2006.12.16

ピアプレッシャー

ピアプレッシャー。日本語で書くと「同調圧力」というらしい。
よく聞くのが思春期のタバコ・酒・性行動のときに、

自分ではよくない(したくない)と思っていても仲間からの圧力に負けてしまう
となる。
ピアカウンセリングはその逆で、仲間からのアドバイスが支えになる
という理屈だ。

ソフトバンクのTVコマーシャル。部活のあとに4,5人が電話の話。
「じゃあ、電話するね。夜9時までに」(9時までだと安い料金らしい)
という話を「仲間」でさんざんしていて、最後の1人に
「じゃあ、○○にも電話するね」と話を振ると、その娘は
「私にはかけないでいいよ、みんなに迷惑かかるし・・・」
と沈んだ表情で答える。
「あ、そうかw。○○はソフトバンクじゃないんだっけ」
「しょうがないよ。○○が悪いわけじゃないんだから」と
みんなで声をかけてCMは終わる。

これは典型的なピアプレッシャー。悪く言えば仲間外れ。
仲間というのは同じ会社(ソフトバンク)の携帯を持つ仲間。

仲間でないその子は、周りの話を聞きつつ
自分にも振られたらどうしよう(場の雰囲気が壊れるのでは)
と先読みして、「自分が迷惑の原因」という発言をする。

「私にはかけないでいいよ、みんなに迷惑かかるし・・・」

いや、周囲がその発言が出ることを「場の空気」によって導いてるのかもしれない
「自戒せよ!」「懺悔しろ!」という世代とは違う形の圧力。

しかしせっかく自責発言をしたにもかかわらず話題は変わらず

「あ、そうかw。○○はソフトバンクじゃないんだっけ」
「しょうがないよ。○○が悪いわけじゃないんだから」

表情にこやかに追い打ちをかける。
○○は携帯会社を変えないといけない状況に追い込まれる。
いじめの構図もきっとこうなんだろうなぁと考えてしまった。

このCMを見る少し前にみんなのうた
私と鈴と小鳥と(詩:金子みすゞ うた:新垣勉)を聞いていたから余計そう思ったかも。

みんな違ってみんないい

ピアプレッシャー侮れず。

| | TrackBack (0)

2006.11.23

停電と性教育

小規模中学校の1年生だけを対象にエイズ&性教育を
して欲しいと、知り合いの養護教諭から依頼を受けた。
お昼すぎから大雨+雷となり、山を越えていく途中も
雷鳴とどろくなか、気がつけばハンドルをしっかりと
握りしめていた。

学校に着いてパソコンをセッティングし集まった18名の
純情な(と先生は思っているらしい)中1を前にして、
いつものように講話をはじめた途端、停電した。
学校中が停電した。

視聴覚室の明かりも落ち、バッテリーで動くバイオの
モニターだけが光を放っていた。「みんな近くにおいで」
中学生をパソコンのそばに呼び寄せて、まるで絵本の
読み聞かせな姿勢でパワーポイントを進めた。心なしか
生徒たちは画面に集中していた(当たり前か)。

  • エイズは日常生活では感染しません
  • 沖縄でも日本でも患者感染者は増加しています。
  • 今後みなさんの身近なところで接するかもしれない
  • でも日常生活ではうつらないから普通に接してください
この場合の普通にというのは、過保護でもなく差別的でもなく、普通にという意味。
  • みなさんは性徴の真っ只中にいます
  • でも性徴にも個人のペースがあるので違ってても可
  • 男の子は女の子を見ると気持ちよくなるから触りたくなるのはなんでだろう?
  • 男女交際ではラブラブになってもいいと思ってるけど避妊法は知らない
  • 妊娠するのは大人の女性だけというのは×
などと性徴とセックスの話をし、
  • おなかの中の赤ちゃんはなぜ溺れないのか
  • それはへその緒が代わりに呼吸しているから!
  • 生まれて時期はミルクが欲しくて3時間おきに泣いた
  • それをママやパパはいちいち世話して健やかな成長を祈った
  • 君たちの赤ちゃん時代の写真と君たちの両親の赤ちゃん時代の写真を比べて見てごらん。そっくりだはずよ。
  • この世に生を受けて育ってきた意味を(時々)考えてみよう

などなど真っ暗な中、お話してきた。

結局5時間目が終わっても、あかりは復旧しなかった。

帰りの山道では冠水が激しくなっていた。
(写真があれば後日公開)

