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2011.03.14

多数出る遺体の処理に関する考え方(WHO)

海岸で1,000体ほどのご遺体が見つかったというニュース
を見るにつけ、その取り扱いはどうすんだろうと思う

新型インフルエンザの準備段階で
遺体が多数出る新型インフルエンザ
という記事を書いたし、厚労省の埋火葬ガイドラインに沿って
多数の収容するための袋を購入した自治体も多いはず。

それはご遺体からの感染を防ぐためのものであるけれども
今回の大震災のようなシチュエーションとは違うことを
教えてもらった。それは

ご遺体から感染することはない

ということです。
出典はWHOのdisposal of dead bodies in emergency conditions

ざっと訳してみた。



  • たくさんの遺体が発生するという事態は、その社会的政治的な衝撃を考えると、無視できない
  • 緊急の援助チームは地域の精神的ケアに関与し、死に対する地域の伝統に配慮すべき
  • ご遺体が感染症(腸チフスやコレラ等)のリスクを高めるという考えは誤りである
  • ただし、水源を汚染した場合には食中毒や胃腸炎の原因になることはある
  • 愛する人々との死別や目撃をする経験は精神的におおきなトラウマとなる
  • だからご遺体を速やかに集めて、それを目撃することや臭気による苦悩から住民を解放することは大切なこと
  • ただしだからと言って、埋葬や火葬を早める必要はないし、死亡に関する記録や、通常死亡後に行われる葬祭を省略してもいいということでもない
  • relief workerは遺族の葬祭に関する希望を尊重しなければならない。このことは災害のために精神的に傷ついている人々の慰めになるから。
  • ご遺体を集める作業に従事する人々のストレスも考慮した支援も必要
  • ご遺体を安置する安全な場所を確保することが重要である
  • そこはご遺体を見ることができる場所や故人の所有物や記録を閲覧できる場所を備えてほしい
  • それが達成できることはまれであるが、温度は4度Cになる場所に安置する
  • 処理をする人は手袋やガウンを来て消毒せっけんで手を洗うこと
  • ストレッチャーや手袋(皮、ゴム)、ガウン、ブーツ、キャップ等は最低限揃えておきたい
  • ご遺体を早期に識別してタグをつけることが大きな課題である
  • 死亡に関する記録は死亡数の把握や死因の分析上も重要なことである
  • そのための安置場所は、ご遺体1000体につき2000平米以上必要である
  • 識別は、特に身元時間がかかる作業で、特に親族も巻き込まれた場合は見分けることが困難
  • 生存者は、身元判明のために多くのご遺体を見せられることもあり注意が必要
  • 識別するための場所と、死別を惜しむための場所は分けるべきである
  • 識別できれば死亡診断書を発行し、記録を残して、タグを着ける
  • 共同墓地のようなところに埋葬したり、多くのご遺体を火葬してはいけない
  • 埋葬は、宗教や文化的にそれを阻害する要因がない限り、
    緊急時のご遺体の処理に好んで用いられる方法である。
  • 埋葬する場所は、地域住民と合意の上決定するが、
    住宅地からは500m以上の距離を置き、地下水源からは
    50m離れた場所等の条件を考慮する必要がある。
  • 人口?10000人あたり少なくとも1500平米以上が必要
  • 他の宗教区域の居住地とも区別される方がいい
  • 埋葬には最低地下1.5mの深さが必要で、土壌で1m以上は
    覆う必要がある。個人のお墓は手掘りでもいい
  • 棺がない場合はプラスチック製のシートで覆う
  • 埋葬の方法は地域のやり方と一致すべきである。
  • 火葬するなら1体あたり300kgの燃料(木材)と煙による汚染を考慮→居住地帯から少なくとも500m離れた風下で。
  • もし遺体が感染症にかかっていた場合は、専門職により処理が行われるべき
  • 消毒のために石灰を用いるよりは、塩素系の消毒剤が効果的
  • 感染症の心配がある場合は、移送用の車も消毒し、人々にはご遺体との接触が感染の機会になることを気づかせるべきです(以下感染予防に関する項目は略します)

重要事項として

  • 死亡者よりも生存している人を優先に考える
  • ご遺体による健康リスクに関する神話を捨てる
  • 識別してタグをつける
  • ご遺体の取り扱いに関する適切なサービスを提供する
  • 身元のわからないご遺体を多数処理したりしない
  • 遺族の希望を聞き入れる
  • 文化的宗教的配慮
  • ご遺体からの感染から住民を守る


今の東北地方で上の「原則」がどれだけ適用されるかは
わかりませんが、考え方の整理のために残します。

これからの医療ニーズ

災害医療における感染症対策(ラジオ日経のPDF)によれば

感染症による災害以外の災害発生時には、まず多数発生するのが外傷患者です。 しかし、 傷病者発生数を外傷患者と感染症患者とで比較すると、 時間がたつにつれ徐々にその人数 が逆転してきます。 外傷患者は、災害発生時から 1 週間くらいまでは多いのですが、それ 以降は減ってきます。 またそれに比べて、感染症患者は、1 週間目以降から急増し 2~3 週 間までは増加していきます。

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