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2012.09.14

失恋vs結核

結核予防週間に地元紙に投稿する原稿の案を考え中。



9月24日から30日までは結核予防週間です。
八重山地域の住民の皆様が結核に対して関心を持ち、
正しい知識を得られるように、保健所でも啓発を行っています。

厚生労働省は、今年の結核予防週間の標語を

「胸に空洞?!失恋ですか?-いいえ、結核です」
と定めました。
これは、結核という病気が進めば、胸(正確には肺)に
空洞ができることを示しています。

結核は、結核菌が空気感染によって、
肺の奥深く(肺胞)に定着することで感染が成立します。
空気感染とは、空気中にふわふわ漂っている菌を、
周囲にいる人が吸い込んでしまう感染経路のことです。
咳やくしゃみに含まれる飛沫(しぶき)は、菌の周囲に
水分がついた状態なので、せいぜい3mくらいしか
飛びませんが、周囲の水分が蒸発した状態では、部屋の
換気をしないと結核菌が50m先まで達することもあるそうです。

さて、肺の中で結核菌の感染が成立すると、
免疫細胞との戦いが始まります。戦っている場所周辺は、
炎症細胞から出る液等で「水びたし」の状態になります
(これが痰になり、咳によって体の外に出て行きます)。
結核菌がこの戦いに勝ち残ると、菌は増殖し病巣を形成
します。すると、病巣の中心部分は菌の作用により、
黄色いチーズのような物質になって壊死(えし)していきます。
周辺部は盛り上がって肉芽(にくげ)となりますが、
中心部の壊死した部分はドロドロにとけた後、気管支に破れ、
体外に出されてしまうので、病巣には空洞ができあがります。

空洞の内側部分は外の空気とつながっているので、結核菌が
非常に活発に増えてしまい、そこから体外に排出されて、
他人に感染させる原因となります。また、空洞にむき出しに
なった血管が破れると、それが血痰や喀血(かっけつ)という
症状となります。喀血は動脈性であることが多く、
血液のかたまりが気道を塞いで窒息を引き起こす場合もあります。

余談ですが、わが国に野球を広めたことで野球殿堂入り
している明治の俳人正岡子規は、肺結核にかかって喀血する
自分自身を、血を吐くまで鳴くと言われるホトトギスに例えた
と言われています(子規はホトトギスのこと)。

 このように、空洞を伴う結核では、本人が重症になる場合が
多いばかりでなく、周囲への感染源となる危険性をはらむ
ことになります。

空洞ができてしまうのは、結核の診断や治療が遅れて、
放置された場合に多く起こります。そうならないためには、
結核を早く診断して、適切に治療を行うことが必要です。
咳が2週間以上続いている場合には医療機関を受診し、
胸のレントゲン検査や痰の検査を受けるようにしましょう。
また、咳がある人はマスクを着用して
周囲に感染を広げないような配慮(咳エチケット)を心がけましょう。
治療は決められた期間(標準期間は6ヶ月)お薬を飲む
ことが大切なので、主治医や看護師、薬剤師、そして
保健師の指示に従って治療を完遂することが必要です。


失恋のダメージと結核の空洞を比べることはできないけど
インパクトのある標語であることは間違いないと思います。

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