2013.07.23

勝ち急ぐ人、勝ち急がない人

夏の甲子園2013の沖縄県予選は昨日、沖縄尚学高校の優勝で
全日程を終了。決勝は沖尚がリードを保ったまま逃げ切った。

今大会を振り返って(解説者か!)途中まで勝ってたのに
終盤逆転されたチームのコメントに共通点を発見。

    >
  • 北中城高校は沖尚高校相手に9回1死まで1対0でリードしていたが、残り二人となったところで投手が「勝ち急いでしまった」ため、四球→三塁打→ヒットで2点を奪われ、逆転サヨナラ負け。
  • 準決勝で八重山高校は8回2死ランナーなしまで3対0と美里工をリードしていたが、「勝ち急いで」しまい、そこから連打を浴びて7点奪われて、ベスト4で敗退

どちらも惜しい試合でした。これをみてて勝ち急ぐことが
パフォーマンスの低下にそんなに影響するか(あるいは相手
につけいる隙を見せることになる)ということで、前々から
本屋でチラ見して気になっていた本を買ってみた。

勝負脳の鍛え方(林成之著:講談社現代新書1861)

この本(結構読み応えあり!)の中では
サイコサイバネティックス理論を説明

  • 目的と目標を明確にする
  • 目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する
  • 目的を達成するまで、その実行を中止しない

目的:試合に勝つ
目標:目の前の打者を打ち取る

とした場合、リードしたまま試合終盤になって勝ち(目的)を
意識したばかりに、それまで実行してきた目標達成の方法が
すこし狂ってしまったということでしょうか。

この本では他にイメージ記憶のことをゴルフのパッティングで
カップまでの透明な線をイメージしても、外してしまうことが
よくある。大事なことは

答えはカップインではなく、ボールの転がり方をイメージして
打つことです。(中略)。よいボールの転がり方をイメージすれば
モジュレータ機能がちゃんと働いて正しいパッティング姿勢になり
パターの芯でボールが打てるのです。
らしい。

ゴールを意識すると脳はサボり始めるという記事
にも書いたように

一瞬の油断や不安な気持ちが運動能力の低下に結びつく

ということも肝に銘じておくことも大事。

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2011.08.02

書評「リスク・マネジメントと公共政策」

「書評」を書くという仕事が回ってきました。たぶん初めての体験。
しかも畑違いの話が多かったので苦労しましたが、一応脱稿。


リスク・マネジメントと公共政策 ─経済学・政治学・法律学による学際的研究─
高橋滋・渡辺智之 編著 第一法規(2011年3月) 2,310円(税込)、ISBN:978-4-474-02687-2

本書では、震災、原子炉、新型 インフルエンザ、社会保障、財政
赤字等の問題を「リスク」として とらえ、これに関する公共政策に
ついて、様々な立場の執筆者が分 析研究を行っている。経済学的な
観点では、リスク・マネジメント の事前的対応としては保険の概念
が必要で、リスク行動を回避するようなインセンティブ契約を結ぶ
ことが有用であるとしている。また、組織におけるマネジメントの
実際例として、体制の確立、 危機の分析、方針決定、オペレーション、
評価という一連の流れが基本であることを示し、組織は日頃から
危機管理について備えを講じることで、社会的責任を果たすと述べている。

今まさに我が国が直面している地震等の自然災害への政策的対応と
しては、第5章「震災の政策体系と地方の役割」の中で、災害関連施策に
ついて財源の多くを国に依存しているため、地方公共団体の裁量が
小さい現状を報告している。一方、リスクの評価(リスク・アセスメント)
については、原子力安全委員会における安全審査を題材として、
専門性、中立性(利益相反が生じないようにする)、透明性の要件について
論じ、綿密に検討を重ねている過程を紹介 している(残念ながら、
今回の大震災ではその過程が生かされない結果となってしまったが)。

水害については、ドイツにおける法対応のように、水害が想定される地域に
厳格な土地利用制限を課す都市計画法制との接続を参考にすべきであろう。
2009年に世界的に流 行した新型インフルエンザへの対応については、
最悪の状況を想定しながら対応するという厚生労働省の一貫した姿勢は
評価できる。特に、国内で最も先に流行した沖縄県の対策を全国に周知し、
迅速に医療体制の強化を図ったことが、その後流行した地域での医療現場の
混乱を防ぐことに寄与したと考える。

今後の課題としては、次なる新型インフルエンザのリスク評価を専門性、
中立性、透明性の面から精査することや、今回反省点の多かった
リスク・コミュニケーションについて、平時から議論を重ねることであろう。

