2015.09.16

9月24日〜30日はなぜ結核予防週間なの?

9月24日から30日は結核予防週間です

公衆衛生の仕事をしていると当たり前のようにインプットされていましたが
昨日、結核予防週間用のラジオインタビューを受けてて、
「どうしてこの時期に結核予防週間を設定したんですか」
と急に聞かれ、...返答できずモヤモヤしたまま1日過ごしました

厚生労働省や結核予防会製薬会社のサイトでも見つからず、

今日は何の日という記念日サイトによると

1949(昭和24)年から厚生省(現在の厚生労働省)と結核予防会(JATA)が実施。
結核についての正しい知識を普及し、これからの活動を考える週間。

今は亡き、結核予防法の成立した日かとも思ったが

昭和26・3・31・法律 96号 

で、この6ヶ月後は世界結核デーWorld TB dayだから、
その反対側(カレンダーの)に設定したかとも思ったけど
JATAによると、WHOが設定したのは1997年のことだって。

ということで結局わからないままです。

一応ラジオでは

これから寒くなる季節を控え、風邪などで体調を崩すことも結核発病に つながる危険性もあることから、この時期に設定したかもしれません

と答えました。あくまで個人の推測の範囲ということでお許しを。


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2014.07.05

インクフェクション(Tattoo induced skin infection)

1ヶ月間に5人の兵士が沖縄県内のタトゥーパーラー後に
病院を受診したというStarsandstripes(星条旗新聞)のニュース

Five U.S. servicemembers on Okinawa ended up in the hospital emergency room this month seeking treatment for infections related to getting tattoos in unsanitary conditions at tattoo shops off base, according to Navy officials.

今回は皮膚感染症(cellulitisとか)ですが、一人はICUケアもいた
とか。外国人はやたらタトゥーが目立つけど、結構日本人でも最近
見かけることが多い。

皮膚を彫って(傷つけて)水で溶かしたインクを流し込む行為は
日本では医療行為にあたるため、医師免許を持たない人が行えば
違法。巷にショップはいっぱいあるじゃんと思うかもしれないけど
違法らしい。違法なだけに届け出や登録も必要なく、よって把握も
難しいというのが現状らしい。

アメリカでは州の保健衛生部局に登録して、衛生状態についての
講習や指導を受けて許可されるとのこと。

タトゥーが原因の感染症としてCDCのサイトでは非結核性抗酸菌
(NTM)の報告がなされていました。これはインクを溶かす水が
汚染されて感染がおこったと書いてあった。

可能性から考えれば

unsanitary needles could pass along more severe infections,
such as hepatitis B, C, or even HIV

若い人のC型肝炎の原因とかになってないか心配ね。

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2013.04.08

上海帰りの肺炎

週末緊張感を持ってニュースを検索していた

鳥インフルエンザA H7N9

今のところヒト-ヒト感染の証拠は見つかっていないみたい

これまでの解説記事の一覧

  • NHK解説「H7N9ウイルスとは」4月2日
    国内では、おととし12月に群馬県伊勢崎市の沼で採取された野鳥のふんから、H7N9のウイルスが検出されたことがあります。

    (北海道大学の)喜田特任教授は「H7の鳥インフルエンザウイルスが人に感染すること自体はそれほど珍しいことではないが、これまでは、重症化したケースはほとんど報告されていなかった。鳥と人ではウイルスに感染する細胞の表面の構造が異なるので、直ちに人で感染が拡大するとは考えにくい」と話しています。

  • インフルエンザA(H7N9)のリスクをどう考えるべきか(東北大学大学院押谷教授)4月4日時点→図によるまとめがわかりやすい
    今回のH7N9ウイルスは、現時点では人での大流行につながることは考えにくいが、そのような危険性のあるウイルスではあるというのは事実である。今後の動向を注意深く見守るべきあり、さらにデータをできるだけ早く収集し、人に対するリスクをきちんと見極める必要がある。

  • 朝日アピタル 中国の鳥インフル どう考える?どう備える?(県立中部病院高山義浩先生)4月4日
    ですから、いまのところ一般の方々が、このA/H7N9に対して具体的な対策をとる必要はありません。中国からの旅行者についても同様です。これまで同様にもてなしていただければと思います。

