2013.05.02

中国語しか喋れない患者への対応(Novel influenza)

そういえば、去年の沖縄そばの日(10月17日)に八重山で
こんな訓練したよなぁと思い出すことが多い今日この頃。

連休明けに指定感染症デビューする鳥インフルAH7N9

なお、指定感染症になっても

国内の医療機関に対して、中国から帰国後10日以内に
肺炎症状等が疑われる患者を診察した場合は、
保健所へ連絡するようお願いしています。

という通知は生きているようです。

今のところ、鳥人感染もしくは効率悪い人人感染の結果
検疫をすりぬけて国内で発症する可能性が指摘されてます。
その患者が中国語しか話せない場合の対応が課題(全国共通?)

というわけで、去年の八重山福祉保健所の報告書を見ながら
研究しております。
想定内容

  • 台湾在住「Aさん」は、10月10日に仕事で「B国」の家禽市場を訪れる。
  • 10月15日、娘家族とともに観光目的で石垣島へ来島。ホテルに宿泊した。
    →台湾からの直行便を利用したが、石垣空港から入国した際は無症状であった。
  • 10月16日の朝、離島ターミナルから定期船で西表島を訪れる。
    →朝から咳、痰、発熱(38°C)。市販薬を内服し観光。島内の民宿に宿泊。
  • 10月17日朝、西表島東部の大原診療所を受診。
    →発熱(39°C超)、咳も良くならない。簡易検査にてインフルエンザA(+)。
    →中国語以外のコミュニケーションが難しい。

詳細は報告書をご覧下さい

課題として、参加機関(10機関)から挙げられたものは

  • 連絡体制・方法に関すること
  • 搬送時の留意点
  • 関わる人たちの感染予防
  • 語学対応について

特に通訳については、
  • 国際交流員による電話通訳
  • 華僑総会会員による直接対面通訳(PPE付き)

の両者を実施し、メリットデメリットを比較

ここら辺は外国人労働者が多い東海地区とかがノウハウを持ってるかもしれませんね。

で、訓練とは別に感染研の先生を招いてDVDを見てもらい
頂いたコメント

スカイプなどのテレビ電話による通訳は有用だろう
今回の訓練では、通訳の方が聞き取りづらかった(特に電話通訳)
ということだが、 インターフォンやスカイプを用いることも
良いアイディアであるが、
聞き取りに 要する時間をなるべく短縮するということ
を念頭に検討を進めると良い。

そうそう。大事なことはいかに効率的に積極的疫学調査を進める準備をしておくか
(5)疫学調査の質問はもっと短く効率的に(事前に準備しておくべき)
疫学調査について、あいまいな聞き方をしている点が多い印象があり、
感染源を確認することが重要。観光客ということであれば、
既に周囲へ感染を引き起こし ている可能性が高く、
インフルエンザであれば発症するまで約1日と想定し、
そこから感染隔離に至るまでの状況をしっかり
聞き取らなければならない。

患者の 家族を中心に聞き取りし、次に濃厚接触があった人、
会話があった人など、段階を決めて、
スムーズに聞いていくことが重要。

また、PPE(感染防護服)を着ながら患者と密室に閉じこもって
長時間聞き取りをするのは大変辛い。必要に応じて
地図を用意するなど、聞く項目のポイントを絞って
あらかじめ準備を行い、なるべく早めに終わらせる必要がある。

以上を心得ておく必要がありますね。

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2012.07.23

新型インフル特措法と米軍基地

過剰な人権侵害の恐れがある(日弁連)
と指摘を受けながらも成立した新型インフルエンザ特別措置法。


今年は各都道府県で条例や行動計画策定のための準備が忙しくなりそう。

法の中では(産経ニュースの記事より引用)

新型インフルなど発生時に政府が「緊急事態」を宣言すると、
都道府県知事が外出の自粛や休校、人の集まる施設を使わない
など住民の行動に制限を求めることができる。

という項目もある。

7月に入り、毎週のように繰り広げられる沖縄の夏祭り。
海洋博花火北谷シーポート、宜野座、てだこ...)
という催しが中止になるのは理解が得られる?