(沖縄県八重山福祉保健所保健総括(医師)/糸数 公)


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2011.05.07

不寛容の原理

読みかけの本

論理病をなおす!処方箋としての詭弁(香西秀信)

より。

まず寛容の原理(principle of charity)については

例えば相手の議論が複数の意味で理解されるとき、
できるだけその議論が妥当となるように、
相手に都合良く解釈してやること

だそうです。

不寛容の原理はこの逆で

相手の議論が複数の意味で理解されるとき、
できるだけその議論が誤りとなるように
相手に不利に解釈しようとすること

だそうです。

相手の議論中に現れる言葉が多義的であることに乗じ
相手の意図したであろうことを無視して、なるたけそれを
不合理で馬鹿げた意味に解釈し、それによって相手の議論
全体を葬り去ろうとする-あるいはこちらの主張に有利なように
変質させてしまう-ような詭弁がありうる。

具体的な例として
「みだりに芝生に入ってはいけません」
という立て札のある公園で、ある男が芝生に入って弁当を食べていた。
それをみた管理人が
「この立て札が目に入らぬか」
と咎めた時に、男が
「みだりになんか入っていない、自分が芝生に入ったのは今日が初めてだ」
と言い返した。

「みだりに」には「むやみに」という意味があるので、そう考えると
男は決して「みだりに芝生に入っては」いない。
だが「みだりに」はこれ以外に、「好き勝手に、わけもなく」等の意味もある。
立て札を立てた管理人の意図はここにあったと考えるべきで、
それを「むやみに」の意味で受け取った男は、やはり解釈において
不寛容だったのである。

と説明しています。いるよねぇ、こういう人。

まだ続きます。

では、こう言われた男が「ではなぜ『みだりに』などという余計なもの
をつけた。『芝生に入ってはいけません』だけなら自分は誤解しなかった」
と管を巻いてきたとしたらどうだろう。もともと「みだりに」には大した
意味はなく、注意書きとしては「芝生に入るな」で十分である。が(中略)
こう書くと「いついかなるときも、絶対に入ってはいけないのか」と
絡んでくる人間がいるといけないので、あまり意味のない「みだりに」
を飾りのように付けたということだろう。

要するに「みだりに」に特別の意味を読み込もうとすること自体がすでに詭弁である。


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2011.04.02

風の御主前(ウシュマイ)

東日本大震災の起こる前から読み始めていたこの本

大城立裕「風の御主前 小説:岩崎卓爾伝」(ケイブンシャ文庫)

あくまでも小説ではあるが、今も石垣島気象台に銅像
飾られている岩崎卓爾初代測候所長の生涯を紹介している。

仙台出身。明治31年、30歳で石垣に渡り測候所に赴任。
その後仙台にいる八重樫貴志子と離れ離れのまま結婚し、
妻を迎え入れてからは、家族で石垣島で暮らす(子どもは7名)。

明治45年、末っ子が生まれた年に実家(仙台)の父を亡くし
妻と子ども達を仙台に帰し、単身八重山に残ることになる。

本業の測候所業務だけでなく、昆虫やハブの採集
イワサキクサゼミなどの名付け親)
八重山の民族や文化、教育等多方面に影響を及ぼす活動をした。

沖縄の偉人というサイトによれば

当時の石垣島では、勘や迷信に頼って天気を判断、雨乞いなどの行事が行われるのが普通で、岩崎卓爾の話には島民は耳を傾けなかったといいます。しかし、島の島民に溶け込もうといろんな行事に参加したりする内に次第に島民からの相談相手となっていきました。
岩崎卓爾は石垣島にすっかりはまってしまい、気象だけでなく、昆虫や、歴史、民族など幅広い分野の研究を行います。次々に新しい生物を発見したため、今でも石垣島では「イワサキ」の名前を冠したものが多くあるのです。

個人的に興味深かったのは、先日三線の教室で見た
喜舎場永旬先生の八重山民謡の本の編纂にも、この
ウシュマイが関わっていたということ。

今から100年以上東北に思いをはせながら、八重山で生涯を
送った天文屋のウシュマイ。

今は私たちが東北に心を寄せて復興をお手伝いする番です。


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2011.01.03

「ちょいデブが一番長生き」

チキンがしんねん

というCMが流れた今年の日本のお正月。
(韓国ではシャレにならない事態になってるのにね)
それはともかく2011年もよろしくお願いいたします。

年頭にあたり、「今年はやせる!」とか「脱メタボ!」とか
いろいろ目標を立てる人も多いことを想定して出版された
かのようなこの新書

40代からの節制は寿命を縮める(和田秀樹:朝日新書)

