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2009.05.29

エイズ合併結核に関するレポート

新型で忙しくなる前に投稿した鬼は外、じゃなくて拙文が
雑誌複十字に掲載されました。
エイズ合併結核という世界的にはメジャーなテーマ。


「エイズ合併結核患者の全体像とは」

世界結核デー記念セミナーは、パネルディスカッションの形式で行われた。
最初のあいさつでは、仲村結核予防会理事長からキーワードとして「多面性」
という言葉が提示された。

次に河津コーディネーターからは多面性を認識するために、スクリーンに
大きな球体が示され、イメージトレーニングを受けているような心持ちのなか、
パネラーたちの発表が始まった。

最初に国内のエイズ治療の拠点である国立国際医療センター
島田看護支援調整官から、エイズ患者数の推移は右肩上がりで、
エイズ合併結核患者も最近5年間で、
結核入院患者2,368名中22名(0.9%)がHIV陽性であることが報告された。

結核と同時にHIVが判明した例も12例あるが、一般的に
エイズの治療(HAART療法)がされていない場合は結核治療を先に行い、
その後のHAARTを始めると結核が再燃することに注意が必要であることを教えられた。

ACCではエイズ合併結核患者の治療を支援するために病院と保健所が連携して、
服薬管理を行っている例もあるということであった。

次に地域医療の立場から、長野県の佐久総合病院の高山義浩先生が
HIVと結核予防活動について報告した。地域の特徴として、
HIV陽性者のうちエイズを発症して発見される割合が高く外国人患者も
多いため、約半数に帰国支援を行ってきた。

しかし、多くは現地で亡くなっていることがわかったため、病院として
帰国後の支援組織づくりに取り組み、NGOや大使館と連携して
現地医療機関でも治療が継続できるようなしくみを作り上げている。
また、佐久地域においてもタイ人に対しての健診を実施して
予防啓発活動に努めていることも紹介された。

高山先生の報告にも紹介されたNGOシェアの立場として、
昼の国際結核セミナーでも発表した沢田貴志先生(港町診療所)が、
逆説的な表現で対策を示した。すなわち、患者の状態が悪くなるのは、
病気に行くのを遅れるか薬を途中で止めることだから、差別や貧乏という
問題を克服して、DOTSやHAART療法によりしっかり治療を継続することが
重要である。そのために現地のNGOと連携して家庭の主婦に対して
慢性疾患のケアに関する教育等を行っている。

 続いては、北海道でHIV/エイズの啓発媒体を開発してきた
(株)ケーシーズの佐藤真康社長が登壇し、ラジオCMやCGによる
わかりやすい媒体を紹介し、

東京医療保健大学の渡會先生は、学校教育の場で実践してきた
系統的な性教育の内容と効果について発表した。

 このように様々な立場から報告があった後、フロアも含めて討論が行われた。
エイズ合併結核の患者たちは、

生物学的には感染に弱い立場にあり、社会経済的にも困難がある
ことが確認され、それを地域全体で支えていく必要性が確認された。
地域を知っている保健師には、そのコーディネート役が期待されている。

 セミナー全体を球体をイメージしながら聞いて、
それぞれの活動がどういう関係なのかを図に描いてみた(図)。
Hivtbball







球体の本質は患者が社会的にも生物学的にも弱い立場で、
さらに予防啓発と療養支援という軸に沿って位置づけてみた。
今後はそれぞれの活動を統合するような連携が必要であろう。
「エイズと結核の専門家のアライアンスが必要」と提案した
佐藤社長の言葉がそのことを表している。


わかりにくい内容であることは自覚反省しております。が、
シンポジウムはまとめるには難しかったというのが感想。
まだこうやってリンク貼れるだけ、ブログの方がいいね。

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2009.05.23

Catch it! Bin it! Kill it!

いつの間にか世界第4の感染大国になった日本(日の丸急上昇中)

英国NHSのサイトにも

  1. US: 5,764 (9 deaths)
  2. Mexico: 3,892 (75 deaths)
  3. Canada: 719 (1 death)
  4. Japan: 294
  5. UK: 117
と順位表示されています。
現報告システムだと確実メダル圏内と思われます(いいの?)