    ただし、医療関係者においては、少し体制を強化した方がよいかもしれませんね。とくに、新型インフルエンザの院内ガイドラインについて、関係者で再確認しておくことをお勧めします。

    もし、A/H7N9が新型インフルエンザであるなら、最初の主戦場が沖縄となることは避けられないと思います。毎年、夏に沖縄で流行しているインフルエンザが、大陸から持ち込まれているであろうことは明らかです。

  • 厚生労働省 鳥インフルエンザA H7N9 について 4月5日設置
    中国の発生地域からの到着時に発熱などの症状がある場合は、検疫所へ相談してください。
     さらに、国内の医療機関に対して、中国から帰国後10日以内に肺炎症状等が疑われる患者を診察した場合は、保健所へ連絡するようお願いしています。

  • 国立感染症研究所WHOのQ&A邦訳随時更新

上海帰りの肺炎への対応は書いているけど、みんなが悩んでいるのは
上海帰りの発熱患者(ウーン)


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2013.01.14

八重山マラリア防遏のあゆみ

八重山に来て3年が過ぎようとしているが、危うくマラリア
対策の歴史も勉強せずに異動?するところだった。JICAの
研修生に講義した資料より抜粋


八重山にマラリアが侵入し広まった経緯
  • 1530年頃オランダからの難破船がたどり着き乗組員が病原体を持ち込んだ説
  • それをもともと生息していた媒介蚊が住民に伝播
  • 1737年頃には八重山全域に広がっていたという記録
  • 1609年琉球が薩摩に支配され先島地方には重い人頭税が課せられ、住民は開拓のために移民せざるをえなかった
  • 開拓に行った先がマラリア感染地域だった場合には廃村になることもあった

波照間島から西表島崎山に移住した住民が故郷を思って歌った歌が崎山節(演奏付き^^)

その後第2次世界大戦まではいわゆる地域に土着化したマラリア

  • 冬場は気温が下がるので媒介蚊は繁殖が止まる
  • 多くの住民は有病地域には近づかないが、一部は薪を取るために山に入り感染する
  • 流行の中心がマイルドな三日熱マラリア等であった可能性

年間の患者発生は約1000〜2000、死亡数は20〜30で推移した

Malaria_lecture_2012

しかし第2次世界大戦で、八重山上陸が近いと判断した日本軍が
住民に山岳地域への避難を命令。これが1945年6月。媒介蚊の
大量発生時期と重なり、治療薬も不足していたこともあって、
6月〜12月までの間に

  • 患者数16884(全人口の53%)
  • 死亡者が3647人(死亡率22%)
  • ちなみに八重山で空襲による死亡者は174人

という記録があるので、いかに被害が大きかったか...

戦後のマラリア対策としては

  • 米軍による治療薬の配布
  • 八重山保健所を中心とした地方政府体制の強化
    • 患者の治療や予防投薬
    • DDTを散布(ボウフラのいそうな場所に)
    • 薮の伐採、蚊帳使用を勧めるなど

以上の対策により患者数や死亡数は減少したものの、
1953年頃から再び増加傾向に

Malaria_lecture_2013

その理由は、沖縄本島で米軍基地建設のために土地を失った住民が
計画的あるいは自由に八重山に移民し入植。マラリア有病地に入り
開拓を進めた。その結果、マラリアに感染する人が増加。

マラリアが開拓の障害になった

USCARは昆虫博士のウィーラー博士を1957年に招聘。
博士のそれまでの防遏対策に関する評価
  • 保健所の防遏対策は十分ではない
  • 防遏に関わる職員は常勤にすべきだ
  • 薬剤散布に関する設備が不十分
  • スタッフや住民に対するさらなる教育が必要

米国政府は予算を確保してウィーラープランを支援

ターゲットをそれまでのボウフラからメス蚊成虫にかえて

残留型のDDTをあらゆる場所に散布した。
(全住宅、家畜小屋、倉庫、旅館、料亭、学校、留置所、バス、タクシー等)
また原虫対策としての採血、小児の脾臓検診を実施。
これらによってわずか3年間で感染者、死亡者をゼロを達成!


