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2011.07.27

「市の対応は完全に間違いだ!」というのは本当か?!

結核ネタが続きますが、気になる記事があったので取り上げてみます。

横浜市の職員が結核に集団感染の記事(7月13日)
asahi.com マイタウン神奈川に掲載←もう消えちゃった

横浜市消防局危機管理室の職員が結核に集団感染した問題で、
市は震災前に52人を「濃厚接触者」としながら検査をせず、
うち28人を被災地に派遣したことが分かった。「感染しても
すぐにはうつらない」と判断したという。(中略)

この問題は12日の市議会常任委員会でも取り上げられ、委員から
「検査もしないでなぜ安全と判断できたのか」
「市の対応は完全に間違いだ」と批判が続出。

こういう事例が自分の保健所で起きたら、どう対応するんだろうか
という視点で、横浜市の対応を振り返ってみましょう。

横浜市記者発表(6月20日)資料より



1 患者の概要
  • 40歳代 男性 消防局勤務
  • 平成22年 8月 職員定期健康診断にて異常なし
  • 12月頃 咳・痰の症状が出現
  • 平成23年 2月 医療機関にて精密検査実施
  • 3月 3日 喀痰の菌検査の結果、結核と診断
  • 3月 4日 専門病院に入院し、治療開始
  • 5月25日 治療により感染性が消失したことが確認され、退院

2 職場同僚等への接触者健診の概要
(1)対象者は患者と同じ職場に勤務していた職員全員 52人
(2)健診の経過
  • 職場所在地での健診対象者 46人に対し、健診を実施
  • 4月 4日~6月3日 胸部エックス線検査実施。発病者なし。
  • 5月16日~6月6日 60歳未満の対象者40人に血液検査(QFT)を実施。

3 検査の結果
  • 結核の発病者(ただし感染性ではない)1例
  • 結核の感染者 24例
  • 異常なし 25例
  • 検査中 2例



3月3日に発生届けを受けて、接触状況を調査したところ
結核を感染させる可能性がある期間に濃厚に接触した人が
合計52人いることが判明した。

index case(感染源となる患者)との最終接触は3月であるが
症状はその前(資料によると12月頃?)から出ているので、
この時点でチェックすべきは

  1. 濃厚に接触した人の中に、すでに結核を発病している人がいないか
  2. 濃厚に接触した人の中で、結核の感染を受けている人がいないか

の2つ。

1(発病の有無)については、

  • QFTで感染の有無を確認
  • QFT陽性であれば胸部X線検査

となります。

2(感染の有無)については

  • 最終接触から8〜10週後にQFT検査

問題となっている「検査の時期」については
最優先接触者(下記)の場合で、登録時(3月)の時点ですでに
2ヶ月以上の接触があれば、直後に行うべきとある

  • 小学校就学年齢前の乳幼児
  • ハイリスク接触者(=HIV 感染者,免疫抑制状態の者など)
  • 接触者の職業が,いわゆる「デインジャーグループ」に属する場合
    (教職員,保育士,医師,看護師など)

それ以外の接触者については、最終接触から2ヶ月後に検査を
すべきとある(以上、結核接触者健診の手引き第4訂版より)。これだと5月の検査でもほぼOK。
「完全に間違い」ではないことになります。

これから被災地に赴いて、体力の落ちている避難所住民の方々と
直接接触することがあるのなら、いわゆるデインジャーグループと
同等に扱うという考え方もあるかもしれないけどね。

判断難しいところです(みんなで考えましょう)。

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2011.07.25

結核の怪しい検査にQFTは含まれていない件

WHOが世界に向けて勧告した

2人に1人の割合で誤った結果が出るという結核の検査

(原文はこちら)に関するニュース(時事NHK共同
この検査キットは、結核にかかっているかを調べるために、
血液中の血清を検査するもので、アフリカなどの途上国では
広く使われており、毎年、全世界で200万件以上、
この検査が実施されています。