とにかく珍しい体験をさせてもらいました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.12.29

性教育への質問・苦情520件 県内12件

(共同+産経)引用+新報書写で残しておきます。
私たちの講義も苦情の対象になっているのかしらね?と保健所で話題になりました。

問い合わせ、苦情520件  保護者、学校の性教育に

 公立小中学校などで実施されている性教育について、2004年度に保護者らから学校へ寄せられた苦情や問い合わせは、延べ520件に上ったことが22日、文部科学省の調査で分かった。うち約70%が「何を教えているのか」「教材は何を使うのか」という問い合わせや意見だった。
 調査は、国会審議で学校での性教育が「行き過ぎ」と指摘されたことをきっかけに初めて実施。全教育委員会と公立小中学校など約3万3000校を対象に実施した。
 問い合わせや意見のほかは「指導内容や教材が発達段階を踏まえていない」21%、「保護者に説明がない」5%、「学習指導要領にない内容だ」3%など。
産経新聞の記事になると、上記に加え
小学校低学年に性器の名称や性交を教えたり、中学生にコンドームの装着実習をさせることへの苦情もあり、過激な性教育の深刻な実態が浮き彫りとなった。
マスコミが一面的な解釈しかできないのが心配。 さて、県内の状況については(以下引用です)
県内からは苦情や問い合わせが12件あり、うち2件が「指導内容や教材が発達段階を踏まえていない」ことを指摘するものだった。県教育委員会や県内の公立小中学校では、指摘のあった指導内容や教材を見直したほか、保護者らに説明するなどの対応をとった。
  1. 具体的には小四に精通を教える必要はない」という苦情に学校が学習指導要領に沿った内容であると説明し理解を得た
  2. 中学の授業で性交を扱うのは行き過ぎという苦情を受け、教育委員会が学校を指導して扱わないようにした
  3. 小ニに出産のビデオを見せるのはやめてほしいとの苦情でビデオの使用を止めた
などであった。

| | TrackBack (0)

2005.11.22

講演後、取り囲まれるの巻

世界エイズデーが近づいて、エイズ関連のイベントや講義が増えてきた。
昨日も中学校1,2年生197名と先生方に対してエイズの学習会。
ただし、事前のアンケートで、避妊や性に関する知識が蓄積されてないことが 判明したので、
エイズの話よりも性徴やセクシュアリティに関する内容が多かった。

  • 男女交際に「好きならば制限なし」と考える生徒が2割程度いる
  • 避妊しないで性行為をすると中学生でも妊娠する可能性があります
  • でも避妊についての知識は身についていないよね(中1で2割未満)
  • 特に男性の性欲のコントロールがカギを握る
などなど、思春期の子どもたちにスライドを使って説明(データは事前調査より)。

エイズについては患者感染者の拡大が続く日本(沖縄も)の現状を踏まえ

自分にも関係するという感覚
を身につけて下さいなどと話した。また、自分の生まれ育ってきた歴史を振り返り
自分を大切にするという気持ち
を持って下さいと話して講演終了。

終了後、中学生たちが興味津々でパソコンに寄ってきて次々と質問。
男の子たちは性徴やマスターベーションのことを、女の子たちは妊娠経過等について。
やはり、普段学校の先生方には気軽に聞けない内容なんだろう(答える側も答えにくいし)。
性教育:何をどのように伝えるかとも関連するが

全体のデザインを考え、家庭、学校、専門機関で役割を決めて取り組むのが理想。
(行き当たりばったり方式はむなしい)と思った次第です。

エイズについてはついに感染者が4000万人を超えたというニュース その中で日本は

▽感染者の6割が男性同士の性行為による感染である ▽若い世代が性行為での感染予防を怠っているために30歳以下の若者が感染者の約3分の1を占めている
と指摘されているそうだ。(UNAIDSのホームページはここ

また、今年もHIV人権ネットワーク沖縄による人権フォーラムが沖縄各地で行われます。
北部では12月17日(土)の午後2時から名護市民会館で。
今年は出番なし男ですが、若者たちの創作劇は見ごたえあると思います。 入場無料

mandm 写真は、今年も名桜大学エイズキャンペーンで教材として使用したミッキー&ミニー
今年からはウルトラマン人形16体(=大4+小12=性交ねずみ算で使用)
関係者ともども、ご苦労様でした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.09.15

性教育に関する新たな知見

今週行われた教育委員会主催による性教育研修会。 そこで頂いた資料より引用。
出典は「カフェテリア方式による新しい時代の性教育」(保健の授業)
著者の一人は性教育学者の松浦賢長先生


