフルエンザ
と言う記事が残っていた。 
発症者の半数は20歳未満で、40歳未満が90%を占めた。
患者全体の死亡率は56%だが、年代別では10~19歳が最も高く73%、
50歳以上が18%で最低だった。現在の通常のインフルエンザで、
高齢者の死亡率が高くなるのとは対照的だった。

その要因としては
若者の抵抗力の強さがあだとなり、ウイルスを防御する
免疫系が過剰反応したのではないかなどとの見方があるが...

免疫の過剰反応とはいわゆる「サイトカインストーム」のことである。
(この件に関しては極東ブログ「鳥インフルエンザとサイトカインストームのメモ」が詳しい)

抵抗力が強いために、感染によって免疫細胞から種々の物質が
放出され、それが結果的に多くの臓器に悪い影響を与えている。
一般的に免疫力を強くすることを「是」とする感染症対策とは逆の
減少が起きているという話である。

NEJMのレビュー(日本語訳pdf)でも

最近のデータによると,炎症性メディエー
タ(インターロイキン-6,インターロイキン-8,
インターロイキン-1 b,MCP-1)の血漿中濃度は,
生存例に比べて死亡例のほうが高く(Simmons C
からの私信),A 型トリインフルエンザ死亡例の
血漿中インターフェロン- a の平均濃度は,健常
者よりも約3 倍高かった

とあり、これらの反応がコルチコステロイド療法で減弱する
かもしれないと言っている。

サイトカインストームについては、エボラの講義でも聞いたことが
あるので、これらのウイルスは自らの力ではなく宿主自身から
毒性物質を引き出して、死亡率を高めているのかもしれない。

かすかな望みは、ヒト-ヒト感染というアイテムを獲得していく過程で
宿主を生存させ続ける(すなわち死亡率が低下する)方向へ変異
するのではないかということである。

最強ウイルス、再放送決定。

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