ということで、年間100万件の誤診と表現されています。

さて、保健医療関係者にとっては、この報道されている怪しい検査と
現在売り出し中?のQFTがどういう関係にあるか、気になるところだと
思います。

ちょうど報道のあった先週末に那覇市で結核研究所の先生方の講義を
聞く機会がありました。さっそくこの報道の件についても触れられ

  • WHO記者発表したのは、結核の「血清診断」は役に立たないということ
  • この中にはサイトカイン(インターフェロンガンマ等)は入っていない
  • すなわちIGRA(QFT検査)や T-spotはこれには含まれていない

とのことです(講義メモより)

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2011.07.21

禁煙・受動喫煙防止に関するポスター&標語募集スケジュール

八重山保健所が約20年間取り組んでいるタバコ対策の1つ
児童生徒への作品募集(今は標語とポスター)

今年度の流れを書き留めておきます。

  1. 前年度3月頃、各学校や教育委員会に対して事業の案内(第1回目の周知)
  2. 年度が明けた4月に、各学校や教育委員会に対して事業正式案内(第2回目の周知)
  3. コミュニティFMのラジオCMにて募集案内(約1ヶ月間) (保健所ホームページ作品応募コーナーの一番下から聴取できます)
  4. 応募締め切り(今年はポスター41点、標語448点応募)
  5. 審査委員会開催して最優秀、優秀、優良作品を選定
  6. 5月31日地元新聞紙の紙面にて入賞作品を紹介
  7. 入賞作品をポスターにして管内の学校や医療機関、郵便局、公民館等に配布
  8. 6月から7月にかけて入賞児童生徒のいる学校に出向いて表彰式を実施
  9. 表彰の際に作品講評(タバコに関するミニ講演を実施)
  10. 表彰の様子が地元紙で報道される(学校が呼ぶ場合もある)

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2011.07.17

離乳食の進み方@沖縄

Rinyushock22

保育所の給食担当者に離乳食の調理実習をするという。
手ぶらであいさつというのもなんなので(なんなの?)
去年の健診報告書(沖縄県小児保健協会)から抜粋してみた。

離乳食の進め方ではなく、沖縄における離乳食の進み方
はこうですという紹介に使いました。

  • 離乳食をあげていると答えたのは、4ヶ月時点では2.6%、5ヶ月では40.8%、6ヶ月では99.8%
  • 離乳食を与えている回数は、6ヶ月では1回が6割と最も多く、8ヶ月では2回が7割、10ヶ月では3回が7割弱となっていた。
  • 離乳食の固さについては、ドロドロから始まって、7ヶ月頃舌でつぶせる固さへ移行し、10ヶ月頃やわらか煮へ移行しているようだ(上のグラフ参照)
  • 離乳食の食べ方は、よく食べるが85.1%、嫌がるが4.5%、時間がかかる10.4%であった
  • ベビーフード利用は、使わない 23.2%、時々 51.5%、よく使う 25.3%

この数字は、離乳食の現状を表しているもの。
ベビーフードの利用率なんかは、経年変化を見ても面白そう(宿題)


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2011.07.15

健診受けないあなたは何系?

明日は沖縄県版事業仕分けで「健康おきなわ21推進大会」という
イベントが棚卸し対象商品となっています。どのようなやりとりが
なされるか注目です。

生活習慣病の予防、というよりは医療費削減の約束手形?として
始められた特定健診。なかなか受診率が上がらない状況で保険者
たちを悩ませているようです。沖縄県ではダチョウ倶楽部肥後が
CMに登場して、受診を呼びかけているようです。

ということで、健診を受けない理由を明らかにするために沖縄県
が実施した調査報告書が回ってきました。

特定健診に関する県民意識調査報告書(H22.3月)