という防遏のあゆみを勉強しました

参考図書としては

を参考に作成しました。

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2012.12.27

麻しん対策のネクステージ

厚生労働省は平成24年12月14日に麻しんに関する特定感染症予防指針を一部改正
しました。この予防指針は平成20年度から5年間限定(今年度いっぱい)で実施
した3期4期予防接種等の麻しん排除計画開始に合わせて策定されたもの。pdf

今回、この排除計画のおかげで、国内の麻しん患者報告数が減少(平成20年の
11,013件から平成23年の442件へ96%減!)し、低蔓延から排除を目指した改正
内容となっています。

具体的には、平成27年までに麻しんの排除を達成し、WHOによる麻しん排除の認
定を受けることを新たな目標に掲げています。麻しん排除の基準については、こ
れまでの「国外で感染した場合を除き、麻しんの診断例が1年間に人口100万人当
たり1例未満であり、かつ、ウイルスの伝播が継続しない状態にあること」に加
えて、「適切なサーベイランス制度の下、土着株による感染が3年間確認され
ず、また遺伝子解析によりそのことが示唆される」ことが示されていて、この指
標(でも他にもあったと思うけど)を達成したかどうかを観察していくことにな
ります。

具体的には

  • 可能な限り診断後24時間以内に届出、検体を確保して検査診断を行う
  • 1例でも発生した場合は保健所は積極的疫学調査を行う
  • 1例でも発生した場合に周囲の感受性者に対して予防接種を推奨することを
    含めた対応について、国立感染症研究所が手引きを作成する
  • 都道府県は麻しんの診断等に関する助言を行うアドバイザー制度を整備
  • 第1期第2期ワクチン接種率目標95%以上の明確化
  • 第3期第4期ワクチンの時限的接種は終了するなど

が挙げられています。

排除されたかどうかに関して、沖縄県では平成21年10月以降患者報告はなく、こ
の間も全数サーベイランス制度は維持されていると推測されます(2011年の否定
例は38例だった)。また、衛生環境研究所による迅速な検査診断と保健所の追跡
調査により、平成18年から20年にかけて発生した集団発生でも、大きな流行(レ
ベル3)には進展せず封じ込めに成功しています。今後も現状のはしかゼロの状
態を維持しつつ、国の掲げる目標を自治体としても達成できることを目指してい
くと思われます。
 

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2012.12.11

イノシシ食べてE型肝炎3(年間12万人が感染)

最近、八重山の宴席でよくおみかけするイノシシ料理。

実はイノシシ猟ができるのは11月15日から翌年2月15日と
決められているようです。
→月刊やいまの記事「西表島のイノシシ猟」をご覧下さい

毎年11月15日から2月15日まで狩猟期間となる八重山
でのカマイ猟。昔から西表島や石垣島では、
イノシシをタンパク源として狩猟が続いてきた。

すごく脂がのった今年のイノシシ。捕まえたその日に解体する。

このooyakeでは過去2度、イノシシとE型肝炎のことを書いてる。

今まさにシーズン真っ盛りのイノシシ猟。
火を通さないで出されても、無下にNoとは言えない大人の事情もあるようです。

気になるE型肝炎について、今年7月に肝疾患連携拠点拠点病院向け
に行われた講義がネットに公開されていました。

A型・E型肝炎の最新情報(pdf)

  • 潜伏期間は2〜9週(平均6週)
  • E型肝炎は慢性化し、慢性肝炎や肝硬変に移行することがある(6割は持続感染)
  • わが国の国内感染でのE型肝炎は中高年男性では重症化・劇症化率が高い
  • 2011年10月から抗体検査に保険が適用されている(HE-IgA定性抗体)
  • しかし検査はまだ普及しておらず、現在把握されている患者数は氷山の一角
  • 一般成人では男性の7.8%、女性の3.4%が抗体陽性(東日本>西日本)
  • 年間約12万人が新たに感染、推定の年間発生数は1200人
  • 感染経路に関する調査結果
    • 動物原性食感染 31% (zoonotic food-borne)
    • 輸入感染 7.9%
    • 輸血感染 2.3%
    • 感染動物や肉との接触 0.5%
    • 不明 58%
  • ただもっとpopularな感染が隠れている可能性も(ブタや内蔵からの感染を過小評価?)
  • 予防のためには
    • 十分な加熱調理、他の食品の調理器具との共用を避けるなど
    • 生肉や内臓を摂取する場合は中心部まで十分に火を通すこと
    • 70℃、10分以上の加熱が必要(56℃、1時間では不十分)

