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2010.08.31

ちびまる子ちゃん一家と認知症

ざんざんぶりの雨の中、びしょ濡れになりながらも
参加した認知症の講演会(久しぶり)。会場では
ちびまる子ちゃん一家のパネルが出迎えてくれた。
(やっぱりトモゾーって...?)

認知症の「チム系?チブル系?」以来。
わからない言葉もたくさん出てきた(BPSDとかMCIとか)

以下は講義メモ

  • 認知症は65歳以上の人がもっともかかりたくないと思っている病気
  • 現在の有病率は65歳以上の10人に1人、アルツハイマー型は20人に1人
  • 今後10年以内にはアルツハイマー型の根本治療薬が出てくると思う
  • 認知症早期発見について、かかりつけ医の役割が大きい
  • 診察室で気づく
    • 質問された時に(誰もいないのに)振り向いて答えを確認する
    • 取り繕い現象「毎日畑行ってるの?」→「天気次第」
    • あらかじめ入手した家族からの情報との食い違い等

  • スタッフが気づく
    • 薬の服薬が不完全になる
    • 受診日を間違える
    • タクシーを頼んでおきながら自分でも呼ぶ(二重呼び)
    • 絶食の指示を守れない等

  • 待合の時間を利用して簡易スクリーニング
    • 言葉の遅延再生(桜猫電車)
    • 時間の見当識(○年○月○日)
    • 立方体模写(←頭頂葉機能低下)

フロアからは「かかりつけ医で疑った時に専門医を紹介するタイミング」
「患者本人への告知の方法」等の質問が出ていました。

製薬会社が作ったサイトにもいろいろ情報がありますが、
まるちゃん一家は探せなかったよ。

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2010.08.29

インフルエンザは特別な感染症

石垣と那覇を1週間に3往復している間に準備した
講演会が27日に無事終了。

  • 新型でも季節性でもインフルエンザは、
    医療の受け入れキャパを超えるような負荷を与える
    特別な感染症
  • 医療に負荷を来さないような対策を、発生動向
    (サーベイランス0に基づいて行うためには、
    定点医療機関があと2.5倍は必要
  • 連携というのは、日頃からのつき合いの延長で
    「普段から無理を頼めるような関係」を構築しておく
などなど、メモ帳に走り書きされています。

同じ日、国では新型インフルエンザ対策本部が開かれ
今年度末をめどに、なんと

「新型インフルエンザ等感染症」と認められなくなった旨の公表をし、
通常の季節性インフルエンザの対策に移行します。

という方針を発表しました。

これによってどうなるかという読売の記事

新型の指定が外れると、
昨年の発生当初に実施された徹底した検疫や
ウイルス検査などは行わなくなり、
高校や大学、専門学校は集団発生の報告が不要になる。
ワクチン接種の推奨は終了し、
低所得者への接種費用の補助もなくなる。

とのこと。ただし予防接種に関しては、今まさに臨時接種に
向かっていろいろ調整している時期なので、その切り替えの
タイミングは、現場の声も聞いて考えるべきでしょう。

政府の声明では、今回のA/H1N1対応を踏まえて、高病原性
鳥インフルエンザ由来の場合に備えて、新型インフルエンザ
対策の再構築を図るとしています。が、その前にやることは
毎年必ず発生する季節性インフルエンザ対策の検証及び
対応能力の強化ではないかと思います。

ほんとに毎年10,000人の(超過?)死亡者が出ているのかとか、
定点観測を強化するための措置とか、医療への負荷をどう軽減
するかとか、厚労省と感染研との連携とか、ワクチンとか...