さらに難しいのは、米軍基地の中で行われる催し物への対応。
これは沖縄に限ったことではなく、渉外知事会に属する自治体
では共通の課題。なぜって

  • 基地の中で働く日本人従業員は約2.5万人(最多は神奈川、次は沖縄)
  • 日本がいくら検疫を強化しても基地を経由する出入りまでは規制できない(当たり前)
  • 基地の中でもサマーフェスタなど、一般住民に開放するイベントがある(結構多い)

日本政府が緊急事態宣言を出した時に、足並みを揃えてくれるか
という難儀な調整が待っている。事前に厚労省、外務省、防衛省
レベルで話を通しておいてもらわないと、国民には厳しく規制
しても米軍基地から流入してくるという由々しき事態も想定

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2012.02.23

「集会制限、憲法違反の疑い」説(新型インフル)

ふと床に落ちている新聞(八重山ローカル紙)に

集会の禁止、憲法違反の疑い

とあったので、出所を探してみた

社団法人自由人権協会が出している声明

  1. 立法事実が不明確である
  2. 法制化は集会の自由に対する不当な制約となり得る

1については
このような未知の新感染症が生じる具体的なおそれがあるこ
とも明らかにされてはいない。

立法事実は具体的にどのようなものであるのかは明らかでない。

という主張

2については

前述のとおり新型インフルエンザが今後発生した場合それが国民
生活全体にどのような影響を及ぼすものかは、何ら明らかではない。
一方で、緊急事態宣言の下で制限される対象に含ま
れる集会の自由は、
憲法で保障された表現の自由(憲法21条)の一つであり、すべての市民に保
障された基本的人権として重要な意義を有するものである

というもの。

具体的な条件が示されてないので、「新型インフルエンザ等感染症」が
適用された感染症すべてにおいて、無制限の集会制限がなされる?!と
いう心配がある。とのこと。

そうは言っても、

高病原性かつ容易にヒト-ヒト感染しうるインフルエンザウイルスは当然
起こり得ると聞いてたし、対策としては、地域封じ込めや集会の禁止が
感染拡大防止には必要とガイドラインにも書いてある。

この業界の中にいるものにとっては「常識」と思っていたことに対して、
法律や人権の業界から「待て」がかかった感じ。なので

運用面で対応するから心配しないで

と言っても、説得力に欠ける。

実際、2009年の時は、病原性が季節性インフルエンザと同レベル
ということがわかっても、新型の冠を外すまでに1年以上かかった。
検疫にしても、サーベイランスにしても、対策を緩めるタイミングが
遅れがちになる
のが国の意志決定システムの特徴ということが
わかったのでね。

よって上記の2つの指摘には、丁寧に回答すべきでしょう。

社会対応や封じ込め対策も対策として必要ですが、もっと大切な
パンデミックの医療体制についても十分な議論がなされることを
期待します。

(参考)

日本医師会勤務医のページに示された行動計画の改訂のポイント

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2010.12.24

インフル三とる節

年末年始は、インフルエンザの流行も広がりやすい時期。
ついに今期も全国で「流行入り」が宣言されました。

一方海外では、英国で、この1週間のあいだに患者が倍増し、
死亡者が10例増えた(合計27例=adult18,children9)など
重症例も目立つという状況になっています。(guradian紙HP)

旅行の際は十分な注意が必要ですね
Forth=海外渡航情報センターには載ってないけど...)

外出したときなど

目や鼻、口を触らないようにしましょう!

出典は予防のために米国CDCが提唱している
"take3" actions to fight the Flu

ここではtakeという動詞に、3つの意味を持たせています。

  1. Take time to get a flu vaccine.
    予防接種するための時間をとる

  2. Take everyday preventive actions to stop the spread of germs.毎日、病原菌を広げないための予防行動をとる

  3. Take flu antiviral drugs if your doctor prescribes them.
    医者から出された抗ウイルス薬を服用する

1番、2番では、連れテイクの「take」は、日本語の「とる」と
ほぼ同じの意味にとらえられるけど、3番の「服用する」は
さすがに「薬を摂る」とはいわない(よね)

これが「とる」3つだったら、沖縄県の公衆衛生的郷土劇
「ゆいまーる」に使われていた
「四ない三とる(よんないさんとる)節」
に続くインフル三とる節だったのに...

ちなみに四ない三とるとは、寝たきりにしない、させないために

  • 1、冷えない
  • 2、転ばない
  • 3、怠けない
  • 4、争わない
  • 5、野菜・果物をとる
  • 6、休養をとる
  • 7、役割を取る

だそうです。

作者は当時のコザ保健所長吉田朝啓先生

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2010.12.21

真面目に検討すべき新・新型インフルエンザとは?