不顕性感染が多いと言っても、やはり刺身には手は出すべき
ではないね。

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2012.11.22

手洗ぃんさぐぬ花♪

本日プレスリリースされた

感染症胃腸炎(ノロウイルス感染症等)による集団発生について(PDF)

9月以降10名以上の集団発生報告のあった施設が13に及ぶ。
全国的にも比較的早い時期から増加傾向が認められており、
本県でもさらに注意が必要
です。

予防対策でもっとも重要なのが手洗い。
ooyakeでも過去に何度か手洗いソングを検討しました。
なかなかしっくり来ませんでしたが、
琉歌調(8・8・8・6=サンパチロク)で作ったら
しっくり来ました。もと歌はこのたび県民愛唱歌
選ばれた「てぃんさぐぬ花」

その曲に、以下の歌詞をつけました。

手を洗うせっけん
Teoarau

Sekken

爪先に染めて(ちみさちにすみてぃ)


Chimesachini

親の指まわり


Oyanoyubi

洗い流す

Arainagasu


Owari


特徴としては

  • これで時間にして20秒(県民に親しまれているメロディ)
  • 石鹸を使う
  • 汚れの残りやすい爪先と親指周囲が洗える

でしょうか。

今のところ、施設での健康教育としてサンシン演奏付きで
歌って広めてますが、反応はまあまあ良好です。

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2012.11.07

うちではちょっと診れないなぁ

新型インフルエンザ等感染症の特措法まだ勉強してませんが

海外で次の新型インフルエンザが発生すると、国内には
帰国者・接触者専用の外来が設けられるようです。恐らく
感染の疑いのある患者が受診し、そのまま入院することが
できるように、感染症指定医療機関に併設、あるいは隣接
するところが多いはずです。

前回までの経験を踏まえると、症例定義としては

  1. 1週間以内に感染地域に行った(or患者と接触した)
  2. 38℃以上の発熱and呼吸器症状
  3. インフルエンザ迅速検査でA型陽性
  4. PCRテストで新型の遺伝子を持つ

となるでしょう。

上の定義のうち、1〜3を満たせば「疑い例」で、これに4が
加わると「確定例」となり感染症法の規程が適用されるはずです

で、1〜3については、一般のクリニックでも十分診断可能
なわけで、わざわざ帰国者・接触者外来を経由しなくても
入院して、PCRの検査結果を待つことは可能。(ただしこの場合は
法によらない任意入院という形になります)。

ただ現実的には、クリニックを訪れた時点で、上の1と2が
わかると、迅速検査による曝露を避ける等の理由から
帰国者・接触者外来に紹介して、3以降の検査を行うというのが
みんなが納得するフローチャート。もっと理想的なのは、
1と2に該当する人が、自分から保健所や相談機関に電話をして
一般のクリニックを訪れることなく、「帰接外来」を受診すると
いうことを目指してます。

でも前回もそうであったように、症状のある人はそんなの
おかまいなしにかかりつけ医や救急外来を受診する可能性も
高いです。だから、次の高病原性新型インフルの患者が一般の
人に紛れ込んで待合室にいるということも想定しましょう。

国の資料にもそう書いてあります。

受診して後に

うちではちょっと診れないなぁ

ということにならないように
帰国者・接触者外来以外の医療機関についても
院内感染対策を講じた上で、診療体制を整備

という状況を踏まえて、当地では新型インフルエンザ患者移送訓練を
実施しました(前置き長過ぎね)

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2012.09.24

タバコのせいで発見が遅れた結核集団感染

今日から30日までは結核予防週間

先週末にネットで見た東京での結核集団感染事例(都発表資料

派遣社員が

平成23年11月頃から咳症状があったが、
平成24年2月以降、発熱、体重減少が生じ、
医療機関を受診。平成24年3月に結核と
診断された。現在は入院治療を終え、通院治療中。