先輩に教えてもらったNHSの普及用ビデオのタイトルが
Catch it! Bin it! Kill it!
というもので、悲惨な飛散ストーリーを教えてくれる

咳やくしゃみを衛生的に処理しなければ インフルエンザのウイルスは簡単に広がり 人から人への感染が起こります。

ウイルスはモノの表面でも数時間生存するため
容易に感染が広がってしまいます。

これを防ぐには、咳やくしゃみをするときには

  • きれいなティッシュでウイルスをキャッチし
  • ティッシュは容器に捨て
  • 手を洗いましょう。できるだけ早く。

よくできてると思います。前半はサスペンス劇場みたいだし。
保育所の園長先生たちにも見せてみます。

日本の厚労省を探したらyoutubeに投稿しているようです。
(残念ながら職場では見れなかった)

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2009.05.21

パーシャル6B

時代はパーシャル!

というコマーシャルを覚えているあなたは家電通。

パーシャルpartial=部分的に集中的に冷やす冷蔵庫。

日本のスワインフル(新型インフルエンザ等感染症)の発生も
兵庫・大阪でまん延の一歩手前まで来ている。専門家たちは
疫学的リンクが切れてないかのチェックに忙しいはず。

でも日に日に患者が30名程度増えていくと

どこで感染したかまったくわからない

患者も増えてきて、ついに追跡不能な状況になる。いわゆる6B状態。

そうなると、接触者のリストを追跡する意味が無くなり、診断も
いちいち遺伝子レベルまで行わない(はず)。熱と咳があって
簡易Aならみんな患者として届けられる(はず)。入院も重症だけ。
そう。

新型インフルエンザが通常のインフルエンザ並みの対応になる

今分からないのは、滋賀や東京とポツポツ出始めたところでは
一生懸命追跡調査などを行って法律に基づく隔離入院を勧め、
その一方パーシャルに6Bとなった地域では、対応や数え方が
違うという方針を打ち出すのかどうか。しっかりガードしてる横から
患者がポロポロ流入してくる光景が目に浮かぶ。

それとも全国一斉に季節インフル扱いとするか!

ところで日赤が新型インフルエンザ疑われる方の
献血をお断りするお知らせを出しています

献血の際の(同室者への)感染を恐れての注意。マスク着用とか。
これは理解できるが、献血お断りの意味がよくわからない。だって

※季節性インフルエンザはのぞく

だって。

献血もパーシャル?

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2009.05.16

少人数保育(6人以下)だと感染拡大しない?

「トントン(豚)」
「入ってます」

と、いつの間にか上陸していたスワインフル。
国内は第2段階に突入しました。諮問委員会では従来の
パンデミック強毒プランがそぐわない部分はあるものの、
やっぱりハイリスク者は重症化する(これも季節性と同じだと
思うんだけど)ということから、学校や保育所対策は慎重な姿勢。
ということで、保育所閉鎖の要請が現実的になってきました。

この影響は計り知れない
想像してごらん ナースが半分しかいない病院を。

必ずしも閉鎖しなくても、少人数保育なら大丈夫という講義を受けた
ような受けないような...というわけで検索してみた。

パンデミックプラン
コミュニティ緩和策(ワードです)
より。

studies suggest that childcare group size of l ess than six children may be associated with fewer respiratory infections (6人より少ない少人数保育では気道感染が抑えられる)

その出典論文サマリーはこちら
Child care and common communicable illnesses in children aged 37 to 54 months.

参考メモ
沖縄県における保育サービス供給の実証分析
-「沖縄県における保育サービス市場研究会」報告書-
2004年4月内閣府経済社会総合研究所)

沖縄県は待機率(待機児童数/保育所定員数)でみて、最も待機児童問題が深刻な都道府県の1つである。また認可外保育所の利用者が約半数に上っていること、出生率や離婚率が高く、潜在的な保育サービス需要が高いことなど、日本全体が近い将来直面するような課題を既に内包している。

問題は「小分けちびっ子軍団」をみる先生が足りないことか...

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2009.05.14

ハワイの新型インフルエンザが10例に達する

相談の待ち時間に更新。

症例定義が更新されて、CDCと同じく潜伏期間は7日間に。
厚生労働省のページに掲載されています。

症例定義における疑似症患者の要件の中で、
従来10日間とされていた箇所を7日間とすることとし...