すべての仕事にはデッドライン(締め切り)を設けなさい
というにならって

就業時間も仕事も、すべて締切を設定する

ことを目標にしたいです(本も買って読みます)

ということで

今後発生しうる新・新型インフルエンザについて
厚生労働省の専門家会議の資料を見ていると

田代委員からのご意見

というのがあった。

国は今回

  • 対象となる新型インフルエンザの多様性を踏まえ、対策も多様
  • 病原性や感染力等が高い場合にも対応できるよう行動計画には 強力な措置を記載するが、ウイルスの特徴(病原性や感染力等) に関する情報が得られ次第、その程度に応じた適切な対策へと切 り替え

等と、想定していたものよりインパクトが小さい場合の
インフルエンザへも対応できるように「弾力的」に対応
するとしているが、上限の規模は、これまでの想定から
大きく変わっていない。すなわち
  • 全国民の25%が感染
  • 流行は各地域で8週間続く
  • 全国的に事業所では従業員の40%が欠勤
  • 医療機関を受診する患者は1300万〜2500万人
  • 入院患者は53万〜200万人
  • 入院患者は1日最大10.1〜?万人
  • 死亡者は17万〜64万人

などなど、今回のA/H1N1とは桁違いの被害規模を維持している。

ところが「田代委員からのご意見」にある資料では
これを真面目に検討したとは思えないと指摘している(以下引用)

健康被害の推定が、スペインかぜを最悪と想定しており、
しかも Meltler の数式(2000)を使用しているなど問題が多く、
H5N1 で予想される最 悪のシナリオが考慮されていない。
最悪のシナリオを想定した被害予測の前提が修正されない以上、
国の基 本方針として、最悪のシナリオに対する必要十分な
準備対応が出来るはずは ない。
発症率 25%、致死率 2%の根拠はない。
ヨーロッパ等の記載(H5N1 を考慮しているとは考えられない)
を援用して、被害想定をそのまま書くこと自体が、
真面目に対策を検討しているとは考えにくい
従って、7 ページの記載については、全面的に再検討が必要である。

想定がなまぬるいということか。

見直しをしない場合には、今回の改定案には到底同意できません。

事務局がこの意見をどうおさめたのか議事録をみないと
わかりませんが、発言力のある方の意見なので、スルー
というわけにもいかないでしょう。

ここが対策の根幹に関わる部分でもあるので、早めに決定
しないと、全国的に作業が滞る可能性もあります。

現場感覚では、昨年の経験や現在の鳥型H5N1の状況をもとに、
病原性が高くなれば、感染者は少なくなる
という原則に乗っ取って想定してもらうと、関係者もイメージ
しやすいんだけどね。


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2010.10.23

日本に1つ、沖縄に2つ、八重山に3つ。

なぞなぞっぽくなりましたが、答えは去年のA/H1N1流行の
ピークの数。

Yaimaflu


上の図にもあるように、
全国的なピークは1回。
沖縄県は夏休みと年末年始の2回。
そして八重山地区では、それに加えて11月中旬にもう1回。

11月のヤマの1週間前に、島最大の祭りと言われている
石垣島まつりが盛大に行われたため、

保健所側は、去年11月の新型インフルエンザについて、 全国や全県では流行のピークがみられなかったのに、 石垣ではピークがあり、 「石垣島まつりが若干関係しているかもしれない」と報告。
という記事になりました。

A/H1N1は、季節性並みの病原性であるため、国も県も
一律のイベント・集会の自粛は行わず、
カゼひかないで、つなひこう
でも書いたように、感染拡大に気をつけながら実施するという
選択をしました。

これがヒトへも高病原性を示すウイルスだったら、話は別です。
という説明も、昨年の経験を共有しているのでこれまでよりは
イメージしやすくなるかも。

ところで今年の冬の流行はどうなってしまうんでしょうか?

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2010.08.29

インフルエンザは特別な感染症

石垣と那覇を1週間に3往復している間に準備した
講演会が27日に無事終了。

  • 新型でも季節性でもインフルエンザは、
    医療の受け入れキャパを超えるような負荷を与える
    特別な感染症
  • 医療に負荷を来さないような対策を、発生動向
    (サーベイランス0に基づいて行うためには、
    定点医療機関があと2.5倍は必要
  • 連携というのは、日頃からのつき合いの延長で
    「普段から無理を頼めるような関係」を構築しておく
などなど、メモ帳に走り書きされています。

同じ日、国では新型インフルエンザ対策本部が開かれ
今年度末をめどに、なんと

「新型インフルエンザ等感染症」と認められなくなった旨の公表をし、
通常の季節性インフルエンザの対策に移行します。

という方針を発表しました。

これによってどうなるかという読売の記事

新型の指定が外れると、
昨年の発生当初に実施された徹底した検疫や
ウイルス検査などは行わなくなり、
高校や大学、専門学校は集団発生の報告が不要になる。
ワクチン接種の推奨は終了し、
低所得者への接種費用の補助もなくなる。

とのこと。ただし予防接種に関しては、今まさに臨時接種に
向かっていろいろ調整している時期なので、その切り替えの
タイミングは、現場の声も聞いて考えるべきでしょう。

政府の声明では、今回のA/H1N1対応を踏まえて、高病原性
鳥インフルエンザ由来の場合に備えて、新型インフルエンザ
対策の再構築を図るとしています。が、その前にやることは
毎年必ず発生する季節性インフルエンザ対策の検証及び
対応能力の強化ではないかと思います。

ほんとに毎年10,000人の(超過?)死亡者が出ているのかとか、
定点観測を強化するための措置とか、医療への負荷をどう軽減
するかとか、厚労省と感染研との連携とか、ワクチンとか...