2002年度にわが国で性行動・性意識調査が行われ、性教育学にいくつもの
革新的な見方をもたらした。(中略)性交開始年齢(の分散)は親からの遺伝を受け
同時に親の育て方によって影響を受けることがわかっている。
性交相手数(の分散)が親の育て方には全く影響を受けないのをは対照的である。
性交開始年齢はそれゆえに家庭での性教育がある程度ものをいう。しかし、
それは「制覇恥ずかしいものだという先入観こそいけない。親子の間で性について
フランクに語るべきだ」ということを意味しない。

性行動・性意識調査の結果、性交開始年齢に影響を与える(上昇させる側)事柄は
まず「(中学生のころまで)親が性に厳しいこと」であった。そしてあと2つあり、
「(中学生のころまで)親と一般的なことをよく話すこと」「(中学生のころまで)
親と性について話さないこと」だった。ただしこの場合の性について話すと言う範囲は
人を好きになること、性交渉(セックス)、避妊、性感染症である。(中略)
一般的なことについても、性についても親とよく話す者の性交開始年齢は
他の組み合わせよりも極端に低く、16歳代と突出していた。(中略)

ここから導き出したことは、何でも話せるように見えて実は性についての話題は
避けているということが、家庭の性教育の要であるということだ。
つまり、性の慎重さは、明示的な言葉により形成されるというよりも、
それ以外の「不自然に」仕組まれた経路で伝わるということである。
テレビのラブ・シーンに凍りついた茶の間の空気のあの不自然さが性を特別視させ
その敷居を高めていることになる。

すなわち、親が性に厳しい態度を示し、何でも話せるように見えて
実は性についての話題を避けている家庭で育つ子どもは、性を思いのままには
扱えないもの、特別なものとしてとらえる。性を単純なものでなく、一筋縄ではいかない
ものとしてとらえる。性の敷居が育まれる。性に思い入れを持つのである。
性の敷居が低くなると、思い入れなくして性交にいたる子どもたちが増える。
性を特別視していない子どもたち、性を大切にしていない子どもたちである。(中略)

上記のエビデンスから、今後は家庭、地域、学校における性の敷居を高める
メッセージ環境の構築が求められている。(以下略)


これが新しい知見ということである。
家庭においては「性の敷居を高めるメッセージを非言語的手段で
子どもたちに伝える」ということは、何となく日本人に合ったやり方という気もする。
(無理をしてある日突然、性をフランクに話すことは両者にとって苦痛だし、
これだと多くの親に受け入れてもらえることが期待できる)

ただし、これが学校でも同じかというと、少し違うと思う。教育の現場である限り
教える側は、「何を教えるのか」「その結果子どもたちがどう成長すべきか」という
意志表示をすべきだし、家庭や地域といっしょに目標を共有する必要があるだろう。
そうでないと、みんな性の情報洪水に流されてしまう。

もちろん松浦教授らが提唱している小集団でのカフェテリア方式も教育手段として
すぐれた手法の一つであるということに異論はないです。

さて先日の研修会グループワークで、現場の先生たちのジレンマを知ることができた。

  • 学校内に仲間がいない(養護教諭だけが動いている)
  • 仲間にしようと説明しようにも資料がない(現状が把握されていない)
  • 学校の外の専門家とも連携がとれていない(活用できていない)
  • 発達段階に応じた教材がない(系統化されたものが少ない)
  • 時間がなかなかとれない
  • 毎年特設授業を1回やってはいるが、その効果は?
  • 同じ地域の小中高校での連携があればいいのに
  • 家庭と学校の役割分担がはっきりしない(情報交換できていない)
  • 前任から引き継いだが何から手をつければいいのかわからない
などなど

でも答え(やるべきこと)はその悩みの中に見え隠れしている

  • まず簡単な実態調査
  • その資料を見せて仲間を増やす
  • 校内で無視できない状況を作り出す
  • 学校保健委員会などで地域や家庭とも問題を共有する
  • 教育プログラムを考えて、皆に示す
  • 関係者で役割を分担する
  • プラグラムを評価をするための指標も揃えておく

教育プログラムが最大の関心事だろうが、基本的には
何を/どのように/誰が伝えるか(「性教育:何をいかに伝えるか」参照)
という整理の仕方でマトリックス表を作ってみてもいいのではないか。
もちろん「何を」に「性の敷居の高さ」、「どのように」に「家庭での厳しさを通して」
という項目を追加しても良い。

何でもそうだが、問題が起こってからの後追い関係者会議ほど空しいものはない。
これも「目標を持って、戦略的に」がキーワードでしょうか。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.09.01

