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2010.11.30

透析vs院内感染

スペイン風邪の時代と現代との違いとして

  • 医療水準の向上(抗ウイルス薬、重症者の呼吸管理、輸液療法等)があ
    る一方、
  • 病院の中が感染の危険性に満ちている(免疫機能が低下している、多くのカ
    テーテルにつながれている等)
と言われている。

その典型例が透析室。

透析室は,全身状態が安定し定期的に訪れる外来患者から入院患者 まで,多人数の患者の処置を同時に長時間行なわねばならない. 一般病室とくらべ「来訪者」の割合が高く,外来から病棟・病棟から外来への双 方向の病原微生物伝播の場所となる可能性がある.さらに透析患者は腎不全によ る易感染性も存在し,死因の第二位(約20%)が感染症と健常者と比較して多い

ということで、厚労省医政局からも「透析医療における標準的な透析操作と院内
感染予防に関するマニュアル(三訂版)」が職員に対して徹底されていること等
を徹底するようにとの事務連が出されているようです。

そのマニュアルはこちらのホームページにあります。

その中からチェックリストだけ抜粋。

施設と透析医療機器
  1. 透析に使用する医療器具は患者毎に滅菌したものか、ディスポーザ ブル製品を使っている
  2. スタッフが透析操作前後に手洗いが容易にできる十分な手洗い設備がある
  3. スタッフが患者の症状の変化に素早く対応し,また頻回に手洗い等に移動で きるよう,十分なベッド間隔がとられている
  4. 透析装置の保守点検はマニュアルにのっとり,定期的に行っている
  5. 回路圧測定系にディスポーザブルのトランスデューサープロテクターを挿入 している
スタッフ
  1. 患者数やその重症度に応じて十分な診療ができるスタッフが配置さ れている
  2. 感染対策委員会が設置され,各職種のスタッフが参加して定期的に開催され ており,感染対策委員会委員長は施設の長(責任者)である
  3. スタッフに対して感染症対策に関する教育が定期的に行われている
  4. スタッフには定期健康診断が行われ,HBワクチン接種の機会がある
透析操作
  1. 透析開始・終了操作は清潔不潔概念をよく理解した医師,臨床工学 技士,看護師,准看護師,薬剤師などの有資格者スタッフが行っている
  2. 透析開始,終了操作は患者側と機械側にそれぞれ1名ずつが共同して行っている
  3. スタッフは侵襲的手技の前後に入念な手洗いを必ず行っている
  4. 穿刺および抜針操作をするスタッフは,ディスポーザブルの手袋を装着している
  5. 肝炎ウイルス陽性の患者は透析室内の一定の位置に固定して透析されている
  6. 血液に汚染された物品は,周囲を汚染しないように注意して,感染性廃棄物 として廃棄するか,マニュアルにのっとり,洗浄滅菌されている
  7. 透析中に投与され抗凝固薬やエリスロポエチンなどの薬剤は,透析室から区 画された場所で無菌的に準備されている
  8. ヘパリンはプレフィルドシリンジ製品を使用している
  9. 透析記録(患者毎,一回ごとの透析経過,診療内容,担当者名の記録)を作 成している
院内感染対策
  1. 感染症にたいする患者監視(サーベイランス)として,定期的な検査を 実施している
  2. 定期検査の結果は患者に告知され,説明指導が行われている
  3. 患者にはB型肝炎,インフルエンザ等に対するワクチン接種の機会が提供さ れている

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2010.11.27

マジックアワーマラソン

沖縄の離島でマラソン大会が多く開かれているのは
うすうす知ってはいましたが、それが1冊の本に読みやすく
まとめられています(沖縄のマラソンガイド2010-2011

なんと29の大会が県内市町村で行われているとは。
そして今、30番目?のマラソン大会が立ち上がったという
沖縄タイムスニュース。舞台は古宇利島。

コースはハーフ(21・0975キロ)、10キロの2部門。 宿泊しながらのんびり走ってもらおうと、土曜日に開催。 夕焼けが最も美しい時間帯「マジックアワー」を満喫できるよう、 午後4時にスタートする。

マジックアワーって何?