ゴールがみえた瞬間に人間は気を抜くという格言があるように
これでユルユルにならないで、次の課題に取り組みましょう。

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2010.08.02

結局1価ワクチンはメーカーが買い取ることになった

来シーズンからは3価ワクチンが主流となるニュースが
流れて、厚労省ホームページに資料も示されました。

法律が改正されるまでのつなぎ接種がややこしそうだけど、
A香港、AH1N1、Bが含まれる3価ワクチンに統合。

医療機関の冷蔵庫でじっと出番を待っていた1価ワクチンは
結局、今シーズンだけの起用となりました。でも来シーズン
になっても「旧新型」とは言わないみたい(のべ何名罹れば
新型じゃなくなるの?)

一番の懸案だった医療機関にいったん納品されて、返品は
お断りだったワクチンの行方ですが、今日のインターネット
ニュースで、買い取りされることが報じられています。

結局、通常と違うルートで買い上げ→流通してたんだけど、
買い取りは通常に近い方法で

業者が費用負担する

ということになったようです。ちょっと意外な閉幕。

大手マスコミがこれだけ報道してるんだから、間違いないはずよ。

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2010.05.27

昨年の新型インフルエンザの経験

携帯から投稿トライ

那覇市医師会雑誌春号に掲載してもらった原稿。


1.はじめに 平成19 年4 月、筆者はそれまでの北部福祉保健所勤務から県庁健康増進課の結核感染症班へ異動となり、新型インフルエンザを担当することになった。1 年目、2 年目は計画の改訂や、人工呼吸器や個人防護具を確保等の準備を進めていたが、3 年目を迎えた平成21 年4 月、メキシコでの豚インフルエンザ感染が拡大し、国はこれを感染症法に基づく「新型インフルエンザ等感染症」に規定した。本稿では、主に新型インフルエンザへの医療対応における課題について提起したい。

2.沖縄県における発生状況
今回の流行では、県内で約22 万人(サーベイランス定点報告数の約5 倍)の患者が発生したと推測している。そのうち、約550 例が入院、21 例が重症化(人工呼吸器装着や脳症等)して、残念ながら3 名の方が亡くなられた。
患者全体の年代別割合は、0 〜 14 歳が約55%を占め、50 歳以上は4.7%と若年者に多い傾向を示したが、全国と比べるといわゆる20 代〜 30 代の割合が高いことが指摘されている。重症例21 例のうちわけは、年代別では5〜 9 歳6 例、0 〜 4 歳5 例と多く、基礎疾患なしが13 例、基礎疾患ありが8 例であった。また15 例が発症から重症化まで3 日以内と、急速な経過をたどった。

3.沖縄県の流行の特徴
発生状況に関する沖縄県の特徴としては、夏場に全国に先行して流行のピークを迎えたこと、全国と違って2 回のピークを経験したこと、夏休みや年末年始といった休暇を契機に感染が拡大したこと、20 〜 30 代の青壮年世代の占める割合が比較的高いこと等が挙げられる。その理由ははっきりしないが、感染性のある患者が、多くの人と接触して感染が広がったことは間違いないだろう。