診断まで4ヶ月のpatient's delay
遺伝子型も一致した集団感染を引き起こしたようです

受診が遅れた理由が

初発患者は咳症状が長期間続いたものの、喫煙によるものと考え(以下略)

タバコを売ってるコンビニで、結核を啓発する意義は大きいかも。

結核と言えば昨年度の患者発生統計で目についたのが
働き盛りの潜在性結核感染症患者の倍増!(MSN産経ニュース
昨年までの水準に比べて2倍の約1万人が潜在性結核感染症として
治療を受けたという。

厚労省の資料によれば
前年と比べて増加した職種は

  • その他の医療職 3.2倍
  • 医師 3.1倍
  • 看護師 2.5倍
となっており、これは
入職時に結核病学会の推奨するQFT検査を導入し、
それが陽性になった職員に対して潜在性結核感染症
として治療を開始した病院が増えたことが示唆されます。

結核病学会は、
QFT検査推奨はしているけれども、陽性になったからと言って
すべて潜在性結核感染症として登録しろとは言ってない立場

(参考:学会誌での反論

のようですが、現場がその方向に動いているのは明らかですね。

この状態が「不適切」というのであれば、別のガイドラインが必要かも。

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2012.09.14

失恋vs結核

結核予防週間に地元紙に投稿する原稿の案を考え中。



9月24日から30日までは結核予防週間です。
八重山地域の住民の皆様が結核に対して関心を持ち、
正しい知識を得られるように、保健所でも啓発を行っています。

厚生労働省は、今年の結核予防週間の標語を

「胸に空洞?!失恋ですか?-いいえ、結核です」
と定めました。
これは、結核という病気が進めば、胸(正確には肺)に
空洞ができることを示しています。

結核は、結核菌が空気感染によって、
肺の奥深く(肺胞)に定着することで感染が成立します。
空気感染とは、空気中にふわふわ漂っている菌を、
周囲にいる人が吸い込んでしまう感染経路のことです。
咳やくしゃみに含まれる飛沫(しぶき)は、菌の周囲に
水分がついた状態なので、せいぜい3mくらいしか
飛びませんが、周囲の水分が蒸発した状態では、部屋の
換気をしないと結核菌が50m先まで達することもあるそうです。

さて、肺の中で結核菌の感染が成立すると、
免疫細胞との戦いが始まります。戦っている場所周辺は、
炎症細胞から出る液等で「水びたし」の状態になります
(これが痰になり、咳によって体の外に出て行きます)。
結核菌がこの戦いに勝ち残ると、菌は増殖し病巣を形成
します。すると、病巣の中心部分は菌の作用により、
黄色いチーズのような物質になって壊死(えし)していきます。
周辺部は盛り上がって肉芽(にくげ)となりますが、
中心部の壊死した部分はドロドロにとけた後、気管支に破れ、
体外に出されてしまうので、病巣には空洞ができあがります。

空洞の内側部分は外の空気とつながっているので、結核菌が
非常に活発に増えてしまい、そこから体外に排出されて、
他人に感染させる原因となります。また、空洞にむき出しに
なった血管が破れると、それが血痰や喀血(かっけつ)という
症状となります。喀血は動脈性であることが多く、
血液のかたまりが気道を塞いで窒息を引き起こす場合もあります。

余談ですが、わが国に野球を広めたことで野球殿堂入り
している明治の俳人正岡子規は、肺結核にかかって喀血する
自分自身を、血を吐くまで鳴くと言われるホトトギスに例えた
と言われています(子規はホトトギスのこと)。

 このように、空洞を伴う結核では、本人が重症になる場合が
多いばかりでなく、周囲への感染源となる危険性をはらむ
ことになります。

空洞ができてしまうのは、結核の診断や治療が遅れて、
放置された場合に多く起こります。そうならないためには、
結核を早く診断して、適切に治療を行うことが必要です。
咳が2週間以上続いている場合には医療機関を受診し、
胸のレントゲン検査や痰の検査を受けるようにしましょう。
また、咳がある人はマスクを着用して
周囲に感染を広げないような配慮(咳エチケット)を心がけましょう。
治療は決められた期間(標準期間は6ヶ月)お薬を飲む
ことが大切なので、主治医や看護師、薬剤師、そして
保健師の指示に従って治療を完遂することが必要です。


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