我慢は禁物。楽しむ人が得をする

EBMやアンチエイジングをもっと重視すべきという視点で

  • メタボ対策を進めても日本人の死者は減らない
  • 節制よりも雑食を心がける
  • バイアグラが売れない国・日本
  • 我慢しないことが寿命を延ばす
等が帯に書かれてます。

なかみでは
厚労省の研究班(研究代表者は東北大の辻一郎教授)の成果

  • 40歳の時点でもっとも長生きしたのは男女とも太り気味(BMIが25以上30未満)の人
  • 以下「普通(18.5
  • もっとも早死にしたのは「やせ(BMI25未満)」

を引用して、タイトルのようなメッセージを発している

国が研究費を確保して、政策づくりのために行った研究は
いつの日かメタボ重視の医療費抑制政策(これは財界主導)
に代わって、保健政策に反映されることでしょう。
ちなみに健康日本21は、平成25年度に全国一斉見直し?

他では、精神科のドクターらしく

  • コレステロールには、うつを改善する働きも
  • 「粗食」はメンタル面にもよくない
  • 食事を「楽しむ」ことが老化を防ぐ

などなど、食事とメンタル面のことを書いた章が多い本です

バイアグラが売れない(買いにくい)事情もよくわかりました

事情知りたい人は、買って読みましょうね。


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2010.12.09

現代のスティグマ(大谷藤郎)2

「現代のスティグマ」の著者、大谷藤郎さんが亡くなったという
ニュース(毎日産経日経

ご冥福をお祈りします。

医務局長時代に国の医療行政の責任者としてハンセン病施策を担当。 在職中から患者の人権回復運動にかかわり、 患者隔離を定めたらい予防法の廃止(96年)に尽力した。

6年前の名護での人権フォーラムでの前に、このブログでも
紹介していました(ooyake 現代のスティグマ

そこからの孫引きですが

偏見は一般の人々の間に初めからあるのではなく、専門家や役人などの 関係者によってつくられ、知らない間に一般化してしまう。 そして我々は油断していると、いつの間にか知らない間に、弱い人、病気の人に 対して加害者になってしまうという、人間の本質的な悲しさのようなものがあり、 それを自戒すべきではないか。

日本では、1996年までハンセン病患者を法律によって
差別的な扱いをしていた。

元気で世間で陽のあたる所を歩いている多くの人々はそのような悲しみの少数者 (エイズ、がん、白血病、難病などで苦しんでいる人)がいることを知らず、たとえ知っても 自分がかかわりあいになることを恐れて知らぬふりをし、ひどいのになると自分よりいちだん 下の人間であると侮蔑の念を持って遠くから冷たく見ている。
この文章を読んで、石原都知事の同性愛者に関する発言が思い浮かんだ (毎日新聞
東京都の石原慎太郎知事は7日、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」と発言した。

同性愛者に対するスティグマを押す知事。

スティグマとは、もともとギリシャ語で
「焼きごてでしるしをつける」など肉体上の「しるし」を意味し、
これをつけることによって、奴隷、犯罪人、謀叛人などに
汚れたもの、卑しむべきもの
という烙印を貼って 世間に知らしめたもので、
共同体のスケープゴートの対象でもあった。

スティグマを押しているのは知事だけではない
という認識も必要。


この石原発言に言及するマスコミが少ない
毎日岡山版きび談語くらいしか見つからない)
のも気になるところ。

明日の人権デーを前に、
人権について考えさせられる報道が相次いでいますね。

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2010.11.27

マジックアワーマラソン

沖縄の離島でマラソン大会が多く開かれているのは
うすうす知ってはいましたが、それが1冊の本に読みやすく
まとめられています(沖縄のマラソンガイド2010-2011

なんと29の大会が県内市町村で行われているとは。
そして今、30番目?のマラソン大会が立ち上がったという
沖縄タイムスニュース。舞台は古宇利島。

コースはハーフ(21・0975キロ)、10キロの2部門。 宿泊しながらのんびり走ってもらおうと、土曜日に開催。 夕焼けが最も美しい時間帯「マジックアワー」を満喫できるよう、 午後4時にスタートする。

マジックアワーって何?