調べてみると、ほぼ日刊イトイのサイトに詳しい解説&写真が。
写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ

日没後

そして、やがて日が落ちることで、
そこに光そのものがなくなり、
同時にその影もすがたを失います。
しかし、いきなり真っ暗になるわけではありません。
うっすらと、やわらかい光に包まれた状態になるのです。

シルエットレスな時間帯。

先週の産経新聞にもマジックアワーに関する記事
ありました(これは夜景に近い)

ということで、夕日が落ちた後に桟橋から撮った写真がこれ

Pict0008

う〜ん。ただの夕焼け?(練習が必要です)

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2010.11.26

2010エイズOX検定

12月1日は世界エイズデー
レッドリボンライブは「We are シンセキ!」の山本シュウ
コメント上等)

肝心の発生動向委員会の11月発表データはまだかなぁと
毎日サイトを覗きに行きますが、まだのようです。

ここ石垣で若者が集まる場所ってどこだろうと考えて
今年は自練(教習所ね)にポスター貼ることにしました。
タイトルは、自練だけに「2010エイズOX検定@八重山」


Aidskentei


設問は、エイズや性感染症の木原データベース
参考に作成。解答はこのポスターのポケットに挟んでいるほか
チャンスがあれば「Ustream」でも配信予定

木原先生の報告書はこちら(PDF)にあります。

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2010.11.20

ノロウイルス2010

感染症定点報告でも「感染性胃腸炎」の報告が増加し
その主犯格と想定されているノロウイルスの報道が増加。
検索ワードでも急上昇トップ20に入ったりしている。

国立感染症研究所関係者の話として

  • ノロウイルスの免疫は1、2年ほどなので、免疫を失った人を中心に、 この冬、大量にノロ中毒が発生する恐れがあるのです (出典;週刊プレイボーイ
  • 去年は、ほとんど流行しなかったため、免疫がついていない子どもが多く、 今後、急激に流行が広がるおそれがある (出典;NHKニュース

流行、特に集団感染に対して注意を払う必要がありそうです。

起こりうるパターンとしてはやはり人→人感染がもっとも多く
感染経路別集団発生の推移図参照)
保育施設や高齢者福祉施設等が好発場所ですが、他にも


など、いろんなところに潜んでいる可能性も指摘されています。

ではどうしたらいいの?という疑問に対しては
東京都健康安全センターのノロウイルスタスクフォース
報告をまとめています。

最終報告書(pdf)の中の「手洗いの効果と嘔吐物の消毒方法」の実験結果を一部抜粋させて頂きます。

  1. トイレットペーパーによる拭き取りの際、中指、小指では10枚重ねた場合でもウイルスが 検出されました。また、ウイルスが付着した手指がドアノブを汚染し、ドアノブを操作した他者の 手指を介して食品が汚染されました。
  2. 速乾性消毒剤による擦式消毒とウェットティッシュを用いた清拭よりも、石けん類による泡立 てと流水すすぎを組み合わせた手洗いのほうが、ウイルス除去効果が高いことが確認できました。
  3. もみ洗い時間を長くし、あるいは手洗いを2回くり返すなど、丁寧な手洗いにより、ウイルス 除去効果が高まりました。
  4. 熱湯による加熱によるカーペットの消毒では、消毒に必要な効果(表面温度 85°C、1分以上維 持)を得ることは困難でした。
  5. スチームアイロンでは、カーペットの表面一箇所あたりを2分程度加熱すれば、狭い範囲であ れば消毒に必要な効果が得られました。
  6. 調査した家庭用布団乾燥機では十分な消毒効果を得られませんでした。
  7. 模擬おう吐物を散布したカーペットに 0.1%の次亜塩素酸ナトリウム溶液をかけた場合、10 分後 でも消毒に十分な量の塩素濃度がありました。また、次亜塩素酸ナトリウム溶液は遮光して保管す れば、半年間は濃度が低下しませんでした。
  8. 市販の二酸化塩素剤(0.06%)を模擬おう吐物を散布したカーペットにかけた場合、次亜塩素酸 ナトリウムと同様に 10 分後でも消毒に十分な量の二酸化塩素がありました。ただし不快臭があり、 カーペットなどを変色させることがあるので、使用の際には特段の注意が必要です。
  9. 市販のオゾン水は低濃度(0.003%程度)であり、模擬おう吐物を散布したカーペットにかけた 場合、1分以内にすべて消費されてしまいました。

まとめの「感染拡大を防止するためのポイント」として

  1. 嘔吐物の消毒処理
    • 速やかで確実な消毒処理
    • 広範囲な消毒処理
    • 消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)について

  2. 接触による感染防止
    • 手袋・マスク・ガウン(エプロン)の着用
    • 立入りの制限
    • 十分な手洗い

  3. 十分な換気
    • 速やかなウイルスの排除
    • 換気量を増やす

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2010.11.18

ロジョネーの季節

ボジョレーの話ではなく、ロジョネー(路上寝)に注意しようねという話。
これから年末年始にかけて機会飲酒する人も増えるはず。

本土なら凍死の恐れがある冬場の路上寝込み。
しかし沖縄ではその心配もないためか、県警データでは

月別では8月が532件、次いで7月と9月の順で、
暖かい夏に集中していますが、1月と2月にも
一ヶ月におよそ200件の通報がありました。

となっているようです(出典はQABのレポート

同じくQABでは(2007年ですが)特集を制作しています
Qレポート緊急取材“路上寝の実態”