性教育:何をどのように伝えるか

今日から9月。幸運なことに海外研修(大同生命)への参加を 許されしばらく職場を離れて修行してきます。 よってブログooyakeの更新も滞りがちになることをご了承下さい。

そこから戻ってすぐにしないといけない仕事がこの講師。

「性(エイズ)教育:何をどのように伝えるか?」
  • 日 時:9月14日午後2時
  • 場 所:北部合同庁舎
  • テーマ:「性教育:何をどのように伝えるか?」
  • 対 象:国頭教育事務所管内の養護教諭など
  • 形 式:講話+ディスカッション

流れとしてはこんな感じ

  1. 性教育を取り巻く現状
    • 中央教育審議会の方針   「高校生以下のセックス認めません」日刊スポーツ7月14日
    • 七生養護学校問題(都教委による教材の「押収」)
      性教育バッシング論争に発展している
  2. しかし現実に問題は起こっている
    • アダルトビデオが僕の教科書?
      某強豪大学野球部集団暴行事件
    • 10代の人工妊娠中絶か、10代の母親か
    • 子どもたちは洪水のような情報の中で生きている
  3. だから正確な情報を繰り返し伝えることが必要です
  4. では教育によって子どもたちがどうなることを目指すのか
    • 「自己を肯定的にとらえられるようになる」ことが解の一つ
    • (エリクソンの)発達課題という視点から
    • (共依存などの)人間関係という視点から(小林幸子「やんちゃ酒」)
  5. では何を伝えるべきか
    保健医療の専門家として伝えられること
    • 成長と性徴(個人差があるのが当たり前)
    • 性(セクシュアリティ)に関するとらえ方の男女差
    • セックスしたらどうなるのか
      • 妊娠する
      • 性感染症にかかる
    • それを予防するためにはどうしたらよいか
      • No sex , Safer sex
      • 自分の問題として考えられる感覚も必要
    その他に子どもに伝えるべきこと
    • 価値観、道徳観
    • 自分を大切にする心
    • 自尊感情
    • コミュニケーションスキル
    • 偏見や差別の解消など
  6. いかに伝えるか
    • 日常の授業や学校生活を通じて
    • 一斉集団レクチャ-方式(単発にならないことが大切)
    • 双方向的グループワーク
    • ピアアプローチ活用(カウンセリング)
    • 個別にフォローする必要もある
    • 自分たちでディスカッションさせるという方法もある
  7. じゃあどうすればよいの?
    • 学校の中でできることと学校の外の連携してできることを整理する
    • 検討する場を設ける
    • 共通の方向性や目標を確認することが大切ですよね
  8. 最後に命について考えるとは?

親子がつながっているという実感を得る。
家に帰って親子とも子どもの頃の写真を見比べてみよう

スライド96枚。 活発なディスカッションになることを期待します。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2004.09.15

しゃべり場inやんばる

彼らは頑張っている。もともとはピアカウンセリングの講座を受けた学生が 中心となって立ち上げた「はぴこむ」というグループ。活動の場は北部。だから URLはhttp://hapicom-north-ryukyu.com

このグループというか、活動をはじめようとしたきっかけが(中略) 保健所の「ピアカウンセラー養成講座」が全ての始まりだったんですね。 養成講座終了後は、主に性教育というか、正しい性の知識を若者達に 広めて、サポートしていく事が中心的な活動でした。(中略) した。そして、「確かに、今の若者達に正しい性の知識を広める事も 立派なサポートではあるけど、まずは若者達が安心して集える場所、 『この人たちならば何を聞いても大丈夫』と思える若者の支援者達が いるという環境が必要だ!」ということでカウンセリングを中心とした 活動を展開していこうという事になりました。  これから「はぴこむ」が目指すのは、沖縄の名護を中心に活動を 展開していき、若者が若者をサポートしていけるネットワークと場所 (街の保健室的なものか)をつくることです。

中学生や高校生を相手にしゃべり場を不?定期に開催している。 その様子もサイトに掲載されている。彼らを支えようとする大人も実はいる。 YASA「若者も大人も共に性を考え行動する研究会」というグループ。 看護学校の先生方をはじめ、若者たちに とっての良き相談相手をめざす。もちろん研修に行かせる余裕があれば 家族計画協会などの研修への派遣が可能になる。

本日YASAの会合で、おとなのしゃべり場も敢行。テーマは

「性とセクシャリティとは別物か」
だった。 結論は出なかったが、話せてよかったと思った。

こうやって(しゃべり場を継続させて)中高校生を「言語による コミュニケーション」でつないでいっている。よい仕事だと思う。

| | TrackBack (0)