ゴールがみえた瞬間に人間は気を抜くという格言があるように
これでユルユルにならないで、次の課題に取り組みましょう。

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2010.08.23

たばこを吸う人は結核になりやすい

金曜日に行われた沖縄県結核サーベイランス委員会
「参考資料」として、喫煙と結核の関係が紹介されました。

主な出典は

  1. Slama K et al : Tobacco and tuberculosis: a qualitative systematic review and meta-analysis. Int J Tuberc Lung Dis 11(10): 1049-1061, 2007
  2. Lin HH et al : Tobacco smoking , Indoor Air Pollution and Tuberculosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. PLoS Medicine 4(1)e20: 0173-0189, 2007

Discussion の内容は今後読むとして

1の論文では

  • たばこを吸う人は吸わない人に比べて、1.8倍結核に感染しやすい
  • たばこを吸う人は吸わない人に比べて、2.6倍結核を発病しやすい
  • 受動喫煙を受けている人はそうでない人に比べて、3.4倍結核を発病しやすい
  • 結核による死亡は、喫煙者の方が1.3倍高い

というレビュー。

2の論文では、喫煙の年数や1日の本数が増えれば増えるほど
結核罹患のリスクが高まるというデータもあるようです。

喫煙者はハイリスクグループということでいいんだろうか。

その他、沖縄は結核診断の遅れが全国に比べて目立つので
個別事例の分析を、病型毎の分析も含めて進めるべきという
意見もありました。

しっかりフォローしましょうね。

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2010.08.18

卵からサルモネラ感染を防ぐために(CDC)

暑い日が続いているせいか、食中毒の話題をよく聞く。

CDCのホームページにある「サルモネラ感染を防ぐために
(Tips to Reduce Your Risk of Salmonella from Eggs)

  1. 常に冷蔵庫で7℃以下に保存
  2. 割れている卵や汚れた卵は捨てる
  3. 生の卵が触れた手や調理器具類を石けんで洗い流す
  4. 白身と黄身が固くなるまで調理し、出来上がったらすぐ食べる
  5. 卵を室温で2時間以上放置しない
  6. 残った卵料理はすぐ冷蔵庫へ保存する
  7. 卵の生食を避ける
  8. レストランで生卵や調理されていない、非殺菌卵を避ける。レストランはすべてのレシピ(生卵が必要なオーランダイズソースやシーザーサラダのドレッシングを含めて)で殺菌卵を使用すべきである。
  9. 特に幼い子やお年寄りのような免疫が弱い人たちは、生卵や十分火が通ってない卵を食べない

でも7番「生卵生で食べるな」は日本では結構破られている掟。

現に、卵かけご飯用調味料(醤油の代わりにかける)があったり
日本卵かけごはんシンポジウムが行われる(まじ?)など
市民権を得ている食べ方。

日本で売られている卵は、業界(日卵協)のホームページによれば

菌が増殖を始める前までの期間を、たまごを安心して、
「生食できる期限」とし、賞味期限を表示しているのです。

ということで、賞味期限内であれば生食もOKらしいです。

調理器具関係由来の食中毒で印象に残っているのは、
フードプロセッサーの刃の裏にこびりついた卵から
サルモネラが増殖して集団食中毒を起こしたという話を
聞いた事があります。

気をつけて、おいしく安全に食べましょう。


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2010.08.13

アイキャン減塩大学(仮称)構想

沖縄県の食生活は、塩分摂取量は少なくて済むのよ

というお話も、そのうち神話になるかもしれません。

健康おきなわ21の報告書(PDFはこちら)にある記載では

  • 塩分の摂取量は男 性10g未満、女性8g 未満が適正とされています。
    本県の塩分摂取状況をみると、男性は20歳以上の平均 で10.1g、
    女性は8.6g となっています。
  • しか し、実際に男性で10g未満、女性で8g未満 を摂取している割合は
    ともに約5割にとどまっています。
  • 特に男性では、12g以上の過剰摂取が約3割もいることから、
    高血圧や胃がんの予防の面からも過剰摂取の改善に向けて
    減塩を心がける食生活改善をすすめる必要があります。