去年、県警に寄せられた路上寝の通報は6458件に上りました。
今月15日には、石垣市で路上寝をしていたと見られる男性が
タクシーにひかれて死亡するなど、人口比で見ると、
八重山署と宮古島署がワーストとなっています。

アガヤー...
記者「いました、こちら。路上寝している男性を発見しました。
男性が横になっているんですが、パンツまで脱いでしまっています。
とても危険な状態です。足を路上に投げ出しています」

でもこういうニュースは定期的に流す必要があるはず。

これから忘年会が重なる季節ということで、お隣の宮古では
警察署が注意を呼びかけました(宮古毎日新聞

こうした状況を受け、同署ではこれまでに市役所や銀行などで
路上寝のパネル展を実施し、その危険性と節度ある飲酒を呼び掛けている。

パネル展の記事は、沖縄タイムスに紹介されていました。

酒に飲まれないようにしましょうね。


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2010.11.09

どの時点で病院内感染を疑うか(インフルエンザ編)

秋田の病院でインフルエンザが集団発生した
ニュースが報道されています。

報告の遅れ、初期対応、医療機関名の公表、A/H3N2の抗原性等
論点がいくつかあるようですが、医療機関が

これは病院内感染がはじまっている!

と疑う時点に関する資料を見つけました。

→日本環境感染学会のホームページ内

医療関連
感染地域支援ネットワークの活用について


「中小病院における主な病院感染症アウトブレークの迅速特定 Quick identification of outbreak」(2010年3月26日案)

病棟ラウンドward liaisonにより、通常より多い新規感染症例の存在に気づいた
際は、病院感染アウトブレークを疑う。アウトブレーク頻度の高い菌種に関して
は、以下の判定基準に従って原因菌種を特定する。


という前文に続いてMRSAをはじめとしていくつかの基準が示されている。

その中のインフルエンザウイルスの項目より抜粋。

  1. 医療従事者を含む複数のインフルエンザ様症状(咳そう、発熱の持続) の確認
  2. 迅速診断キットにてinfluenza A/B virus の診断
    ここでインフルエンザのアウトブレークを疑う
  3. 患者の個室アイソレーション、もしくは、コホート・アイソレーション
  4. 患者移動時には患者自身にサージカルマスク着用
  5. 抗インフルエンザ薬の投与(註:二次感染拡大防止のため)
  6. 感染拡大防止策の総合的遵守
  7. 必要に応じて、PCR検査の実施

厚労省からの通知で、クラスターサーベイランスは現在中止中
平成22年3月26日発出文書PDFとなっていますが

なお、社会福祉施設等の施設長等は、発症者の人数を問わず公衆衛
生対策上必要な相談は、適宜、保健所に行うことができます。

ともあります。

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2010.11.05

(資料)一般的な調査研究の進め方

日常業務に追われながらも、調査研究を進めるというのは
相当のエネルギーが要ることです。ましてや、グループで
取り組むと、時間合わせの調整だけでも大変

でもこの作業はきっと業務改善、提供するサービスの質の
向上に結びつくはず。ということで、その流れを紹介します。


一般的な調査研究の進め方

①テーマの選定

  • 日常業務で解決しなければならない問題を堀りおこし、改善に結びつけるため の資料を得る

②仮説を設定する
  • 仮説を証明するために、調査を行い、結果を分析して、結論を導く
  • 仮説は日常業務を通しての経験や先行研究等から設定する
  • 対立仮説→帰無仮説→帰無仮説が検定で棄却される→対立仮説が支持される

③調査票を作成する
  • 仮説の内容が網羅されているか
  • 質問の量は適当か、回答方法(1つor複数)、選択肢は答えやすいか等
  • プレテストの実施
  • 「調査票で聞くこと以外の情報は得られない」

④調査の実施
  • 実施計画を立てる
  • 対象者の選定、調査期間、配布・回収方法、記名・無記名、あいさつ文など

⑤調査結果の入力
  • ナンバリング(紙に番号をつける)→これ大事
  • 結果入力表を作成(excel)し入力する(できればダブルチェック)
  • 選択肢をコード化して数値として入力する。自由記載は「文字入力」
  • 複数回答は「0・1」がおすすめ
  • 無回答「99」や非該当「88」等の入力ルールを決める

⑥結果の解釈
  • 単純集計(グラフを作って眺める)
  • クロス集計(→仮説に基づいて実施)
  • 仮説は証明されたか
  • 「結果」「文献」「意見」の3点セットで考察する

⑦まとめ
  • 一連の流れを論文化して、学会などで発表する(研究のゴール)
  • 調査結果をもとに、改善策を検討し、できれば役割分担する(業務改善)


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