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2008.04.08

イノシシ食べてE型肝炎2(zoonotic transmission)

朝日の夕刊を見た!と言って地方紙の記者から問い合わせの電話。
野生イノシシ肉がE型肝炎感染源に 厚労省「火通して」(4月7日)

夫が捕ってきた野生イノシシ肉を焼き肉にして食べた当時50代の女性。
同年3月、倦怠(けんたい)感や食欲不振を訴えて病院に行ったところ、
E型肝炎に感染した疑いがあると診断された。
 自宅の冷凍庫にイノシシ肉が保管してあったことから、国立感染症
研究所(東京)が肉と女性の血清から検出したHEVの塩基配列を比較。
配列がほぼ一致し、イノシシ肉が感染源と特定された。
十分に火を通していなかったなどの理由が考えられるという。

記事上のデータは感染症発生動向調査で上がってくる週報ベース。

応対をしていて、ooyakeでも書いた覚えがあるなぁと思って
調べたら、不適切コンテンツと跳ね返された(泣)
ということで今調べてみたら、やはり4年前に書いていた。
イノシシ食べてE型肝炎

その後肝臓の専門家らによる全国レベルの調査が行われた。
(肝臓 Vol. 47 (2006) , No. 8 pp.384-391 websiteはこちら
全国254例の症例を分析したところ

  • HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること
  • 感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること
  • 我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること
  • 年齢と肝炎重症度との間に相関があること
  • Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと
  • 発生時期が無季節性であること
  • 集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること
との知見を得たそうです(抄録公開感謝)

動物由来感染症のことをzoonotic transmissionと呼ぶんですね。

で、その後、われらが頼り「沖縄県衛生環境研究所」報でも論文出してました。
沖縄県のヒトのE型肝炎ウイルス調査
これは疾患として上がってくる患者ではなく、800人余りの抗体価を測定して、
どのくらいのヒトがHEV感染を受けているかという調査結果。

  • 全体の1.7%が抗体保有
  • 年代では40代以上に多い
  • 性別による差はない
  • 地域的には沖縄本島1.3%、宮古2.6%、石垣1.0%、西表4.0%だが有意差はなかった
という興味深いデータを示しています。
参考文献によると、「イノシシ」からも検出されているようです。

食品から汚染(感染)されているという証拠固めや
さらなる浸淫状況調査を続けて、予防に生かすことが
必要です。

というか、野生動物に火を通さないで食べることのリスクは
E型肝炎だけではなく、食中毒予防の基本だと思います。

 〈E型肝炎〉 HEVに汚染された水や食べ物から経口感染し、吐き気や食欲不振などの症状が出る。通常は一過性で慢性化しないが、まれに劇症化し死亡することがある。約100年前に英国から輸入された豚と一緒に国内に入ってきた可能性があるとの研究結果があり、シカ肉や豚レバーによる感染例や、輸血で感染した例も報告されている。加熱すると感染性を失う。

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