症例定義中の「まん延国」についてはこれまでと同じ

  • メキシコ
  • アメリカ本土
  • カナダ

アメリカ本土という表現が気になって、ハワイを調べてみた。

ハワイ州保健省のサイトから
最新informationをみると
最初に5月5日に患者が報告された後、
5月13日に4例が追加されて、ハワイでも10例に達している

ハワイ保健省は今も感染拡大防止のための措置をとっており

  • 空港における乗客のスクリーニング
  • 渡航歴があり、症状のある患者の調査、検査
  • 医療従事者への適切な情報提供(スワインフルについて)
  • 治療薬の確保
  • 住民への感染予防策の啓発
を行っている。
今般の新型インフルエンザ発生を受けて空港におけるpassive surveillanceを
国内線にも拡大して行っている。ようです。

世界有数の観光地らしく、インフルエンザ対策パンフには
日本語版PDFもありました。

Most U.S. cases have not been severe and are comparable
in severity to seasonal influenza.

重症化するのは、通常のインフルエンザとどっこいどっこいです。

冷静な対応を。

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2009.05.11

水際対策より偏見対策

地元紙の社説を見て驚いた。

新型インフルエンザの脅威がいよいよ日本にも押し寄せてきた。
で始まる社説。
感染者が乗っていたノースウェスト機には米空軍 嘉手納基地所属の軍人2名が搭乗していた。 既に沖縄に戻っているというが、潜伏期間である 可能性も否定できない。当分の間は自由な行動を 制限するなど、厳しく監視すべきだ
これはそういう考え方があることも了解できる。 でも米軍だからというわけではあるまい。

しかし

それに続く米軍基地が過度に集中する沖縄では、
基地から派生する事件、事故、騒音などで日常的に
県民生活が脅かされている。

この上、ウイルスまでまき散らかされたのではたまったもの
ではない

これは
ウイルスを怖がるというより、ウイルスを持った人を怖がる図式。
さらに、現在の県内観察対象者が米軍人というところで
(しかも感染者に過失があるかのような表現で)怖さを増幅してる。

子どもたちには感染予防の手技を教えることも大事だけど
感染者に対する偏見差別を持たないような教育も必要だと思います。

ちなみに、
この社説は

過度に神経質にならずに、冷静な対応が求められる。
と結ばれています。

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2009.05.06

強毒プランのミスマッチ

新型インフルエンザは22の国と地域で患者はすでに1500名を超している

そろそろウイルスの持つ特徴やヒトへの影響がわかる時期ではなかったか。

pandemic severity indexでいうとどのレベルだろう?

防災リスクマネジメントwebに押谷教授がコメントしている。

感染性についてだが、これは当初考えていたよりも高い
可能性がある。アメリカでの急速な感染拡大と、アメリカ
から出てきている限定的なデータを基に考えると、
感染性は相当あると見るべきである。

次に病原性、いわゆる毒性についてだが、これはかなり低い
考えられている。おそらく感染者の多くは軽症に終わり、中には
感染しても熱も出ないあるいは症状の全く出ないような人もいる
可能性がある。

日本は現時点では、できあがったばかりの行動計画や
ガイドラインに沿った対応をしている。これは強毒プラン。
例えば

  • 国民の25%が感染し、その約8割が受診
  • まん延期には事業所の約4割が欠勤するという想定
  • 入院病床が不足する場合は、地域の宿泊施設などを活用
  • 不要不急のイベントの中止、集会の自粛を要請
  • 都道府県で1例患者が出たら、学校閉鎖を検討

これらの方針を変えずに対応しようとすると、混乱するかも。
それぞれの担当者はミスマッチに悩んでいるよ。

すでに混乱しているのは、症例定義を巡る解釈の違い。
【新型インフル】都の独自検査「疑い例」9件、「国への届け出基準に該当せず」
産経新聞5月6日

都独自の検査過程で「感染の疑い」とされた例が
5日までに9件あったと発表した。
いずれも「混乱を招きかねない」ことなどを理由に、
詳細は公表されていない。
今朝来た事務連絡
5月6日付産経新聞の新型インフルエンザに関する報道において
「厚労省新型インフルエンザ対策推進本部では『早く届けてほしい
というのが国の立場だ。
ただ、自治体側が責任を持って独自判断をするなら、無理矢理に
届けろとはいえない』と話している。」という記事が掲載されましたが、
本事務局においてはこのようなコメントはしておりません。