4.課題(主に医療対応について)
今回の新型インフルエンザは、想定していたものよりも病原性が低いウイルスであった。そのため、入院者や重症者は低く抑えられたが、その一方で外来受診に関する混乱が表面化した。その一つは、受診患者が夜間休日の救急外来に集中し、一部の医療機関に集中したことである。那覇市立病院では、ER 受診患者が急激に増加し、また診療に当たっているスタッフにも感染者が発生するなど、救急医療機能を維持できなくなることも危惧された。そこで、那覇市医師会に対する応援依頼が要請され、緊急理事会により速やかに派遣が決定された(このときの様子は、那覇市医師会報2010 年新年号編集後記に玉井理事により報告されているので、是非参照頂きたい)。
県民の大病院指向が根強いためなのか、あるいは当初設置された発熱外来のイメージが強かったのか、いずれにしても救急医療への圧迫を解除するような受診行動について、啓発が必要である。また、外来待合や病棟における院内感染対策も今回の経験を機に、それぞれの医療機関で取り組んでいくべき課題である。院内感染を防ぐために、来院した発熱患者が他の患者と接触しないよう、動線を工夫したり、空間的に仕切ることの大切さは、これまでよりも認識されてきたと感じている。また、地区医師会と県立病院、中核病院との間で、軽症であればかかりつけ医、重症化すれば中核病院で診るという役割分担が行われた。保健所が調整役となって円滑に進められた地域もあり、今後も病院を超えた調整が必要になるケースでは、保健所や県の役割が重要になると思われる。
今回の対応では、医療機関と情報を共有するシステムについても苦心した。県内のすべての医療機関に対して、迅速に情報提供をすべき場面が何度かあったが、メールや郵送では不十分であったため、最終的はFAX を活用して情報提供を行った(ワクチン配布の調整についても毎回7 8 0 余りの医療機関とFAX でやりとりをさせて頂いたが、故障や不通などでご迷惑をおかけすることになった)。医療機関との情報共有システムの必要性を痛感した。

5.新型インフルエンザの経験から学んだこと
新型インフルエンザ対応に追われた1 年間となったが、多くのことを学ぶことができ、貴重な体験をさせて頂いたと感じている。具体的には、咳エチケットの大切さ(リスクコミュニケーション=うつさない・うつらない・つぶさない)、パンデミック時に通常の社会機能や医療機能を維持に努めること、医療現場との情報交換を怠らないこと、国の既定路線にとらわれず現場で判断すること等である。特に、他県と違う流行パターンを示した本県では、現場からの情報に基づいて、県で暫定的に方針を決めて、国の指示とは異なる対策を講じる場面が幾度もあったが、おおむね良好な結果をもたらした。その大きな要因として、医師会等の関係機関が県の方針に理解を示し、協力して頂けたことがある。そのことを感謝して稿を終えたい。


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2010.04.20

起承転結新型インフル(医療編)

石垣の空を見ながら更新。

事例をもとにディスカッションする勉強会用の資料(書きかけ)

起承転結の起承部分だけ示して
転結を示す前にみんなであれこれ検討する方式

起(8月3日~8月9日)

  • 6月29日に県内1例目が発生し、その後中部地区を中心に流行が拡大した。
  • 7月下旬に学校は夏休みに入ったが、クラブ活動などで引き続き感染は拡大。
  • インターハイに出場したN高校バレー部が予選を勝ち抜いたがインフルエンザのため棄権(インターハイでは計5校、20名が感染)。
  • 県内のA型インフルエンザでは7月28日にAH3(香港型)の患者が検出されて以降、すべてA/H1N1であることが判明。
  • 前週の定点報告数が1医療機関あたり10を超えたため注意報を発令した。
  • クラスターサーベイランス(流行の端緒をつかまえる目的)の数が急増して、破綻直前であったため、医療機関と調整して重症化防止へ切りかえの準備。
  • 週末には多くの患者がERを受診。「発熱してすぐERを受診し、翌日も受診してFlu checkを受けたがるリピーターも多く、医療機関の負担になり、さらに、院内で研修医やナースへも感染が広がり始めて大変という情報が入る。

承(8月10日~8月19日)

  • 対策本部において「今後は医療機関から疑似症や集団発生事例の報告を求めず、重症例や入院例、死亡例などの特異な状況の報告を求めることとする」暫定的方針を決定。
  • 福祉保健部は教育庁と調整し、夏休み明けの学級閉鎖の基準を決定し、8月14日から各地で臨時の校長説明会を開催して説明に回る。
  • 8月15日全国で初の死亡患者が県内で発生したことが報じられる。
  • 週末は、数多くのインフルエンザの患者が医療機関に押し寄せているため、年末年始のような忙しさが続いている。特に、休日夜間は救急病院に患者が集中する。
  • 同時に、医療機関への電話での問い合わせも多いため、電話対応にも人員が割かれている状況である。
  • 定点報告は、その後20.3、29.8と増加したため、8月19日に沖縄県新型インフルエンザ対策本部は、流行警報を発令した。
  • また、立て続けに小児の人工呼吸器患者3名が報告されたため、重症患者を治療しているこども病院では、通常は術後対応をICUで行っている心臓手術の症例を待機せざるを得ない状況になっている。
  • そしてまた、患者の集中する週末がやってくる。

論点
・ このままでは救急医療体制が破綻をきたす。
また、小児の重症医療にも対応できなくなる恐れもある。
どのような対策を講ずる必要があるか。


この事例に関する勉強会は7月3日に行われます。

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