調査結果に基づく提言という項目があり、

調査結果をエビデンスとし、健診を受診しなかった者が考える
”健診を受診したい条件”とは何かを明証化すること

として以下を提言している。
  1. 「忙しい」という理由への処方箋は、「(仕事が)休みの日に市町村で健診」
  2. 「忙しい」男性には、第3者(例:事業主)が健診を働きかける必要あり
  3. 「忙しい」女性には、いつでもいける医療機関での健診をもっと宣伝
  4. 「忙しい」北部では、健診の場(市町村)と時間(休日、短期間)が魅力的
  5. 「忙しい」中部では、いつでもいける医療機関での健診を宣伝
  6. 人手が足りず「忙しい」事業所では、健診を別々の日に設定
  7. 本社のある事業所は「人間ドッグ受診券」配布で健診をイベントに
  8. 予約なしの飛び込み健診ができると魅力的
  9. 「健診の必要性を感じない」人には、いつまでも健康でいるとは限らない、というメッセージを効果的に伝え行動変容を促す
  10. 「面倒」には日常生活の憩いの場・年中行事での出前クイック健診やワンコイン健診で対応(案):ガソリンスタンドで給油や洗車待ち、床屋やヘアカットでの待ち時間、運動会(保護者を含む幅広い年齢層に、観賞時)
  11. 健診の「不安」を払拭するには「早期発見・早期治療」による費用対効果(特に対象者自身の病気に対する負荷を最小限に抑えることができることを強調)についてわかりやすく広報する
  12. 地域の人に接する立場にある人に“健康自意識促進ボランティア”となってもらう(例)床屋、タクシー運転手、区長など

いろいろ書いてますが、
健診を受けない人は大きく分けると

  • 「忙しくて受診できない」系
  • 「健康だから自分には必要ない」系
  • 「面倒くさい」系
  • 「病気が見つかるのが不安」系
  • 「だって誰も声かけてくれないのに」系

等があって、相手の特徴に応じた処方箋が必要ということ。

「忙しい」系に対しては、受け皿の拡大

  • 受診の機会を増やす(集団なら曜日拡大、個別なら受診可能医療機関を増やす等)
  • 健診受けるために休みがもらえるような事業主への働きかけ

「必要ない」系に対しては、おどし

  • 上記のような命拾いした症例の話
  • あとはお決まりの「透析で医療費がいくらかかると思ってるの!」(これは個人的には好きくない)

「面倒くさい」系に対しては、簡易版健診の普及

  • 上記のような年中行事とのセット(無理?)
  • ドッグや事業所健診等が自動的に特定健診にカウントされるシステム

「不安」系に対しては、諭し

  • 早く見つかった方が重症にならないで済む
  • お金だって軽症で見つかった方が出費も抑えられる

「声かからない」系に対しては、声かけ人の養成

  • 身近な人(家族や近所、職場等)で声かけ人を増やす
  • 特に寂しがる人には専門職が個別にアプローチ

と言ったところでしょうか。

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2011.07.07

指標仕分け

21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)

見直しの時期を控え、今年から来年にかけては
この計画はどのくらい進んでいるんだろうか
という議論と、(○○な)国から調査モノが増えそうな予感がします。

健康日本21は、「指標を選定し目標値を設定した計画」として
国でも県でも市町村でも関係機関でも策定されてきました。

指標があるなら、それを調べれば評価できるんじゃないの?

そう考えるのが普通ですが、なかなか一筋縄ではいかない
ところもあるようです。

策定時には「これは大事よね」と盛り上がって選ばれた指標たちも
担当者やメンバーが入れ替わった今となっては

  • 何であなたが選ばれたの?
  • どこを調べればこの指標が得られるの?
  • もっと大事な指標が落ちてるんじゃないの?

というように、指標そのものの見直し作業が必要になってきます。

だから見直し作業の第一歩は指標に関する情報収集から
(これが結構時間かかるかも)となるでしょう。

流れはこんな感じ(中間評価的な見直しプランの場合)

  1. 指標に関する情報収集
  2. 指標の整理(仕分け)
  3. 課題の検討
  4. 項目の追加・削除
  5. 目標の再設定
  6. 必要な取り組みと役割分担の確認
  7. 委員会で承認
  8. 市民、関係機関へ周知

2の指標仕分けについては、各指標について

  1. 良くなっている
  2. 悪くなっている又は変わらない
  3. 評価が困難である
  4. 調査未実施

と整理する。AとBについては
  • 改善して目標値に達した
  • 改善したが目標値には達していない
  • 変わらない
  • 悪くなってる

と仕分けする方法のようです。(参照=健康日本21評価作業チームの資料)

でもこういう指標を扱う作業とは別に

あの時作った計画が推進されてる!

と実感できる感覚も大切。全国でどのくらいあるんだろう?

(おまけ)計画が推進されてる!というイメージとは

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