「無理矢理に」以下はweb上では別の表現に書き換えられている。

午後にはロスから帰国の男性、新型インフル感染の疑い。都が届出(読売)
としっかり報告があがっている。
渡航歴+熱or咳+迅速キットA(+)で疑似症報告ね。

弱毒プランが必要になるのは、今後、国内で感染が広がって
数多くの軽症(無症状?)の患者が発生した場合に、
新型だからと言って法に基づいた入院措置を続けるうちに、
数少ない重症患者が収容できないのではないかという心配。

弱毒(病原性が低いの)であれば、在宅療養を基本として、
入院設備等の医療資源は、透析や糖尿病などで合併症を
起こしやすい重症患者用に有効に活用するという方針へ。

などなど、強毒プランの諸方針を見直すことが必要では?
これこそ自治体の独自判断というわけにはいきませんから。

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2009.05.03

「本当の水際は病院です」

世界卓球見にいきたいよぉ~(泣)
ここだとBSも視聴できない...

泣き言はこれくらいにして
新型インフルエンザの流入阻止のために水際作戦を展開中。

  1. 到着前の情報収集
  2. 到着時に有症者を探す
  3. 有症者がいた場合、周辺の接触者の停留
  4. 有症者がいた場合のその他の同乗者に健康監視
  5. 有症者がいない場合の全乗員の健康監視

2番を見逃さないことと3番の管理(国営停留ウィークリーマンションとかで)

4番5番については、保健所も協力している。

が、いずれ潜伏期間の間にすり抜けたり、その他の事情で
県内でも患者が発生するだろうと思っている人も多いだろう。

鎖国でもしない限り流入阻止は不可能
とのこと

ウイルスを増殖させながら発症した人が病院に来たときに
そこで感染が広がらないことが本当の水際と言えるのでは。
SARS(新型肺炎時代)にベトナムの病院に派遣された医師の
新聞記事は、もう6年前のことだけど、記憶に残っている。

ベトナムの新型肺炎抑制、県人医師活躍(琉球新報2003年5月20日)

SARSとは潜伏期間や重症度が違うかもしれないが

「潜伏期間があるので空港で完全に発見するのは不可能だ。
病院こそ水際で、病院の外に出てしまったら封じ込められない」と指摘
という認識は重要。

「感染者が出たら、二次感染を1人も出さずに抑えられるかが鍵だ。 すべての医療従事者は、自分こそ水際"と自覚すべきだ」と呼び掛けた。

(封じ込め期までの)発熱外来にもそういう機能が期待されている。

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2009.05.02

パンデミックは調査が命

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新しい症例定義と蔓延国情報をもとに作り直し。
でも、これでは熱なしパンデミックの可能性も出てきた?

疑い症例支援システムや症候群サーベイランス等の
調査報告の体制も整いつつある。新型インフルエンザの
レクチャーで最初に教わったことは

パンデミックは調査が命

流行を緩和させるための対策を行うためには、発生動向を
把握することが必要。その報告体制が生命線とも言われて
いる。病院からオンラインで国に上がるシステムが機能する
かどうかも鍵だと思う。

公式の調査モノとは別に、「あれどうなってる?」報告モノも
激増する。中央では各県の状況を報告するように指令が出され
県では現場に報告を求める。現場は対策に追われながら、
それをまとめる作業が上乗せされるので、これは必要最小限に
抑えたいところ。しかし皆の関心が集中している状況では
行政からもマスコミからも関係機関からも

「あれどうなってる?」

当面は調査モノ・報告モノの対応が続きそうです。

でも本当は県民の「あれどうなってる?」に対して、回答しないと
いけないんだはず。ということでユニオン(野嵩商店)体制開始。

また、マスコミ(特に地元)は、県民への正確なメッセージを
発信する媒体として期待している。

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