うり。

また健診では、高血圧(それも重症)が多かったり、
治療をしていても自己中断している人もいたりする。
でもなかなか教室への呼びかけには応じてくれない。

ということで、教室に足を運ばないターゲット(顧客ね)
を対象に、在宅でできる通信講座のような健康教育は
できないものかと、担当と頭を悩ませて島から帰ってきた。

構想はこれから練って行きますですが、
いちおう大学という名前をつける予定なので
入試は、書類による推薦選考。一部公募。
教材としては

  • 塩分とりすぎがわかるチェックリスト(添削)
  • 塩分摂取をモニターできるグッズ(自宅演習)
  • 血圧測定の習慣化(マップ化)
  • 治療中断フォロー(面接も)

などなど。

でも通信制の健康教育はあちこちでされていたはずなので
もう少し探してみます。

これなら広域でもできるかも?!

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2010.08.08

りんご ごしん ましん

はしかをリンゴ病と誤診するというニュースを夜中発見。
朝起きたらヤフーのトップに載っていた。

誤診という表現は

感染の結果、血中にできる抗体が似ているため、
血液検査ではしかと「誤診」されやすいという

血清IgMによる診断の限界のことを言ってるんだろう
と思われます
(でも届け出基準PDF版には書いてあるからねぇ)
よって
感染研感染症情報センターの多屋馨子(たやけいこ)室長は
「一度はしかと診断されてしまうと、その患者は予防接種を
受けない。その後はしかを発症して感染が拡大するおそれもある。
医療機関は血液検査に加えてウイルス検査も実施してほしい」と話す。

ウイルス検査の手順については

  1. 医師が症状から疑う
  2. 医師が検体を確保して、疑い例として保健所に連絡
  3. 保健所が検体を検査機関に運ぶ
  4. 検査機関でウイルス検査(同時に保健所が疫学調査開始)
  5. その1~2日後、ウイルス検査の結果が判明する
  6. 陽性であれば、確定例として届け出

という流れを粛々と行うしかないね。

絵にするとこんな感じ。
Mashineflow_2

でも去年は新型インフルエンザのおかげで、全国的に保健所は
この流れを経験したので、 できるはずです(やろうと思えば)。
はしかでもこれを同じようにやればいいんです。

ちなみに沖縄では昨年は約60件の疑い例を検査して、ウイルス検査確定は4例
(うち1件はインド由来?D8ウイルスの国内初感染例)でした→IASR

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2010.08.05

いったい何人の患者がいるのじゃ

「忍者は何人じゃ」という話ではなく
本当の患者(この定義も微妙)は何人くらいいるのか
というテーマについて

去年は新型インフルエンザについて、沖縄県では
実際の患者数(受診者数)は定点サーベイランス報告数の約5倍
と(勝手に)決めて、いろいろな対策を考えた。

なお、インフルエンザの場合でも、「患者」とひとことで言っても

  • 検査で診断されたもの
  • 症状から診断されたもの
  • 発病したもの(未受診者も含む)
  • 感染したもの(不顕性感染含む)

と幅がある。
去年悩んだのは、定点以外の医療機関を受診したものが把握
できなかったこと。
2類クラスなのに定点報告(+集団全数報告)

という状況がしばらく続きそうです。

今年の感染症学会で議論された

日本のエイズ対策は失敗しているのか

というシンポジウムの記事中に見つけたのが
最近、感染者のわずか13%しか抗体検査を受けていないとの推定が報告されまし
た。実際の新規感染者数は報告数の約8倍に達することになります。

という発言。

出典の文献
エイズ発生動向調査の報告・未報告のHIV感染者数とAIDS患者数における近未来
予測の試み(橋本、川戸、日本エイズ学会誌11:152-157,2009)
(5月発行にある)を見てみると

  • システムモデルによる予測を行ったところ
  • 2003-2007 年の感染者捕捉率は感染1年未満で34%、生涯全体で55%
  • 未報告HIV感染者全体に対する2007年1年間のHIV感染者捕捉率は13%
  • 推定値については妥当性が不明であり、あくまでも、モデルと仮定の下での 試算値であることに留意する必要がある
とのこと。