調べてみると、ほぼ日刊イトイのサイトに詳しい解説&写真が。
写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ

日没後

そして、やがて日が落ちることで、
そこに光そのものがなくなり、
同時にその影もすがたを失います。
しかし、いきなり真っ暗になるわけではありません。
うっすらと、やわらかい光に包まれた状態になるのです。

シルエットレスな時間帯。

先週の産経新聞にもマジックアワーに関する記事
ありました(これは夜景に近い)

ということで、夕日が落ちた後に桟橋から撮った写真がこれ

Pict0008

う〜ん。ただの夕焼け?(練習が必要です)

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2010.10.31

スナックのママさんはなぜ「ママ」と呼ばれるのか

学生への結核ミニレクチャーで出した宿題。

答えは本棚に眠っていたこの本「家族依存症(斉藤学)」にありました。

困った父親の2つのタイプという文章から
引用させていただきます。

職場というのは、 効率と生産性だけが問われる単純な世界ですが、 現代の父親の多くは、職場で評価されることで、 自分の役割を果たしきったように錯覚しています。
このような父親たちの中には、真から家族と思えるのは 職場の取り巻きたちだ、というような困った人もいます。
彼らは、仕事が済んでから職場の疑似家族と連れ立って 飲み屋を訪れ、酔いの中で幼児的な自己愛に包まれて、 心の安定を保っています。そのような場で、幼児返りした サラリーマンの保母役を努める女主人は「ママさん」 と呼ばれているわけですから、これは実に適切な呼称 と言えるでしょう。

ということです。
ママと呼べる人を探して、夜の街をサラリーマン。

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2010.07.20

マネージャーとマネジメント

高校野球の決勝戦(興南9-1糸満)を見た直後に読んだ本

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)

「もしドラ」と略されて、多くの人に読まれているらしい
ブログもできていた

タイトルの通りに、高校野球のマネージャーになった主人公が
ドラッカーのマネジメントをテキストにしながら、チームを
マネジメントしていく小説。ところどころにテキストからの
引用が(下記のように)挿入されていて、まさに「入門書」
という感じです。

  • 組織の定義づけ(何をするための組織か)
  • 顧客とは誰のことか
  • 顧客を想像するためのマーケティング
  • 専門家とマネージャーの関係
  • 人の強みを生産に結びつけるには
  • 自己目標管理の大切さ
  • イノベーションとは、組織の外へもたらす変化(価値観を変える)
  • マネジメントの第3の使命は、社会の問題の解決に貢献すること
  • (努力ではなく)成果こそすべての活動の目的
  • 成果中心の精神を維持するためには人事こそが最大の管理手段

この本を読んでもっとも感心したのが、日本では

  • ネージャー=「高校野球等の部活のお世話係」
  • ネジメント=「組織を管理すること」

と、同じ言葉なのに全く意味が違う用いられ方をしている言葉を
すり合わせたところ。すり合わせながら、専門用語をストーリーに
適用させているのもわかりやすいですね。

読後に

テキストを読まなくちゃ

と思ってしまう1冊でした。

この本(ドラッカーの「マネジメント」)を訳した
上田惇生ものつくり大学名誉教授のサイト
でも、ドラッカーを学ぶことができるようです。

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2010.07.15

八重山の医介舗 Medical Service Men in Yaeyama

Ikaiho

南山舎から出版された親盛長明著「ある医介輔の記録

平成21年6月に93歳で亡くなられた親盛長明先生は
医介輔として57年間、八重山の地域医療を支えてきた。

医介輔については、

  • 戦後米軍占領下にあった沖縄独自の制度
  • 医師助手等、一定の医療経験がある者に特別講習を行い、
    昭和26年と27年に計3回認定試験を行って、登録
  • 合計126名が登録され、主に離島や僻地で勤務にあたる
  • 保健所長の指揮監督のもと条件付きながら医療行為を行うことが可能
    という一代限りの制度。
  • 全県的には平成20年の勝連平敷屋診療所の廃止で、すべて終了

離島診療所の大先輩として、数回お話を伺ったこともある
親盛先生が、実は八重山保健所の先輩でもあることがわかり
地域医療の展開(マラリア、フィラリア、異常分娩等)だけではなく、
竹富町から西表への移住しての開拓の様子や、うみんちゅ顔負けの
漁の話など、エネルギッシュな人生が描かれている。

80歳を過ぎて覚えたパソコンを片手で原稿を打ち、
亡くなって後に息子さんが仕上げたという一冊。

読み応えもあるし、沖縄の地域医療の歴史を知る上でも
貴重な資料となるでしょう。

よい本に巡り会えました。

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