詳細理解できないところ多いものの、
感染しているのに治療に結びつかない人が8倍ほどいるということらしい。
(以前には4倍くらいというのを見たこともあるが)

実際は地域によって幅があるんだろうけど、日本全体としての数の
目安にはなりそうです。

感染に気づいていない人に検査の必要性を啓発して、
検査を受けやすい環境をいかに整備するかが、失敗と成功の
分かれ目になるんでしょう。

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2010.08.02

結局1価ワクチンはメーカーが買い取ることになった

来シーズンからは3価ワクチンが主流となるニュースが
流れて、厚労省ホームページに資料も示されました。

法律が改正されるまでのつなぎ接種がややこしそうだけど、
A香港、AH1N1、Bが含まれる3価ワクチンに統合。

医療機関の冷蔵庫でじっと出番を待っていた1価ワクチンは
結局、今シーズンだけの起用となりました。でも来シーズン
になっても「旧新型」とは言わないみたい(のべ何名罹れば
新型じゃなくなるの?)

一番の懸案だった医療機関にいったん納品されて、返品は
お断りだったワクチンの行方ですが、今日のインターネット
ニュースで、買い取りされることが報じられています。

結局、通常と違うルートで買い上げ→流通してたんだけど、
買い取りは通常に近い方法で

業者が費用負担する

ということになったようです。ちょっと意外な閉幕。

大手マスコミがこれだけ報道してるんだから、間違いないはずよ。

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2010.08.01

ホメオパシーと養護教諭(@沖縄)

助産師が、本来行われるべき投薬(ビタミンK)を行わずに、
自らが傾倒する代替療法(レメディ投与)を行ったために、
結果として患者が死亡したという事件の裁判が始まるようです。

最初の報道記事はこちら
「ビタミンK与えず乳児死亡」母親が助産師提訴

母親によると、助産師は最初の2回、ビタミンKを投与せずに
錠剤を与え、母親にこれを伝えていなかった。
3回目の時に「ビタミンKの代わりに(錠剤を)飲ませる」
と説明したという。

昨日の読売新聞に解説記事が出ているようです。
よみドクター
[解説]「ビタミンK与えず乳児死亡」提訴

助産師の一部が代替医療、命への責任再認識を

  • 来月始まる裁判は、助産師の行った代替医療が注目点
  • 死亡乳児への療法は、効果が疑問視されている
  • 助産師は、医療従事者の基本に立ち返る必要がある

ホメオパシーという団体名も出ているので、気になったのが
この記事

沖縄県では養護教諭研究会員がホメオパシー的アプローチを
勉強して、

予防接種に含まれる水銀、アルミニウム、歯科治療で使用されるフッ素が人間に沈積し、体を毒するだけでなく性格まで変えてしまうことを知り、本当に驚きました。社会は、予防接種や水道水にフッ素を入れることを推奨していますが、この動きを阻止しなくてはいけないと思いました。

などの感想を持って、学校現場に戻っている人もいます。

個人的にどういう代替療法に興味を持つかは自由なので
それを妨げる事はできませんが、それはあくまでも個人の
関心の範囲。

今回の助産師事件のように、資格を利用して
本来の専門職として行うべきことをせずに
(あるいは意図的に医療から遠ざけて)、
代替療法の錠剤を処方したり啓発したりするのは
反則だと思います。

なぜなら専門職という資格は、学校の教科書を勉強して、
先生たちからも習って、試験にパスして得たもので、
それによって就職したり人の信用を得たりしているんだから。
その資格に代替療法は含まれてないでしょ。

どうしても代替療法をやりたいんだったら、資格によって
得られた仕事とは関係ないところで、個人として、堂々と
看板を掲げてそれだけやればいいと思う。

まさか、保健だよりに「予防接種は毒」とか「そのせいで
発達障害が増えている」とか書いたり、保健室で子どもに
レメディ出したりする先生はいないと信じてるけど。

生徒や親御さんに近い位置で仕事する立場なので
ちょっとシワしてます。

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